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【明日の】グーナーのためのリーズ・ユナイテッド簡易講座【予習】

 みなさんこんばんは、ジョナサン・ウッドゲイトです。

 明日はFAカップ3回戦が行われますが、我らがビエルサ・ホワイツはアーセナルと対戦。多くのアーセナルファンが早起きして4時56分からDAZNを視聴すると思われますが、正直なところみなさん、オレアリー時代の「栄光のヤングリーズ」ならいざ知らず、現在のリーズがどうなっているのか誰も知らないのではないかと思われます。

 せっかくの機会ですから、リーズの現状、どんなサッカーをしているか、どんな選手がいるのかを簡単にご紹介しますので、仮眠前の予習に活用していただければ幸せます。それでは、どぞ!


■リーズ・ユナイテッドの近況

 過去には何度かリーグ優勝を果たしていますが、最後にプレミアリーグに所属していたのは2003-04シーズン。一時期はリーグ1(3部)まで落ちました。古豪も古豪です。2000-01のUEFAチャンピオンズリーグでベスト4まで勝ち上がったのが最後の栄光となっており、ちなみこの大会ではバルセロナを競り落として予選グループを突破しています。
 ここ数年はチャンピオンシップ(2部)でも中位~下位をさまよっていましたが、昨季に【エル・ロコ】が就任してから大躍進。リーグ優勝を争いますが、最終的には3位まで失速、プレーオフでも敗退してプレミア昇格を逃すというビエルサらしい幕切れに。オフには主力もぼこぼこ抜かれましたが、気を取り直して今季はウエスト・ブロミッチ・アルビオンと激しい首位争いを演じています。
 ちなみリーズの営業収益は約50億円(※16-17シーズン)となっており、予算規模は川崎フロンターレと同等、アーセナルとは約13倍の開きがあります。最近はPSGが買収するとかなんとかの噂もありますが、は、早く、モタモタしてないで早く買ってくれ!マネーを!!


■リーズのシステムと戦術

 基本システムは[4-1-4-1]ですが、ビエルサルールに則り[4-2-3-1][3-4-3]も使用しています。ただ結城康平さんもツイートしていたように2トップ布陣は一度も敷いておらず、そこはビエルサの強いこだわりが感じらますね。

 戦術についてはわたしも深く把握できていないのと、長くなりそうなので超ざっくりに紹介します。

■攻撃/ポジティブトランジション
 CBのベン・ホワイトが「ビルドアップではまず最初に、前線にロングパスが出せるかを確認します」とインタビューで答えているように、ロングボールが再優先。ただ、国際ロングボール学会のようなターゲットに放り込んで勝負!ではなくて、前線でフリーとなっているor良い体勢で受けられそうな味方への供給を狙います。超乱暴にざっくり言うとストーミング的思想。ただ何が何でもロングボールではなく、良い形で通りそうになければ最後方からビルドアップを図ります。ポゼッションによるビルドアップでは【サリー以下略】はあまり使用せずに、4バックがしっかり横幅を取り、アンカーが相手トップ下を連れて行き、空けたスペースにインサイドハーフが下りてくる形を多用しているような気がします。

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※サリーの時以外はサイドバックはあまり高い位置を取らない

 ファイナルサードでは、とにかくサイドの裏とニアゾーンを狙う意識が非常に高く、そこからのハイクロス&ロークロスが中心となります。インサイドハーフを同サイドに投入することが多く、セカンドボール狙いで逆ワイドと両サイドバックが殺到していることが多いような気もします。たまにアーリー気味に上げてみたり、カットインしてみたり。

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※てきとうな攻撃図

■守備/ネガティブトランジション
 基本はハイライン&ハイプレス。走って蹴らせる。ボールロスト後もまずはハイプレス。前線もめちゃくちゃプレスバックします。戻り方とかコースの切り方とかは多分めっちょ仕込まれてます。ただ最後はキコとベンが何とかします。現在リーグ最少失点ながらそうは見えない感じが何とも。とりあえずストーミング的なものということでひとつ。


■予想スタメンと注目選手

 最近のアーセナルが[4-2-3-1]メインということで、こちらもメインシステムの[4-1-4-1]で臨むと思われます。そして明日の予想スタメンがこちら!

