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乱歩ちゃん

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長めの文章置き場
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2019年7月の記事一覧

O嬢の物語

もはや古典ともいうべきSMポルノグラフィ。大変有名なのであらすじは書くまでもないと思うが、恋人にロワッシーの館へ連れて行かれたOが見知らぬ男達に共有され陵辱され調教されたあげく「人として扱われない」という状況のもとで、より貞淑でより敬虔な気持ちに目覚め、奴隷状態の幸福に気づくという話である。私は無人島に持っていくならこの1冊(もしくは、ナボコフの「ロリータ」)を選びたい。この本を読むと、私はいつも

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人工の冬

この本は、かなり読む人を選ぶのではないだろうか。しかし、私はかなり気に入ったので是が非でも紹介したい。

アナイス・ニンは赤裸々な表現が話題となった日記文学で脚光を浴びた、女流作家である。性愛文学といっても昔の人なので、それこそ源氏物語レベルであるので、全くもってスキャンダラスではない。

この本にはバイセクシャルを含む三角関係を描いた「ジューナ」、あまりに優雅で身勝手な父とその娘(作者本人)との

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ネクロマンティック1 完全版

ネクロフィリアを題材としたスプラッタB級ムービーとして紹介されることが多い本作。本国ドイツでの上映禁止、フィルム廃棄などばかり取り上げられるが、内容について書かれたレビューが少ない。
私はネクロフィリアでもスプラッタ映画が好きなわけでもないが、とても良い映画だったと思うので共感した方には是非見てもらいたい。

ご存じない方にあらすじを紹介する。
死体処理を仕事とするロベルトは死体愛好家。同じく

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魔女の世界史 女神信仰からアニメまで (朝日新書)

最近おまじないにこっている。なんでまたというと、コンピュータテクノロジとか最新医学とか科学的論理的に発達してきたものに触れるにつれ、その限界をかいま見ることが多く確率論でいえば確かに加持祈祷より効果があるのだろうが、一個人がただその瞬間になんとかしたいことに関して効果があるかどうかについていえば、あまりにも外部要因が多いテクノロジはもはや神に祈るのと大差ないのでは?という気持ちになってきたからであ

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