[読書記録]2022年7月に読んだ本

今月はあまり読めていませんね〜。今、NHKでやってる「笑わない数学」という番組が面白くって、そこで取り上げられていた「無限」の問題をもっと知りたくなり、野矢茂樹さんの『無限論の教室』(講談社現代新書)も読んでるんですが、難しくてさっぱり進みません。
出版社を書いてないのはネットで公開されている漫画です。ネットで漫画はいろいろなのを読んでいるんですが、特に印象に残ったものだけ記録しておきます。

カシワイ「風街のふたり」

老人と少女の静かな友情の物語。優しい絵柄で言葉少なに進む物語が、心の柔らかい場所にそっと触れてくる。過ぎ去った過去の思い出が、見ることのない未来が、折に触れて現在に交錯する。生きるのは切なくて哀しいけど、隣に誰かがいることが支えになりますね。

アンナ・ウォルツ作、野坂悦子訳『おいで、アラスカ!』(フレーベル館、2020)

突然始まるてんかんの発作に悩む少年。両親が強盗に襲撃された少女。深刻な悩みを抱えた二人が、中学校一年生のクラスで出会い、犬を挟んで少しずつ近づき、反発しながらも徐々に理解しあっていく。重く苦しいテーマだが、話の展開に意外性があって読ませる。希望が見える結末が良い。生き生きした訳文も素敵。

大白小蟹「海の底から」

学生時代に小説を書いていたけれど、今は仕事に追われて文章を書けずにいる主人公。創作を続けている友人たちが眩しくて...。この気持ち、よくわかるなぁ。彼氏が主人公にかける言葉がいい。創作をしたいと思っている全ての人をそっと励ましてくれる、静かで素敵な作品。

濱野京子『マスクと黒板』(講談社、2022)

中学2年生の美術部員、立花輝は、登校日に昇降口の黒板に描かれた見事な黒板アートを見る。誰が描いたのかわからない。校舎と桜と山並みを美しく描いたその絵には、コロナ禍に入学した新一年生へのメッセージも添えられていた…。
コロナ禍での学生生活と黒板アートを絡めた物語。たっぷり盛り込まれた時事ネタが目につくせいか、私は残念ながらあまり面白いと思えなかった。人物の描き方が十分ではなく、読んでいてもどの登場人物にも感情移入できない。コロナ禍の状況や、その中で生きる子どもたちの大変さを描きたいのだろうけれど、物語としての面白さがしっかり成立していないように思えた。黒板アートの魅力ももっと伝わってきたら読んでいて嬉しいだろうと思う。

大西暢夫『和ろうそくは、つなぐ』(アリス館、2022)

和蝋燭を作る職人を訪ね、蝋や芯の原料について調べていくと、材料だけでなく残り滓までが様々な人々や仕事に繋がり、余さずに使われていることがわかる。昔から続くモノづくりの過程には捨てるものがないことを、丁寧に紹介した写真絵本。

田中達也『くみたて』(福音館書店、2022)

洗濯バサミや歯ブラシなどの日用品をブランコや街灯に「見立て」て、ミニチュアの人形たちが新たな世界を組み立てます。身近なものが意外な視点から全く違うものに生まれ変わるので、ページを捲るたびに驚きがあります。子供から大人まで楽しめる絵本。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?