カディスvsレアルソシエダ~居場所を見つけた久保建英~[ラリーガ第1節]
超久しぶりの欧州サッカーレビューです
試合概要
メンバー
・カディス
プレシーズンでは3バックを試していたようだが、開幕戦は4-4-2のシステム。自分的にはカディスは4-4-2のイメージしかない。
・レアルソシエダ
久保建英は開幕戦スタメンをゲット。しかもサイドやIHではなく、2トップの一角としてイサクとコンビを組む。中盤はダビドシルバがトップ下のダイヤモンド。みんなスペイン代表クラス。
(1)整理されたビルドアップ
カディスの守備は高い位置からプレスにはいかず、4-4-1-1の守備ブロックを作ってミドルゾーンで構える形。ソシエダの2CBとアンカーに対して2トップが縦関係となって、ルーカスペレスがアンカーのスビメンディのマークにつき、ロサーノがCBのスベルディアとルノルマンに制限をかけに行く。
この2トップの守備によってアンカーが抑えられ、CBもドリブルで運べない時には、IHのメリーノかブライスメンデスがアンカー脇に降りてきてビルドアップをサポートする。このアンカー脇に降りてきたIHがCBから縦パスを引き出してから
アンカーへの落としで前向き(レイオフ)
逆のCBへ渡して、CBがドリブルで運び前進
逆のSBへ展開
などの形でカディスの2トップのファーストプレスを外す。
また、カディスはビルドアップのサポートにアンカー脇まで降りていったIHにはCHがついて行って対応する。そうするとライン間が空いてくる。その空いたライン間に久保建英やダビドシルバが顔を出して1つ先のパスルートも確保する。
このように2CBとアンカー、降りて来るIHでカディスの2トップの守備を外すことでCBがドリブルで運べる状況を作り出す。
CBがドリブルで運べる時にはIHは降りてくることはなく、ライン間にポジションを取る。このIHに対してカディスはSHを内側に絞らせて対応する。SHが内側に絞ることで空いてくるのが大外のレーン。これによってサイドに張ったSBから前進できるスペースを作り出すことができた。
またもう1つの形。2トップの守備を外してCBやSBがボールを持った時、ソシエダのIHはカディスのSH-CH-SBの三角形の中間にポジションを取る。ここに立つことでカディスのSBの意識は自分の前に立つIHに向くことになる。SBの意識が前を向いたのを見て2トップがサイドに流れてSB裏を狙う。
サイドの高い位置に張っている選手がいなかったソシエダだが、こんな感じでSBが持ち運んだり、2トップがサイドに流れることでサイドの深い位置も使うことができていた。2トップの配置を右に右利きのイサク、左に左利きの久保建英にしたのも、サイドに流れてからスムーズにクロスへ繋げたい!という狙いがあっただろう。
(2)カウンターを封じるボール保持
ソシエダのボール保持時、2トップは降りてきて足元でパスを受けるというよりも、相手の背後を狙う意識が強い。それはイサクだけでなく久保建英も。2トップが背後を狙っていくことで、カディスの守備ブロック全体が押し下げられる。これによってソシエダの中盤でのボール保持が安定した。
7分20秒の場面。CBのルノルマンからSBのディエゴリコへパスが渡る。この時、久保建英は降りて行って足元で要求するのではなく、相手の背後を狙う。この動きによってカディスの守備ブロックが押し下げられる。
全体が下がったことで左サイドではアルバロペレアに対してディエゴリコとメリーノで2対1の数的優位。メリーノに繋いでからはカディスはファリとホセマリが出てきて対応するが、一度下げられているため後手後手の対応。スビメンディ経由で逆サイドのエルストンドまで展開してクロス!と言う形だった。
また、この2トップの押し下げる動きがカディスのカウンターを封じることに繋がった。カディスの攻撃で最も有効なのは鋭いカウンター。ボールを奪ったら2トップのロサーノとルーカスペレスがソシエダのSB裏を狙って走り込む。このような形を作り出したかったはず。
しかし、全体を押し下げられたことでボールを奪う位置も低くなってしまうので、そこから上手くSB裏を狙ってカウンターに繋げると言うわけにはいかなかった。ソシエダの素早いネガティブトランジション(攻→守の切り替え)での即時奪回が機能していたのも、カディスが理想的な形でボール奪取ができなかったのが要因の1つ。理想的なボール奪取の形って何だ?っていうのはこの少し後で。
久保建英の先制点の場面もこのネガトラでの即時奪回から。この場面もイサクが相手の背後を狙うことで全体を押し下げる。カディスも一度はCBのチュストがライン間への横パスをカットして奪ったものの、奪う位置が低め。そしてロサーノも低い位置まで下げられているため、カウンターに繋がらない。
迷っているうちにブライスメンデスにかっさらわれてメリーノから背後を取った久保建英へという先制点だった。
で、後回しにしていたカディスの理想的なボール奪取が見られたのが47分40秒の場面。(1)で書いたCBの持ち運び+IHの立ち位置で空いた大外からディエゴリコが前進。ただ、ここからパスが背後ではなく、横のメリーノへと出る。しかも少しズレる。
ここをファリが前向きでボール奪取、そして素早くSB裏へ走り込むルーカスペレスへ蹴り込んでカウンター!といった形。
ここでは背後を狙うソシエダの選手がいなかったため、カディスは全体があまり下がらずにファリも高めの位置で前向きにボールを奪うことができた。
このように久保建英の背後を狙う動きはカウンターを封じるという意味でもとても有効だった。カディスに良い形でボール奪取をさせなかった。
そしてそのチームへの貢献は開幕戦決勝点という最高の結果へと繋がった。
おわりに
FC東京レビューでは「おわりに」で長々と書いていますが、欧州サッカーレビューではほとんど書きません。どうしても線で見れないとわからない部分があるので。なので一言。
久保さん良いチーム入ったね。
試合結果
2022.8.15
カディス 0-1 レアル・ソシエダ
エスタディオ・ラモン・デ・カランサ
【得点】
レアル・ソシエダ
24' 久保建英
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