見出し画像

Last Christmas〜聖なる夜を君と〜


皆様こんにちわ。
本日もこちらのnoteに目を通してくださりありがとうございます。
今日はクリスマス、そして昨日はクリスマスイブでしたね。
今年は週末と被ってましたし、皆様素敵な日を過ごされていますでしょうか。

今日はクリスマスということで、いつものような過去の話ですと内容が少々重いかなと考えまして。
まぁ、今日この日に私のnoteに目を通して頂くと考えるのも痴がましいと思うのですが。

ですがせっかく目を通して頂ける方々がいらっしゃいましたら、と思い今回はちょっとした物語を描いていこうかなと思います。
短いものですが、もし宜しかったら箸休め程度のお気持ちで読んで頂けると幸いです。
それでは始めて参りましょう。


目次
 ・君と僕
 ・夢で思い出される僕の過去
 ・繋がっているもの、離してはいけないもの
 ・Last Christmas〜聖なる夜を君と〜
 ・最後に

・君と僕

「今年のクリスマスは会えるといいね」

君は電話越しに僕に言う。
言われたぼくはふと、曇りがかった空を見上げながら「そうだね。お互い忙しいけど週末に差し掛かるし、今年は会えるかな」と君に返した。
寒さのせいなのか、冷たくなった手を温めようと君が息を手に向かって吐きかける音が聞こえた。

君と僕が仕事の関係で離れてからもう3年。
付き合い始めてから2年後の時に君の転勤が決まり、遠距離恋愛が始まった。
本来であればもう帰ってくるはずだったのだが、このご時世の中でお互いに県を跨ぐ移動が難しくなってしまい、気付いたら3年経っていた。

「また仕事の予定が分かったら連絡するね。風邪ひかないように気をつけてよ!」
相変わらず君は僕の心配ばかりする。遠距離になってからは尚更だ。

「分かってるよ。僕よりも君の方が寒いところにるんだから、風邪を引かないように気をつけてね」
電話を切った僕はふと溜息をつく。

君と最後に会ったのはもう1年以上前の話だ。
時々ふと不安になることがある。
「君は僕が恋人で幸せなのだろうか」と。

、、あぁ、駄目だ。
寒くなってくると尚更、悪いことばかりに考えがいってしまう。
僕は気持ちを紛らわせようと冷蔵庫の中から缶ビールを1本取り出し、それを飲み干す。
「そろそろ寝るか」と呟いた僕は電気を消し、布団の中に転がり込んだ。


・夢で思い出される僕の過去

「何してんだお前は!」
そう言われた僕は思いっきり殴られた。
相手は僕の母親だ。

僕は気付いたら母子家庭で育てられていた。
若くして僕を産んだ母。
女手ひとつで仕事も家事もこなし僕の事を育ててくれていたのだが、時々頭に血が昇るとこんな風に殴られたり蹴られたりすることが日常茶飯事だった。

今思えば若かった母も辛かったのだろう。
若くに僕のことを産み、やりたいことも出来ず、行きたい所にも行けなかっただろうしストレスも溜まっていたに違いない。

そして、昔から覚えの悪かった僕は叱られたことを繰り返しやってしまったり、怒られたくなくて嘘をついたりすることもあった。
それがバレてまた怒られる、そんな事を繰り返していた。

大人になった今は、母との関係は普通であると思う。
過去にそういうことがあったとはいえ、僕のことを育ててくれた母には感謝しているし恨んだりもしていない。

ただ、ふと思ってしまう。
「こんな出来損ないの僕が、誰かと幸せを感じたいなんて思って良いのだろうか」と。

「お前なんかが誰かを幸せにできる訳がないだろう」
その言葉で僕はハッと目が覚めた。

「夢か、、」
夢とは分かっても目覚めが悪いものだ。
ふとカレンダーに目を向ける。

「何だかんだ言ってクリスマスまでもうすぐだな」
そんな事を思いながら、僕はおもむろに仕事に行く準備を始めた。


・心の繋がり、離してはいけないもの

「今年のクリスマスはそっちに行けそう!イブは仕事で帰りが遅くなるから難しいけど、25日にはそっちに行くね!」

君は子どものように喜びながら話す。
僕はというと嬉しさ半分寂しさ半分というったところだろうか。
26日には君は帰ってしまうわけで、1日しか君といられない。
そう思うと寂しい気持ちもあった。

でもそれを君に悟られるのは格好悪い気がして、僕は余裕のあるフリをしながら
「そっか、24日は仕方ないね。25日気をつけてね。駅に着く時間が分かったら連絡してよ。駅まで迎えに行くから。」

