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[試合分析]レアルマドリードvsビジャレアル~修正と無修正~[ラリーガ第7節]

課題から解放されたひかるです。

試合概要

メンバー

レアルマドリード 0-0 ビジャレアル

(1)ビジャレアルのビルドアップ

前半はビジャレアルのビルドアップが機能し、マドリーのプレスを回避し続けました。ビルドアップの中心となるのは左サイドです。マドリーの右サイドのロドリゴ、アセンシオ、カゼミロに対してパウトーレス、Aモレノ、キャプー、コクランの4人で四角形を作りボールを前進させました。

マドリーはIHのアセンシオが高い位置を取ってCBのパウトーレスまでプレスに行くことが多かったため、ビジャレアルのアンカーのキャプーが空く場面が多くなりました。それ以外でもロドリゴがパウトーレスまで出て行くと左SBのAモレノが空く、カゼミロがキャプーまで出て行くとコクランが空くといった感じでどうしてもプレスがハマらない展開が続きました。

このビルドアップへのマドリーの対応の仕方として、左サイドのモドリッチやヴィニシウスがキャプーを抑えに行く場面が何度かありました。これによってビジャレアルの四角形に4人で対応できるようになります。

そのような状況になった時のビジャレアルのプレス回避の仕方として2つのパターンが見られました。1つが左WGのダンジュマが下がり四角形+1にして縦パスを受ける方法。もう1つが逆サイドのSBフォイトまで一気に展開する方法です。この時、左サイドのモドリッチかヴィニシウスは中央に寄っているためフォイトがドリブルで持ち運ぶスペースができています。フォイトのドリブルがマドリーの脅威になる場面がありましたが、それはこのような流れで出来ていたものでした。下の図は4分40秒の場面です。

(2)前半の問題点と改善案

前半のマドリーの攻撃では左サイドで問題が生じていました。マドリーは両WGがサイドに張ってIHがハーフスペースを取るのが基本の形となります。ですが、左IHのモドリッチは低い位置でビルドアップに参加する場面が多く見られました。左SBのナチョも高い位置を取るタイプではないため、モドリッチが下がって来ると左のハーフスペースを取る人がいなくなってしまいます。ヴィニシウスにドリブルするスペースを与えるためわざと空けているという見方もできますが、この試合のヴィニシウスはフォイト、パレホ、ピノの3人に上手く対応されボールを失う場面も目立ちました。ボールロスト19回は両チーム最多です。そのため、左のハーフスペースに誰かがポジションを取り、サポートに入った方が良かったと思います。

この問題の改善案としてIHのモドリッチとアセンシオを入れ替えるというのが自分の考えです。

アセンシオを左IHにすることで左のハーフスペースに人がいなくなる問題が解決します。また、この試合では右SBにバルベルデを起用していたため、右サイドでモドリッチがビルドアップに下がっても代わりにバルベルデがハーフスペースを取ることができます。これで5レーンに適切に人が配置されやすくなります。また、配球に優れたアラバとモドリッチを左右に分けることで両サイドで縦パスが入りやすくなり、ビルドアップがより円滑になると思います。

(3)マドリーの修正と頭脳派パレホ

ハーフタイムでマドリーはロドリゴとカマヴィンガを交代。アセンシオを右WG、モドリッチを右IHにポジションを変えて守備を修正してきました。

前半はパウトーレスに対してプレスに出る役割はアセンシオかロドリゴか決められていませんでした。そこを後半からは右IHに移ったモドリッチが担当するようになりました。そしてフリーになることが多かったキャプーには主にカゼミロ出て行ってが対応。ここにはカマヴィンガがつくこともありました。そして前半は高い位置までは出てこなかった右SBのバルベルデも後半は出てくるようになり、全体を押し上げてフリーの選手を作らせない仕組みへと変更しました。これによりビジャレアルのビルドアップは前半よりは機能しなくなりました。

このマドリーの修正に対して動いたのが右IHのパレホです。後半からパレホは右IHの位置から左サイドまで来てパウトーレスの近くにポジションを取るようになりました。これによりモドリッチはパウトーレスに対応しつつ、パレホも気にしなくてはならなくなります。パウトーレスにプレスをかける時は横のパレホのコースを切るため、縦へのコースは切れなくなり、縦パスが通しやすくなります。パスが出てこなくてもそこにいるだけで意味がある頭脳派パレホのポジショニングです。

下の図は58分10秒の場面です。戦術好きなら興奮するパレホのポジショニングが見れます。図では伝わりきらないので映像でもぜひ見てみてください。

守備はしっかりと修正したマドリーでしたが、攻撃の方は後半も上手く機能せず。前半に引き続き左のハーフスペースに誰もいない場面も見られました。また、ナチョが高い位置を取るようになった結果、ヴィニシウスと被ってしまう場面もありました。アセンシオの右WGも機能していませんでしたし、攻撃に関してはアンチェロッティの采配に疑問が残る試合となったのではないでしょうか。まあそういう日もあるよね。

この試合のハイライトはこちらから↓

最後までご覧いただきありがとうございました!
カルバハルとメンディが恋しい。

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