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デンマークのデジタル化ってどんな感じだったか

こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。スペインのポンペウ・ファブラ大学というところで、少子化を専門に研究しています。

2022年から2024年までの1年半ほどデンマークに住んでいました。今回は、そこで実感したデンマークのデジタル化について紹介します。

CPR番号

CPR番号とは個人に割り当てられた番号のことで日本でいうマイナンバーにあたります。

給与を受け取ったり、税金払ったり、銀行口座を開設したり、記憶している限り全てのことにこの番号は必要でした。

MitID

MitIDは個人のデジタルキーのことで、このIDを使って他のアプリにログインできたり、必要な書類に手続き・署名したりできます。

住所変更、児童手当申請、税金確認など重要な行政手続きのほぼすべてがこれでできました。

例えば住所変更する際に、住所変更を行うサイトがMitID認証を求めます。MitIDはブラウザでも使えますが、アプリもあり、普段はこのアプリを開くとこういう感じで何もないのですが、

MitIDアプリをただ開いた時の画面

手続きをしているサイトでMitID認証を求められ、

MitIDの認証を求めている

MitIDアプリを開くと認証できる、という仕組みです。

ただこれがあるから、全ての事柄がオンラインで完結できるかというわけではなく、実際に役所に赴かないといけないこともありました。

Digital Post

重要書類をオンラインで受け取れる仕組みです。

Digital Postのアプリ

給与明細や役所からの書類などの書類が主でした。ただ、全ての書類がDigital Postで送付されるわけではなく、郵送も同じくらいありました。

感想

すごいシステム。デジタル化だけでなく、電話をすれば必ず人が対応してくれ、必要な情報をもらえるところも素晴らしいところ。日本にお住まいの方には当たり前のことかと思いますが、私がこれまで住んできた国だと、結構ありがたいことです。

ウェブサイトにわかりやすく情報が書かれていて、それでもわからないときは電話をすれば必要な情報が手に入る。そして各種手続きのために役所に行く必要が少なくオンラインで解決する、という一連の流れがデンマークのDXの凄さだと思います。DXにすればいいわけではなく、この一連の流れが大事かと思います。

例えば、今私が住んでいるスペインはデンマークほどではないですがデジタル化が結構進んでいます。ただ必要な情報に辿り着くまでに相当な労力がいるので、認証のところがデジタル化されていてもそれほどメリットがないように思います。もちろんデジタル化されていないよりはされていたほうがいいのですが。

あえての課題

以上紹介したデンマークのデジタル化を日本が真似するときのために、あえて課題を見つけてみようと思います。

CPR番号やMitID認証取得にかかる日数を短くする

CPR番号やMitIDで認証ができる反面、これらがないとほぼ何もできません。銀行口座を開くのもできません。これらのID取得までにどのくらいの期間正確にかかったかを覚えていないのですが、多分2ヶ月くらいだったように思います。デンマークで生まれ育っている人には関係ないことですが、移民にとっては結構重要かと思います。たった2ヶ月ですが。

高齢者向けの対応も用意を

デンマークでもやはり高齢者の方でこうしたデジタル化に対応しきれていない人も多いようです。日本の高齢者人口の割合は29%と世界最大ですので、高齢者向けの対応は日本の場合は必須だと思われます。

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