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FC東京vs鹿島アントラーズ~笑顔で送り出そう~[Jリーグ第16節]

3連戦の最終戦、そして代表ウィーク前最後の試合。首位・鹿島アントラーズをホームに迎える。

FC東京は前節4試合ぶりの勝利。停滞感満載だった前々節の柏戦とは打って変わって内容も結果も今季最高の試合で6位に浮上した。
またポルトガルのビトーリア・ギマランエスへの移籍が決まった小川にとっては最後の味の素スタジアム。勝って送り出しましょうよ。

対して鹿島。ここまで9勝3分3敗の勝ち点30で川崎と並び首位。やっぱり毎年強いよね。
前節は鳥栖と4-4の打ち合い。3点先行されて、アディショナルタイムの2得点なんかで逆転。そしてその後追いつかれるというお祭り。

試合概要

メンバー

・FC東京
前節からは3枚変更。長友、青木、アダイウトンがスタメン復帰。あと山下がベンチに戻ってきた。味スタラストゲームの小川さん。今日も元気にスタメン。

・鹿島アントラーズ
前節からは2枚変更。関川と和泉に変えてブエノとファンアラーノ。ファンアラーノは6試合ぶりのスタメン。

前半

2段階の数的優位

まず鹿島の守備から。CBの森重と木本に対しては2トップの上田と鈴木でそのままプレス。アンカーの青木はCHのピトゥカか樋口のどちらかが前に出てマークを担当する。

ここからSBへボールが渡ったらSHがプレスをかける。そしてボールサイドのIHにはCH、残ったもう1枚のIHには逆サイドのSHが絞ってマーク。こんな感じで逆サイドを捨てて、片方のサイドを狭くしてFC東京を閉じ込めるのが鹿島の守備。

これに対するFC東京のビルドアップ。

いままでは高い位置を取ることが多かったIHだが、この試合では特に松木が低めの位置を取る場面が見られた。青木と松木が低めの位置を取ることで、青木のマークで前に出てくる鹿島のCHに対して2対1の数的優位を作り出し、パスを引き出していく。

また、清水戦に続いて右WGの渡邊は中央に絞ってポジションを取る。そうすることで残ったCHのに対しても2対1の数的優位を作り出した。

8分10秒の場面。松木がピトゥカのマークを引き付けたことで青木がフリーに。そして中央に絞った渡邊と安部で樋口に対してここでも数的優位。渡邊がライン間で青木から縦パスを引き出した。ここは安西に上手く潰されてしまったが、こんな感じで2つの局面で数的優位を作って前進するのがFC東京の狙いだった。

ただ、安西が渡邊を潰しに来ることができるのはサイドの高い位置に誰もいないから。この場面で長友に高い位置まで上がれっていうのは酷だけど。WGが中盤のように振舞うということはSBの立ち位置が重要になるね。

鹿島の問題点

鹿島はゴールキックなどGKからのスタートでは徹底してロングボールを使ってきた。ディフェンスラインでのボール回しを省略することで、FC東京の強みである高い位置からのハイプレスを封じるのが狙いだと思った。ただ他の鹿島の試合を見るとけっこうロングボールを使っていたので別にFC東京対策というわけだはなさそう?
どちらにしてもFC東京の得点パターンであるハイプレスショートカウンターは発動させてもらえなかった。

最終ラインでの保持を省略するため、鹿島のボール保持時にはFC東京を敵陣まで押し込んでいることが多い。自陣で守る相手に対してどう点を取るか?というところで鹿島の問題点が見られた。

鹿島の2トップのタスクは上田が中央で最前線を取るのに対して、鈴木はサイドに開くなど自由に動く。また、鈴木が中央からいなくなるとゴール前の厚みがなくなるため、かわりに両SHのカイキとファンアラーノはサイドに張るよりもゴール前に入る。そしてSBが高い位置を取る。

