東大卒だけど後悔ばかり:「この仕事を選んだわけ」

「#この仕事を選んだわけ」というハッシュタグがあり、たくさんの方々の仕事への思いがつづられているのを見て、反面教師的な意味で自分の今までの仕事の経歴を書いていきたいと思います。反面教師という言葉から察せられる方もいるかもしれませんが、私は今無職です。

私は子供の頃から勉強が出来ることを褒められて育ち、親から東大に行ければ一人暮らしをさせてあげる(実家は関西)と言われたこともあり、東大を受験し、たまたま合格できました。2001年のことです。一人暮らししたかった理由は、好きだった漫画を好きなだけ描けると思ったからです。

学生時代は今までの反動から勉強は必要最小限にしかせず、授業をさぼっては漫画を描いたり漫画研究部の仲間たちばかりと話してました。実家が太かったのもあり、バイトも時々趣味程度にやるくらいで済みました。

で、壁にぶつかりました。就職活動です。

周りに仲が良くて同じ時期に就職活動をする人がいません。というより、私が自分の弱みを見せないように今まで生きてきたツケが回ってきた感じです。「他人に自分を格好よく見せるため」に「他人になるべく頼らないように生きてきた」ので「他人に頼れない」のです。「人と本音で話せない」、いわゆる「コミュ障」。また、自分より大人な方や偉い人の前でも、すくんでしまって、話せない。

なので就職活動は孤独でした。

漫画家になる夢はその時点で捨てていました。自分より偉大な才能を持つ方が周りにたくさんいて到底かなわないと悟ったし、同人誌という道もあることがその時点で分かっていたので。出版社というのも考えてはいたのですが、出版不況が深刻化していたのと少子化の流れを見て未来が見えず、断念。

ホリエモンが有名になった時期でもあり、i-modeなどの携帯電話技術やコンピュータの発展が著しかった時期だったので、プログラミングを勉強。それが楽しくて業界をIT系に絞って就職活動を行いました。

ただ業界を絞ったのは私の「逃げ」でもありました。

私は当時逃げていました。面接から。そして自分のありのままの姿から。私自身が、ありのままの自分を大嫌いだったのです。他人とコミュニケーションがうまく出来ない自分のことが。なので自己分析もロクに出来ずじまい。面接の場で言葉が出なさ過ぎて、泣き出してしまうこともありました。多少コミュ障が治っている今になって思えば、もっといろんな業種を知るチャンスだったのにもったいない、と後悔しています。ですが、当時の自分にはそれが精いっぱいでした。

そんな状態であるのを面接官の方々もしっかり見抜いていたのでしょう。第一志望だった大手のIT企業群には入れず、結局中堅どころのIT企業に入ることになります。

それでもタチの悪いことに、「自分は元東大生だ」という変なプライドは残っていて、「ここは自分の居場所ではない」という感じをずっと感じ続け、新入社員の中でも浮く存在となっていました。そちらの会社で交友関係が今も続いている人は誰一人いません。まぁ本音を出して話もしないし、見下してくるような奴なんて嫌われて当然なんですが。

そしてそんな会社も3年と居られませんでした。うつ病になりました。

そこからは実家のある関西に戻り、治療と職探しです。運良く雇っていただいた会社に10年近くいましたが、そちらでもうつ病による休職を繰り返す面倒な社員だったと思います。また、そんな状態でも「自分は東大卒だ、こんな会社にいる場合じゃないんだ」という心の声から逃れられず、転職しようとしては挫折、を繰り返していました。

最終的にそこも解雇となり、現在うつ病療養中で無職という段階です。

自分なりに仕事はまじめにやってきたし、コミュ障を治すために努力したことや自慢できることもあるのですが、それでも後悔の方が多いです。今年で41歳になるのですが、不惑とは程遠い、迷ってばかりの先の見えない無職生活(療養生活)を送っています。

きちんと自分に向き合い、好きな仕事を見つけ、励んでいる方にはこんな記事は不要と思います。ですが、もし私と同じようにコミュニケーションが苦手で、就職に不安を覚えている方がおられましたら、反面教師にしていただければ幸いです。以下に3つほどアドバイスを載せています。これは就職活動に苦しんでいた当時の自分への、そしてこの記事に興味を持っていただけた方に向けてのものです。

(1) 病気になったらオシマイです。現在の日本の社会は「健康に働けて消費もする人」を前提に作られています。自分の健康を何より優先してください。特に心の病気には注意してください。

(2) 自分のことが嫌いなまま就職活動に挑むと痛い目を見ます。その後も苦しむことばかりです。まずは自分を知り、自分が好きなことを探しましょう。それを通して、自分を好きになりましょう。難しいことに聞こえるかもしれませんが、自分が好きなことで達成した誇らしいことを書き出してみるだけでも効果はあります。ゲームでも料理でも何でもいいです。

(3) 他人を頼りましょう。人一人で出来ることはたかが知れています。大きな仕事になればなるほど、たくさんの人間が関わってきます。そういう時に他人に頼ることというのは、甘えでも何でもなく、仕事を進める上での必須のスキルになります。謙虚に尋ねれば、他人は答えてくれます。どうか怖がらないで。自分が自分を嫌いでも、他人はそうではないかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?