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ロシアvsキプロス~手も足も出なかった訳ではない大敗~[W杯欧州予選グループH第9節]

試合概要

【スタメン】

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【交代】
ロシア
 57' スモロフ→ザボロトニー
 57' ゴロヴィン→ゾブニン
 67' フォミン→グレボフ
 67' ディヴェイェフ→チスチャコフ
 72' モストヴォイ→イオノフ

キプロス
 46' プサルティス→デメトリウ
 68' ジオニス→ママス
 74' P.ソティリウ→カコウリス
 83' パプリス→スポルジャーリック
 83' カスタノス→アントニアデス

(1)キプロスの新たな守備

これまでの試合では全試合(この企画が始まった4節以降)で5-4-1の守備ブロックで戦ってきたキプロス。しかし、今節は5-3-2の守備ブロックに変更してきました。この狙いとして考えられる理由は下の3つです。

①ロシアの中盤3枚の対して数的同数とする

②1トップの脇から相手CBにドリブルで運ばれることが多かったのでその対策

③自分がクロアチア戦のレビューで5-3-2にすべきだったと書いたから←それはない

冗談はこれくらいにして、キプロスの5-3-2を詳しく見ていきます。2トップはCFのPソティリウと左WGのパプリス。この2枚はロシアのアンカーのフォミンを背後で見ながら2CBの前に立ちドリブルでの持ち運びを牽制します。中盤は2ボランチと右WGのジオニスの3枚。左右のカスタノスとジオニスはロシアのIHにマンマーク気味の対応。真ん中のアルティマタスはCFがアンカーを背中で消しているため1枚余り。CFがCBにプレスに行き、アンカーがフリーとなったら前に出ていきます。この守備によりロシアは上手くボールを運べずにロングボールを蹴らされます。ロシアのCBのフィードの精度は高くないため効果的なパスはなく、キプロスに回収される展開が何度か続きました。10分くらいまでは。

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この試合ではキプロスの左WBのイオアヌがかなり高い位置までロシアの右SBの対応に出てきていました。高い位置まで出てくるということは当然裏にはスペースができます。この弱点を10分でロシアに見抜かれました。

右SBのストルミンはあえて少し低めの位置を取ってイオアヌを引き付けます。そして右WGのミランチュクが斜めに走りこみ裏のスペースを取りました。時には左WGのモストヴォイが右までポジションを変えて走りこむ場面もありました。またイオアヌがストルミンにプレスに行く時、そのスタート位置が低いところから出ていきます。そのためストルミンはボールを受けてから余裕をもって一度前を向いて、前へパスを出せますし、イオアヌを交わすこともできました。

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キプロスは右サイドや右のハーフスペースで深い位置を取られゴール前へ危険なボールを何度かあげられますが、前半はなんとか1失点に抑えます。しかし、このゴール前へのクロスが後半の大量失点の伏線となっていました、、、

(2)伏線回収

後半だけでまさかの5失点。その失点やピンチの場面にはある共通点がありました。それがペナルティマーク付近を抑えられなかったことです。下の画像はロシアの前半と後半のシュートを打った位置です。前半と比べて後半はペナルティマーク付近からのシュートがかなり増えています。

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このエリアでシュートを打たれた形の1つがマイナス方向のクロスでした。前半のようにサイドの深い位置まで侵入されてクロスをあげられる場面。この時、キプロスのボランチがディフェンスラインに吸収されるくらい低い位置まで下がるようになっていました。前半にGKとDFの間に決定的なクロスをあげられるなどゴール前に危険なボールを入れられていたため、DFとボランチの位置を下げて対応するようにチームとして修正しようとしたか、そこに入れられたくないという心理が選手に働いたのかもしれません。

どちらにせよボランチが下がりすぎてしまうとペナルティマーク付近には誰もいなくなってしまいます。その結果、ロシアのマイナス方向のクロスに対応できずにシュートを打たれてしまいました。

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またクロス以外でもこのエリアに侵入される場面は前半よりもありらかに増えました。ディフェンスラインが下がりすぎたり、ボランチの戻りが遅れたりして空いたライン間をロシアに使われました。前半のようにこのエリアをしっかりと抑えられていたらここまでの大量失点はなかったかと思います。

(3)プレス回避の鍵

最後にキプロスの攻撃について書いていきます。キプロスの3バックと2ボランチに対して、ロシアは3トップと2IHであるため上手く噛み合うようになっています。なのでキプロスはどこかでズレを作り出す必要がありますが、結局それを作り切れずにロシアのプレスによってボールを運ぶことができませんでした。ですが、キプロスはどうしようもない状況だったわけではありません。プレスを回避する鍵を持ってたにもかかわらず、それを鍵穴に差し込むことができませんでした。

そのプレス回避の鍵は右サイドです。右WGのジオニスはサイドに張ってポジションを取っていました。これによってロシアの左SBのテレホフはピン止めされた状況になり、逆サイドのようにWBに対して出ていけなくなります。そのためキプロスの右WBのプサルティスには左CBに対応していた左WGのモストヴォイかボランチに対応していた左IHのゴロヴィンのどちらかがプレスをかけていました。つまりロシアの左WG、左IHに対してキプロスは右CB、右WB、ボランチの三角形で数的優位を作り、プレス回避ができる状況でした。

しかし、キプロスはこの状況を活かすことができませんでした。というのも、右WBがボールを持った時に、ボランチのアルティマタスが常にゴロヴィンの影に隠れていたためパスが出せずに右CBへ戻ってしまう場面が多く見られました。これはゴロヴィンを右WBの方に引き出せた時も同様でした。この時アルティマタスがパスを受けられる位置に現れ、下の図のような右WBに対して斜めの関係を作れていたら右サイドからのプレス回避ができていたかもしれません。

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注目選手:アレクサンドル・エロヒン

今回取り上げる注目選手はロシアのアレクサンドル・エロヒンです。得点力のあるMFであり、所属クラブのゼニトでも今季リーグ戦15試合(先発7試合)で6ゴール、欧州予選でも6試合(先発4試合)で3ゴールを決めています。この試合の自身2点目のシュートテクニックは見事でした。ちなみに欧州予選の3ゴールはすべてキプロス戦です。キプロスキラー。

試合結果

2021.11.12
FIFAワールドカップ欧州予選グループH第9節

ロシア 6-0 キプロス

【得点者】
ロシア
 4' エロヒン
 55' スモロフ
 56' モストヴォイ
 62' ストルミン
 81' ザボロトニー
 87' エロヒン

最後までご覧いただきありがとうございました。ここから怒涛の連続投稿していきたい!

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