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やばい研究所を選ばないようにするために

みんな、やばい研究所だけは避けろ!

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「完璧な研究所など存在しない」

ので、完璧な研究所、もしくは自分にとって完璧な研究所を選ぶのは非常に難しいです。

若手の同僚は最高だけどシニアに不満があったり、指導はいいけど同じ関心を持つ同僚が少ないなどなど、色々な不満があります。キャンパスまで遠いとか、オフィス環境が悪いとか設備面での不満など、足りないところを挙げればきりがありません。

また、PhDの時は満足していても、ポスドクで同様に満足できるとは限らないし、今は良くてもディレクターが変わったことで悪くなるかもしれない。独身のときは良かったけど子どもを持ったら働きにくさに気づくかもしれない、などライフコースや年次を通じて、今所属している研究所が満足したものであり続けられるとは限りません。

ですので、研究所を選ぶ際にいい研究所を見つけようと思うとなかなか難しいと思います。

結論、やばい研究所だけは避けて欲しいです。

今回は、やばい研究所を選ばないようにするための4つのポイントを紹介します。

PhDからあわせて3つの国で4つの研究所に所属しました。これには1年以上いたもののみ含んでいて、短期滞在は含んでいません。短期だといい面しか見えない事が多いので。

この自分の経験から、また人から聞いた話などもあわせて、やばい研究所とはどういうものを指すのか、そしてやばい研究所を引かないようにするためにはどうすればいいのか、をまとめてみようと思います。

完全に独断なので、あくまで参考程度に捉えてください。

1.独立研究所

学部ではない独立研究所系はやばめが多い。学部は、大学直結なので、大学のルールがフルに適用されます。大学のルールは、フレキシブルさがなく無駄なルールもあるが、誰にでも平等に適応されるという利点がある。また、一般的によく練られていることが多い。次の項目にも繋がりますが、大学から学部ごとに振り分けられている資金があることが多く、また授業を受け持っていることが一般的なので、教育からの資金もあり、使える資金が比較的潤沢?にあります。

一方、研究所は、完全に独立しているにせよ大学に付随しているにせよ、ある程度自治があります。これは個別事例にあわせてフレキシブルに対応してくれるなどいい面に繋がることもありますが、平等な対応を期待するのが難しく、どうしても同僚間に差が出て不公平感を生みやすい。また、学部長は持ち回りで、学部長の権限でどうにかなる範囲が少ないのに比べ、研究所はディレクターの権限が大きく、この人の手腕や思想によって体制が大きく変わりえます。もともとマネジメントが得意でない人がディレクターをやっていることも多く(そもそもマネジメント能力を買われてディレクターになるわけではないのでしょうがないが)、運営面で数々の混乱が生まれやすい。

2.ものすごい負のレビューをする人がいる

大抵の人は所属を決める前に、既に所属している人やもともと所属していた人に、実際の様子や感想を聞くことが多いと思います。

ここで、一番聞いてほしいのは、嫌な意見はないか、不安要素はないか、揉め事はないかなどといった研究所へのネガティブなことに関する正直な意見で、この研究所を他の人に薦めるか薦めないか、を聞いてほしいです。

1人でも悪く言う人がいれば、危険信号だと思った方がいいです。もちろん、全員にあう研究所や人というのはないわけなので、たまたまその人にあわなかったというのもありえますが、いい評価に引きづられずに、悪い評価こそ真剣に向き合ったほうがいいでしょう。

ここで、ハラスメント系のことを聞いたら、まずやめておいた方が良いです。もちろん、1ケースを過信するのはダメですが、他の人はハラスメントだと気づいていないこともあるので注意。

私の実例も書きたいのですが、書くとどこかわかっちゃうので、またそれはいつかの時に。

3.外部資金に頼りすぎ

これも学部ではなく、研究所にありがちな特徴ではあるのですが、外部資金に頼りすぎているのは問題ありです。外部資金が取れていることは、優れた研究者がいることの1つの証でもあるのですが、頼りすぎている場合、外部資金が取れなかったときに、経済状況がカツカツになってしまうことを示しています。いくら優秀な研究者がいたとしても、運悪く1つも研究費が取れない年もあるでしょう。また取れてた研究費のいくつかが同時に終わる年もあるでしょう。すると、潤沢に見えていた経済状況も急に雲行きが怪しくなることがあります。

外部資金に頼りすぎている研究所かつ手腕のないディレクターの場合、在籍している研究者に外部資金獲得のプレッシャーをかけることで解決しようとすることがあり、危険。

これはディレクターだけでなく、アドミンの業務でもあるのですが、繰り返しになりますがディレクターはマネジメントやチームビルディングといったスキルに長けていたり、知識や経験が豊富だったりでディレクターに選ばれているわけではないケースがほとんどです。そのため、こうしたリスクをうまく回避できないディレクターもいて、こういう人がトップだと危ないです。

4.ノンテニュア研究者とテニュア研究者のバランスが偏っている

ノンテニュアよりテニュアが多すぎても、逆にテニュアが少なすぎても問題。ですが、後者のほうがより問題だと思います。

ノンテニュアに比べて、テニュアが少ないと、ティーチング、ティーチングに関わる業務、研究費申請など、本来課されるべきでない業務やプレッシャーがノンテニュアの若手に降りかかりやすくなります。

ティーチングに関しては、ティーチングの経験を積めるためCV的には利点もあるのですが、それでもしないという選択肢はあるべきですよね。ただ、テニュアが少ないと、こうした研究以外の業務もマストで組み込まれているときがあり、注意です。

以上、やばい研究所の危険臭を判断する4つのポイントを独断でまとめてみました。

ただ、私の感覚が一般的でない可能性もあるのですが、私にとってテニュアトラック前の所属先は、どこかでテニュアトラックポジションを取るための一時的な所属先であり、リソースを使わせてもらい自分のキャリアを築くための場所という認識なんですよね。もちろん、その所属先でテニュアを取りたい!と思えるのであれば積極的に多面的に研究所に貢献する方が戦略的とは思いますが。

ノンテニュアも含めてファミリーだ、みんなこの研究所のために動いてくれ、貢献してくれ、という雰囲気は正直キツイです。向こうからのギブはなんなのか、曖昧ですし。テニュアくれるなら別ですが。何も約束されていない以上、そこはドライに、自分の本業だけするというのが一番の貢献なんじゃないかなと個人的には思います。それが仕事ですし。

完璧な研究所は見つからなくとも、やばいところは避けて、いい研究生活を送ってください!

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茂木良平(少子化研究者)
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