僕がそう答えると彼女は
「えへへ、久しぶりに会えるの楽しみだな〜」
少し照れ臭そうに君は答えた。

君は感情表現がとても豊かで、思ったことや感じたことは態度や言葉に示してくれる。
そこに惹かれて安心感を覚える僕がいるのだけれど、同時に君がとても眩しく見える。
僕とはまるで正反対だから。

感情表現が下手な僕は、君を不安にさせてないだろうか。
相手の顔色ばかり伺ってしまう僕の事を、君は信じてくれているだろうか。

そんな事を感じながら迎えたクリスマスイブ。
その日の夜は仕事が少し長引き帰りの時間もいつもより遅くなってしまったため、街中にはすっかり綺麗なイルミネーションの中を沢山の人達が歩いている姿が目に入った。

「ここに君がいてくれたら」
そう思っても君は隣にいない。
でもふと思う。

この街の綺麗な景色を見ても、心が動かされないのは君が隣にいないから。
無邪気に笑いながら僕のそばにいてくれる君が綺麗なんだと。
そして、大切な存在なのだと。

こんな出来損ないの僕が、君のことを手放したくないと思っていいのだろうか。
あの夢のように「僕には誰かを幸せにすることはできないんじゃないだろうか」と思うこともあるけれど。
それでも、僕は君の隣にいたい。
君との心のつながりを大事にしたいし、君が繋ごうとしてくれてる手を離したくない。それが僕の結論だった。

「本当、今日君に会えたらよかったのになぁ」
そう呟くと僕の携帯がポケットの中で鳴り出した。


・Last Christmas〜聖なる夜を君と〜

僕はポケットから携帯を取り出して画面を見る。
そこには君の名前が表示されていた。
慌てて僕は「もしもし?」と電話に出ると
「ごめん!今日の仕事が思ったよりも早く終わったからこっちに来ちゃった!駅に着いたんだけどもう家にいるかな?」

僕は急いで時計を見る。
「いや、丁度駅の近くにいるから迎えに行くよ。少し待ってて」
そう答えて僕は駅に向かって走る。

会えた第一声に君に何て言おうか。
この喜びを伝えるべき?
それとも寂しかったと素直に伝えた方がいい?
言いたいことが沢山あって頭の中でまとまらない。
こうなったら、彼女の顔を見て思ったことを伝えよう。

そして駅に向かって走る僕の目に君の姿が映った。
「ただいま!」と君は僕に満面の笑みで言う。
「お帰り。急に来たなんて言われてビックリしたよ」
そう答えると

「だってこの間の電話の時、25日に行くって言ったら少し寂しそうだったじゃない。だから早く行きたいと思って来ちゃったんだよね〜」

本当に君には叶わない。
僕がどれだけ偽っても君にはすぐにバレてしまうんだね。

「そっか、無理をさせてしまってたらごめん。
でも今日会えて嬉しいよ。本当にありがとう。」
僕は少し顔をマフラーで隠しながら答えた。

すると君は
「何言ってるの!私にとって君は大切な人だよ。今も、これからも。
私がしたくてしているんだから、遠慮はする必要ないよ」

君の言葉に僕は涙が溢れそうになった。

「そっか、、そうだよね。僕にとっても君は特別な人だ。そんな君のことだったら、どんなことでも受け止めたいと思う。それと一緒なのかな?」

「もう、何それ!今更じゃない?
私にとって貴方は大切な存在でもあり、必要な存在なんだよ。だったらどんなことでも受け止めたいと思うでしょう?変な心配しなくて大丈夫だよ」

君の言葉が少しずつ僕の心を癒してくれる。
僕の時々見られる不安を、拭ってくれるのは君の言葉だった。

本当に君には救われてばかりだ。
そんな君に、僕は何か返せているだろうか。
そう考えてしまうとキリがない。
でもせめて、今日のこの聖なる夜に祈らせてほしい。

どうか、僕が君のことを守れるように支えられますように。
できることなら、君の隣で笑う時間がこれからも増えていきますように。




・最後に

ここまで読んでくださりありがとうございます。
短編小説という形で書かせて頂きましたがいかがだったでしょうか。

読みづらい部分や分かりにくいところなどあったかと思いますが、最後まで目を通してくださった貴方には感謝の気持ちでいっぱいです。

そして、この話にあった一部は私の経験談から引用させてもらいました。
次回のnoteではそちらの話について触れて行こうかと思ってますので、また次回のnoteでも皆様とお会いできることを楽しみにしております。

長くなってしまいましたが皆様にとっていいクリスマスになりますように。
それではまた、次回のnoteでお会いしましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?