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アビスパ福岡vs FC東京~チグハグな攻撃とその改善案~[J1リーグ第10節]

J1リーグ第10節アビスパ福岡とFC東京の試合は、ブルーノメンデスの移籍後初ゴールでアビスパ福岡が1-0と勝利しました。

今シーズンのFC東京はリーグ戦9試合で16ゴールと攻撃陣が好調でしたが、この試合では攻撃が機能せず完封負け。前節川崎戦に続き2連敗となりました。

この記事ではFC東京の攻撃が停滞した原因とその改善案について解説していきます。ぜひ最後までご覧ください!

試合概要

スタメン

得点
アビスパ福岡
 58'(1-0)ブルーノメンデス

1.両サイドの問題点

この試合でのFC東京の攻撃は両サイドで全く異なる問題が起きていました。

1-1.過疎化する右サイド

この試合で右SBに入った岡崎は本職はCBであり、高い位置でのプレーを得意とする選手ではありません。また、右WGに入った田川も本職はCFであり、サイドから中央に絞ってプレーをするタイプの選手です。さらに、右IHの三田も左利きで中央でプレーする選手です。つまり、右サイドの大外のレーンを使う選手がいないということになります。

11:01のアダイウトンが左サイドでボールを持った場面。ここでは田川がPA内に入り、三田が中央に絞って相手SHを引きつけています。これによって右サイドにはスペースができ、アダイウトンはそのスペースにボールを展開します。しかし、右SB岡崎の上がりが遅れ、カットされてしまいました。

14:05の岡崎が右サイドの低い位置でボールを持った場面。ここでは相手左SBが岡崎に対応したため、右サイドの深い位置にスペースができています。しかし、田川はゴール前に走り込み、パスが出ますがDFにカットされました。

この場面でスペースを使うことができればPA内で2対2の状況が作れました。(下の画像)

1-2.渋滞する左サイド

人がいない右サイドとは対照的に左サイドは人が渋滞していました。

この試合では左IHの東が左サイドに流れる場面が多く見られました。おそらく福岡の右SBサロモンソンの背後を突くことがチームとして決められていたと思います。東に加えてアダイウトンも左サイドにいるため、左SBの小川が高い位置を取れなくなってしまいます。攻撃でも貢献できる小川を低い位置に留まらせておくのは非常にもったいない選手起用と言えます。

2.クロスをあげる角度

FC東京の右サイドには左利きの田川と三田、左サイドには右利きのアダイウトンと東という配置でした。つまり、両サイドともサイドとは逆足の選手が使われていました。(SBを除いて)
そのため、あがってくるクロスの軌道は下の画像のようになります。

この軌道の場合、DFはボールとFWを同一視野でとらえることができるため、対応がしやすくなります。FWに背後をとられてもFWはゴールに背を向けた状態となるため失点のリスクは低くなります。14:12の場面でアダイウトンからこのような軌道のクロスが上がりましたがDFに対応され、GKに直接キャッチされました。

これが深めの位置から逆足でのクロスの場合、DFはボールとFWを同一視野に捉えることができないため、(視野に入っている場合は前に入られてしまっている時)対応が難しくなります。

39:00の小川の左サイドからのクロスに田川が競り合い、こぼれ球をD.オリヴェイラがシュートにつなげた場面。ここではファーサイドの田川はDFの背後、つまり視野の外にいます。そのためDFは田川の動きを認識できないままの対応となったため、上手くクリアできずにシュートまでつなげられました。

このようにただ闇雲にクロスをあげれば良いのではなく、その角度軌道を考えてあげることでよりチャンスにつなげやすくなります。

3.この試合での改善案

ここからは停滞した攻撃の改善案を解説していきます。多くの案があると思いますが、その中でも最も簡単なのはIHの東と三田の位置を入れ替えることではないでしょうか。この策によって両サイドの攻撃がよりスムーズになります。

右IHの東には左の時と同じように、サイドに流れ、人がいなかった大外のレーンを使ってもらいます。川崎の田中碧なんかがよくやる動きです。このメリットは相手がマークにつきづらいことです。

本来ボランチがIHのマークについていますが、サイドまでついていってしまうと中央にスペースができるため、マークを離すことになりやすいです。SBもWGとIHの2択のマークを強いられるため対応が難しくなりますし、SHもIHの動きに合わせてディフェンスラインまで下がるのは難しいといえます。

左サイドは東がいなくなった分SBの小川が高い位置をとりやすくなります。そうすることで39:00(2.クロスをあげる角度の3枚目の画像)のような場面が作りやすくなります。

また、右WGのアダイウトンは内外どちらも使い分けることができるため左IHの三田のインナーラップ(CBと SBの間のスペースを使う)などの攻撃の形もできます。

このようにIHの位置を入れ替えるだけで停滞していた攻撃のバリエーションが豊富になります。

この試合のハイライトはこちらから↓

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