![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/143740180/rectangle_large_type_2_f81f156263824b1bce33b964bf821c58.png?width=800)
【論文掲載】非正規雇用や非就業の女性は交際相手を持ちにくい
こんにちは、少子化研究者の茂木良平です。スペインのポンペウ・ファブラ大学というところで、少子化を専門に研究しています。
今回は、先日公刊された新しい論文の紹介です。就業状態と交際相手の有無について分析した論文が査読付き国際誌Journal of Family Researchに掲載されました。
https://ubp.uni-bamberg.de/jfr/index.php/jfr/article/view/953
これまで、就業形態は同棲、結婚、出産に非常に重要な変数であることが数々の研究によって明らかにされてきました。しかし、これら3つのイベントの前段階にある「交際」との関係はあまり研究されてきていませんでした。
就業形態、つまりいい仕事・安定的な仕事を持っていることは交際にも重要なのでしょうか?それとも就業形態は、同棲、結婚、出産といったより後のイベントにのみ重要なのでしょうか?
そこで、学習院大学の麦山さん、イタリアフィレンツェ大学のAlderottiと共に研究してみました。
主な結果は以下の2点です。
日本の非正規雇用、非就業の女性は正規雇用の女性に比べて、交際相手を持ちにくい。
→なぜか?日本の女性は結婚相手に経済力を求める傾向にありますが、非正規雇用や非就業の女性は、こうした理想とする特徴を持つ男性に出会いにくい・選ばれにくいのではないか、と解釈しています。
しかしイタリアの女性では1の傾向は見られず、就業形態と交際相手の有無に有意な関係は見られませんでした。
→なぜか?イタリアの労働市場の特徴をイタリア人が理解しているため、交際時の就業形態を重要視しないためでは、と解釈しています。実際データを見ると、交際時に無職だった男性の45%、女性の35%が3年以内に何らかの仕事に就いていました。
これ以外にも、イタリアでは交際相手を見つける「交際市場」と「結婚市場」は別々に存在し、日本では「交際市場」と「結婚市場」は同じなのではないか、といった議論もしています。つまり、日本は結婚のために交際相手を探す傾向にあり、もしかしたらそれが交際の難しさに繋がっているのかもしれません。
【この研究から政策に何が言えるか】
経済状況により恋人を持てていない人がおり、長期的な就業支援などが結果として少子化対策に繋がるということです。(論文ではこの点に言及していません)
英語で書いていますが読んでもらえれば嬉しいです!
この論文は既に、Bloomberg Japan
日経新聞
で言及いただいております。ご興味あるメディアの方はお気軽にご連絡ください!
サポートしていただいたお金は、研究費に使わせていただきます!