ここが鹿島のちょっとした問題点。再手を押し込んだ時、両SHがペナルティエリア内、ゴール前まで入るため、SBをサポートできる位置にはいない。鈴木はサイドに開くが、ニアゾーンを走ってCB-SB間を狙うような動きはない。あくまで後ろでのサポート。そのため、サイドを突破するときにはSBが1人で仕掛けなければならない。

サイドで1人でドリブルを仕掛けての突破やクロスまで繋げることができるSBは世界で見てもなかなかいない。

飲水タイム後にはCHがニアゾーンを狙って走り込む場面が見られるようになった。しかし、SBが高い位置を取っているときにCHまで出てくると中盤のフィルターが薄くなってしまう。

改善策としては例えばこんな形。サイドにはSHを張らせて1対1でも勝負できるように。CHをゴール前まで上げてゴール前の厚みもキープ。CHを上げた時にはSBを中央に絞らせてフィルター役とする。こんな形も選択肢としてはありだと思う。

ただ、自分は鹿島の試合を継続して見ているわけではないのでその役割ができる選手がいるかは正直知らない。フィルター役のSBは常本と安西、ゴール前に入るCHはピトゥカと樋口でできそう。ただ、サイドで仕掛けるSHがいるかは分からない。少なくともファンアラーノと和泉はそういうタイプではなさそう。

ハーフタイム
飲水タイム過ぎたあたりから鹿島のプレスの強度が下がり、FC東京は敵陣近くまでは簡単に運ぶことができるようになり2得点。この試合は3連戦の最終戦で鹿島はほとんどメンバーを変えていない。しかもこの日は気温28度とかなり暑い。両チームとも強度が落ちる(落とす)のは想定内だっただろう。

後半

役割を明確に

追いかける鹿島は守備を修正。とは言っても大きく変えてきたわけではなく、選手の役割をより明確にした。

前半はアンカーの青木を2CHのどちらかがマークに出ていく形だった。その役割を後半は樋口に固定。樋口とピトゥカでマークを分担していた前半はどちらも後ろに残った結果、青木がフリーになる場面があったが、役割を明確にすることでしっかりマークがつくようになった。なぜ最初からこうしなかったんだろうか。

あとゴールキックなどのリスタート時のSHの立ち位置も少し内側に修正。これで青木の横を取るIHにもプレスをかけられるように。前半に数的優位を作られていたエリアの形を変えてきた。

鹿島の圧力が強くなり、前半ほど最終ラインから繋げなくなったFC東京。そのため、攻撃はより縦に早くになった印象。早い時間で渡邊と永井を代えて3トップの強さ・速さを活かす攻撃。

鹿島の中盤がよりダイヤモンド型になったため、残ったピトゥカの横でディエゴがパスを引き出したり。シンプルにロングボールを使ったり。

特に左サイドのアダイウトンのところにロングボールを蹴る場面が目立った。前半からアダイウトンは完全に質的優位を取れていた。終盤には鬼キープで時間を消費して試合終了。

まさにアダ無双。

おわりに

清水戦の勢いそのままに首位鹿島に快勝。順位は6位といい形で代表ウィークに入った。

また、この試合で小川さんは味スタラストゲームとなった。今季のFC東京のSBはチームの状態的に難しい仕事を強いられたと思う。そのなかでも小川さんはCBにけが人続出した時に代わりを務めたりと大変なシーズンだっただろう。しかもその試合で福岡のフィジカルゴリゴリCFに狙われるし。

それでも清水戦で2得点を決めたのは小川さん。この試合の1点目のキッカケを作ったのも小川さん。チームには欠かせない存在。

6年半過ごした味の素スタジアムでは最後となったが、まだあと2試合残っている。勝って笑顔で送り出そう。

10年後くらいに帰ってきてね

試合結果
2022.5.29
FC東京 3-1 鹿島アントラーズ
味の素スタジアム

【得点者】
FC東京
 33’ 渡邊 凌磨
 42’ 渡邊 凌磨
 52’ ディエゴ・オリヴェイラ

鹿島アントラーズ
 54’ 上田 綺世

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