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マルタvsキプロス~キプロスのプランをぶち壊した退場劇~[W杯欧州予選グループH第4節]

日本で初めて?のマルタ対キプロスの分析です。

試合概要

メンバー

試合内容ふり返り
試合序盤はマルタがボールを握り、2度GKと1対1を作りますが決めきれません。キプロスとしてはその2つの場面以外は狙い通り守ることができていました。しかし40分にキプロスのソティリウがシミュレーションで2枚目のカードをもらい退場。そして再開後最初のプレーでマルタが先制。これで完全に流れはマルタに傾きます。さらにマルタは後半の早い時間に2点を追加して3ー0の快勝。欧州予選初勝利をとなりました。

(1)試合序盤の攻防

試合序盤はマルタが攻めキプロスが守る展開、特にサイドでの攻防が多くなりました。その要因として挙げられるのがキプロスの守備陣形です。キプロスは5-2-3の守備ブロックで3トップ+2ボランチの距離感をコンパクトにして中央からの攻撃を塞ぎます。そうすることでマルタの攻撃はサイドからWBを経由することが多くなります。そのWBに対してはキプロスのSBが縦にスライドして攻撃を遅らせ、その間にボランチやCBなどで密集を作りボールを奪う、もしくは後ろに戻させます。

マルタの攻撃で問題となっていたのはWBの立ち位置が低すぎる点です。WGがサイドに開いてキプロスのSBをピン留めし、前に出て来れないようにしていた場面は何度かありました。しかし、WBの位置が低すぎたため、キプロスのWGが対応できるようになっていました。この立ち位置をより高くすればSBに対してWBとWGで2対1を作り出せていたと思います。

試合序盤キプロスは2度GKとの1対1を作られましたが、それはミスと中央からの突破を許した場面で、サイドからの攻撃は狙い通り守ることができていました。40分までは。

(2)プランを破壊した退場

ピンチを招きながらもなんとか凌いでプラン通りに試合を進めていたキプロスですが、40分にCBのソティリウがシミュレーションで2枚目のカードをもらい退場になります。これによってプランが崩れてしまいました。

1人少なくなったキプロスはフォーメーションを4-4-1にしてディフェンスラインを5枚から4枚に減らします。5バックの時はSBが縦に出ていっても後ろにはまだ4枚DFが残っています。そのため、40分までは積極的にSBが縦に出ていましたが、4バックになるとそうはいきません。後ろの枚数が足りなくなってしまうので40分以降はSBが縦に出てこれなくなりました。

これによってせき止められていたマルタのサイド攻撃が開通します。これまで強くプレスをかけられていたWBやWGがフリーになることが増えました。実際にマルタの3得点は全てサイドからの攻撃によるものでした。1つのプレーが完全に両者の明暗を分けた試合となりました。

注目選手:スティーブ・ボルグ

今回注目選手として取り上げるのはマルタのCBスティーブ・ボルグです。マルタリーグのグジラ・ユナイテッドFCに所属する33歳で代表ではキャプテンを務めます。身長は178cmと小柄ではありますが対人にも優れており、この試合の地上戦勝利は4/4、空中戦勝利は2/3となっています。(sofa scoreからのデータ)
彼の1番の特徴はビルドアップ能力の高さです。相手がプレスに来ない時にはドリブルで持ち運び、相手を引きつけてフリーの味方を作りパスを通すことができます。この試合の1点目と2点目はボルグの持ち運んでからのパスが起点となっています。年齢を考えるとここから5大リーグへのステップアップは現実的ではないので、ぜひマルタ代表の試合をチェックしてみてください!

試合結果

2021.9.2
FIFAワールドカップ欧州予選グループH第4節

マルタ 3ー0 キプロス

【得点者】
マルタ
 43' アッタード
 46' J.ムボング
 54'アッタード

【退場者】
キプロス
 40' ソティリウ

最後までご覧いただきありがとうございました。普段見ないチームを見ると新しい発見があって面白いですね。この記事を見てマルタやキプロスに興味を持っていただければ幸いです。

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