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幼き記憶

僕はタバコは嫌いだ
だってお父さんもおじさんも構ってくれなくなるから、

お父さんはいつも遊んでくれる
一緒に工作してくれるし戦隊ごっこだってしてくれる
学校の勉強をしてる時もお父さんに聞けばだいたい何でも教えてくれる
お父さんは物知りだし、色んなところに連れていってくれるし
僕のことを誰よりも好きでいてくれるから大好きだ。

おじさんもいつも遊んでくれる
おばあちゃんの家に行った時しか会えないけど
行ったらちゃんと遊んでくれる
おじさんはゲームがすごい上手いし、力も強い
手加減してくれないからゲームはあんまりしたくない、
でも、お父さんとは違う遊びしてくれるしおもちゃも買ってくれるし大好きだ

けど、そんな2人のことを嫌いになる時がある。
タバコを吸ってる時だ
タバコを吸ってる時は遊んでくれないしベランダに出ていって鍵を締められる。
あそぼーって声をかけたらいつもは
「しゃーないなー」とか言いながら遊んでくれるのに
タバコを吸ってる時だけは1人になりたがる
タバコなんか嫌いだ

テレビでやってたんだ、タバコを吸うと早く死んじゃうって
そんなの嫌だ
だから、僕はいつも言う
タバコやめなって
そしたら毎回こうだ
「そうだよなぁー でもな、大人になったらきっとわかるぞ」
こうやって言っていつも帰される
だから、小さい時からずっと僕はタバコが嫌いだった

そんな僕にも子供ができ、家族がいる
そして大人になった今僕はタバコを吸っている。
大学の時に友達に1本吸ってみなよと言われたのがきっかけだ
最初はなんのために吸ってるのか分からなかった
付き合いで吸ってただけだ。
ただ、吸っていくうちに分かったことがある。
タバコを吸う時は何故か1人の空間になれる。
それまであった嫌なことなんか忘れて
フラットな状態で自分と向き合える。
日々生活する中での人間関係、日々追われる仕事
これらを家族にぶつける訳にはいかない。
せめて家にいる時くらいは楽しく過ごしたい。
そんな思いから気持ちを整理する時間としてタバコを吸う。

先日、息子と遊んでいる時に
「ねぇ、パパタバコやめてよ。 タバコ吸うと早く死んじゃうんだよ。 パパいなくなったらヤダ」
これを聞いた時に小さい頃の気持ちが蘇ってきた。
もしかしたら、あの時お父さんやおじさんも同じ気持ちだったのかなぁ

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