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 こちらです!といっても「揃いも揃って誰やねん」状態でしょうから、簡単にご紹介します。正直アーセナルには歯が立たないと思いますが、それなりに面白い面子が揃っていますので、リーズの選手も愛でてやってください。

■GK

▼イルアン・メスリエ(フランスU-20代表)
 トップチーム初出場見込み。フランスはロリアンからローン加入中。普段はレアル・マドリードから獲得してきたキコ・カシージャが絶対守護神として君臨しているが、今回ビエルサは俊英メスリエの起用を示唆。動画からするとポジショニングなんかはかなりよさそう。またU-23の試合でPKをストップしているので、PK戦まで持ち込めば勝機はあるんじゃないか(薄弱な希望)。


■DF

▼左SB:バリー・ダグラス(元スコットランド代表)
 ウルブスのプレミア昇格に大きく貢献(39試合5得点14アシスト)しながら、なぜかリーズに島流しにあった不運のひと。なんかあったのだろうか。17-18シーズンのアシスト王に輝いたように正確な左足を持っているが、最近は負傷が多く出番を失い気味で、スコットランド代表からもご無沙汰に。もう30歳だし、ロバートソンがいるしな。なんとかここから巻き返しを図りたい。


▼右SB:ルーク・アイリング
 英国の前貴之。マルティン・カセレス、エクトル・ペジェリンと、そして前貴之にアイリング。なぜ右サイドバックはサムライヘアーになるのか、取材班はその秘密を探るため、アマゾンの奥地に向かった。
 「サイズのあるサイドバック」なのだが対人はあまり強くなく、昨季は風間革命理論によりCBで起用されFLCの筋肉ダルマたちにあっぷあっぷ。本職のサイドバックとしては割りと競れるし色んなところに走れるし、すんごいミドルシュートを決めたりもして実際に前貴之感がある。

 どうでもいいが、ブリストル・シティ時代に【恥ずかしい行為】で話題になっており、試合中のリアクションなんかを見ていると「さもありなん」という感想しか出てこない。

※メリークリスマス


▼左CB:ガエタノ・ベラルディ(元スイス代表)
 なんかスイス代表の重鎮というイメージがあったが、代表では1試合しか出場していなかった、おかしいな。ブレシア、サンプドリアでそれなりに活躍したのちリーズへ。左右のサイドバックをこなせるマルチプレイヤーだが、ビエルサ就任後は風間革命理論によりもっぱらセンターバックで出場。ラン・ウィズ・ザ・ボールが巧みでビルドアップの貢献度は高いが、守備は正直見ていて怖く、割りとよく退場している。個人的にはコーナー・ショウグネシーを使ってみて欲しいのだがローン出荷中で…。


▼右CB:ベン・ホワイト(注目選手)

 わたしのイチ押し選手!
 リバプールやチェルシーが狙っているなどの報道もあり、名前だけは聞いたことがあるという人も多いのではないだろうか。彼についての詳細は、私の書いた記事を読んでください(宣伝)↓↓↓↓


■MF

▼DM:カルヴァン・フィリップス(注目選手)

 こちらも「マンUが興味」みたいな記事があったので、名前は多少知られているのだろうか。ビエルサ就任以降は一貫してアンカーを任されており、[3-4-3]の時はCBに入ることも。広範囲をカバーする肉弾系守備的MFでけっこうな怪物。それでいて割りとボールも捌けて、キックも正確でセットプレーのキッカーも任されている。こんなアンカーがレノファに欲しい。じゃなかった、彼がどのくらいアーセナルに通用するのかは非常に興味深い。


▼左CM:マテウシュ・クリヒ(ポーランド代表)
 割とうまくて結構走れる、スキルのある系労働者。唐突なミドルシュートなど意外性もある、野球で言うと2割7分10本の男。しかし彼の一番の強みは、なんといっても空気の読めなさである。昨季終盤の「負傷者が出ながらリーズがプレーを止めずに得点し、それを恥じたビエルサがわざと相手に得点させるよう指示をした」という事件を覚えている方がいるだろうか。その際に、最後までプレーを止めずにゴールを決めたのがこのクリヒなのだ。空気が読めないからこその意外性のような気もして、格上アーセナル相手にもっとも爪痕を残すのはひょっとしたらこの男かもしれない。

https://youtu.be/QK4XPKMoTPo

 ちなみにスペルは「Mateusz Klich」なのだが、現地実況ではマテウシュ・クリヒではなく「マテーアス・クリック」と呼ばれている。「もうたくとう」と「マオツォトン」の違いみたいな感じだろうか。


▼右CM:ロビー・ゴッツ
 
リーズアカデミーの至宝、かどうかは知らないが、アカデミー出身。トップチームデビューはまだ果たしていないが、最近はベンチ入りが続いている有望株。ビエルサの期待値は高く、今回はスチュアート・ダラスの代役として8番(インサイドハーフ)で起用するとコメントしている。


▼左SM:ジャック・ハリソン(元イングランドU-21代表)
 マンチェスター・シティからローン加入中のウイング。昨季は39試合4得点、ローン延長した今季もここまで26試合5得点と、なくてはならない存在。確かな技術に加えて凄まじい運動量を誇る、攻守にエネルギッシュなプレイヤーだ。
 マンチェスター・ユナイテッドの下部組織で育ちながら14歳でアメリカに渡り、ニューヨーク・シティでプロデビュー。その後本家マンチェスター・シティに買い取られるという異色の経歴。シティ獲得後はミドルスブラ→リーズと武者修行を繰り返しており、市場価値を高めている状況か。リーズだとあんまり出せそうにないが…。


▼右SM:エズジャン・アリオスキ(マケドニア代表)
 マケドニア代表とリーズでナンバー10を背負う男。左利きのドリブラーで、ビエルサよりも1年早くリーズに加入。当初は「逆足ウイング」として主に右ワイドで起用されていたが、ビエルサ就任後魔改造されて気が付けばメインポジションは左サイドバックに。背番号10でサイドバックをやっている光景はなかなかシュールで、「マケドニアの土岐田洸平」と言ってもいいかもしれない。試合展開や交代によっては左ワイドに行ったり右ワイドに行ったり忙しいが、今回は右ワイドでスタメンの模様。左足はなかなかに正確・強烈で、クロスとミドルシュートには要警戒だ。
 余談だが、ツイッターで頻繁にリアクションに困る画像や動画をアップしており趣深い。


■FW

▼パトリック・バンフォード
 ようやく最後。ノッティンガム・フォレストの下部組織出身で、トップデビュー翌年にチェルシーに引き抜かれながら出番がなく、5シーズンをひたすら武者修行で過ごすというチェルシーローン戦略の犠牲者。その生い立ちのせいかすっかり苦労性の顔になっており、うらぶれた表情と微妙にダサい髪型は2部チームのエースに相応しい。プレミアに挑戦できそうなスーパーなストライカーではないが、それなりの強さ高さに献身性を兼ね備え、テクニックも割りとある万能型スタイルは中島裕希を彷彿とさせる。ビエルサ戦術では結構な負担がワントップに掛かっており、バンフォードはかなり頑張ってくれている。単純な得点能力なら上だったろうエディー・エンケティアが出番を得られなかったのはその辺りの理由ではないだろうか。バンフォードはあらゆる苦労と相手CBを背負って今日もポストプレーを続けるのだ。
 明日の相手はチェルシーではないが、同じロンドンのチームという事で「スタンフォード・ブリッジの借りをエミレーツで返す」の意気込みで暴れてもらいたい。悪く言えば器用貧乏なので全く歯が立たない可能性もあるが、頑張れ。


■おわりに

 以上です!!

 アーセナルとリーズの交わりは取り急ぎ明日のみですが、監督もビエルサですし、せっかくなのでリーズにも少しだけ興味を持っていただけるとうれしいです。明日は良い試合になりますように、手加減をお願いします。エディーは帰ってしまいましたが、また誰か貸してください。。。


※トップ画像はリーズ公式より引用しました(言い訳)

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