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鴨頭嘉人はあなたの父親ではない

「鴨さんは自分の親父じゃない」

そう思ったのはエーリッヒ・フロムの「愛するということ」を読んだことがきっかけでした。
そこにはこう書かれていました。

息子の行為が気に入れば息子をほめ、褒美をやり、優しくするが、息子に失望すると、とたんに冷たくなったり、𠮟ったりする。こういう父親をもった息子は、父親しか愛情を注いでくれる人がいないので、まるで奴隷のように父親にまとわりつく。彼の人生の目的は父親を喜ばせることだ。それがうまくいけば幸福感と安心感と満足感をおぼえる。ところが、間違えたり、失敗したりして、父親の機嫌をそこねると、意気消沈し、愛されていないと感じ、捨てられたように感じる。こういう子どもは、おとなになってから、父親と同じように慕うことのできる人物を探す。彼の人生は、父親の賞賛を得られるかどうかによって、上がったり下がったりする。

※エーリッヒ・フロム 愛するということ
第三章 愛と現代西洋社会におけるその崩壊より引用

この文章を読んで頭を抱えました。

「これ、自分だ・・・」

僕の血の繋がった親父は僕のことを一生懸命育ててくれました。

でもそう思えるようになったのは妻と結婚して、多額の自己投資をし、親父と一緒に飲みに行って「親父も必死だったんだな・・・」と親父を認めることで自分を認められるようになってからでした。

僕は親父に言われた言葉で強く印象に残っている言葉があります。

「お前は橋の下で拾ってきた」

「お前本当にとーちゃんの息子か?」

「とーちゃんのルールが気に入らないならいつでも家から出てっていいよ」

「酷い父親だ!」と思うかも知れませんが、元々僕の親父はかなり過酷な環境で育っていて、食べるものが無い貧困、父親からの暴力、両親の苛烈な夫婦喧嘩、友達が出来ても引越しを繰り返し、そして父親と母親が離婚し、母親についていき、その母親が再婚・・・

と波乱万丈な人生でした。

なので親父は、

「自分の子どもには一生の友達を作って欲しい」
「自分の子どもには腹一杯食わせてやりたい」
「自分の子どもには夫婦喧嘩は見せたくない」

と思い、

僕と姉が大きくなる前に一軒家を購入し引越しをせず、
僕と姉がぽっちゃり系になるほど腹一杯食わせてくれ、
僕と姉の前では夫婦で仲の良いところだけしか見せませんでした。

今では振り返ると親父へのありがたさ、良い面も思い出せるのですが、実家に居たときは親父にいつ怒られるか怖くて仕方がなかったです。

これは心理学の本を読んだり、セミナーに行って分かったことですが、親父も普通の父親とのコミュニケーションをしてこなかったので息子である僕に対してどう接していいかわからなかった。
また自分が頑張って、頑張って、頑張って築き上げた家族が再び崩壊する恐れから子どもに対して恐怖政治を行なっていたのだとわかりました。

そんな僕は親父に褒められた経験があまり無く、小学生の頃、練習しまくってやっとのことで暗記した掛け算の2の段を披露したら「お経みたい」と笑われ、テストでいい点数を取って見せたら「お前本当にとーちゃんの息子か?」(多分親父からしたら褒め言葉だったのだと思いますが)と言われ、自分の書いた絵が表彰され展覧会に展示され見に行った時も特に感想をもらえなかったことを覚えています。

そんな僕が大人になった時に「誰か俺の人生変えてくれないかな・・・」と自分の人生に希望が見えませんでした。

やりたいことは思いついたのですが「失敗したら・・・」とか「馬鹿にされたら嫌だ・・・」と恐れ、前に進めませんでした。

こちらも昔から親父は「うちは家業が無いから自分の好きなことに挑戦していいよ!」と言ってはくれていたのですが、「とーちゃんのルールが気に入らないならいつでも家から出てっていいよ」という言葉が強烈に残っており、「挑戦して失敗したら家に居られなくなる」という思い込みから、アクセルと同時に思いっきりブレーキを踏んでいるような感覚がずっとありました。
ポジティブな言葉とネガティブな言葉ではやはりネガティブな言葉の方が強く印象に残ってしまうんですね。

その日も特に挑戦することもなく、Youtubeで当時よく見ていたゲーム実況を見ようと思い、サムネイルをタップしたら、

広告に出てきたんです。

スキンヘッドの強烈な外見で情熱と心に響く言葉をまき散らしていた鴨さんが

「なんだこのおっさん!?」と思いつつも話の内容があまりにも面白くて1時間近くあったYoutube広告を飛ばさず見ていました。

「この人は俺の人生を変えてくれる!!!」

そこからマンスリーライブ2回、鴨塾、北原 照久さんとのコラボバスツアー、働き方革命、話し方の学校ベーシック、鴨熱大陸、話し方の学校アドバンスコース、話し方の学校SAそして2021年6月12日からは話し方の学校テクニカルコースに行ってきます。

もうどハマりしました。
Youtubeも毎日見ていました。
妻は若干引いてましたが、僕の成長を見て「このおじさんは悪い人じゃないんだな」と納得してくれました。

自分も妻もセミナーで知り合った仲間も僕の成長を実感してくれました。

ただ最近気づいたことがありました。

誰かが鴨さんに褒められているところを見ると自分の心がざわつくことに。

鴨さんにハマってわかりましたが、この感情を持っているのは僕だけじゃないと思い、今回noteに書くことを決めました。

鴨さんは「承認空間が大事だ!褒めることでも怒ることでもない!目の前に居る人を認めることが大事なんだ!」と言っています。

このマインドが伝わり、話し方の学校やセミナーでも知り合った仲間とすぐに打ち解けることができ、居心地よく成長することができました。

ただそれは横一列の状態、つまり「みんな鴨さんのお客さんだから」承認ができていたのだと思いました。

例えば、鴨さんが運営していたオンラインサロン「鴨Tube研究所」に入会していた際でした。

鴨Tube研究所とは鴨さんが「完全承認空間」と名付け、「誰かが挑戦したら応援し、結果成功したら応援し、失敗しても応援する。まるで赤ちゃんが今立とうとしている時のお母さん的な役割を持つ場所だ。」と言っていました。

その時はまだコロナ前で鴨さんが全国講演会を行なっていました。
その講演会を取り仕切る有料ボランティアスタッフ、通称ボラスタのリーダーを決めるライブ配信をオンラインサロン内にて行なっている時でした。

ボラスタのリーダーといえば、鴨頭界では一目置かれる存在であり、鴨さんや社員が考えて決めているため、リーダーに立候補した方々は皆そのライブ配信をドキドキしながら見ていたと思います。

僕はボラスタには申し込んでいなかったのですが、セミナーで知り合った仲間がリーダーに立候補していたので応援の意味もこめて見ていました。

鴨さんのオープニングスピーチがあり、いよいよリーダー発表の時、自分もドキドキしてきたのを思い出します。

次々と地区別のリーダーが鴨さんに呼ばれていくと配信のコメント欄も盛り上がっていて「おめでとう!」「一緒に盛り上げて行こうぜ!」など応援のコメントが溢れていました。

そして応援していた仲間がなんとリーダーに選ばれ、自分も嬉しくなって「おめでとう!」とコメントしましたが、その後、

「〇〇って誰だよ!」

「俺は〇〇がリーダーなんて認めねーぞ!」

と仲間がリーダーになったことについて不満のコメントが投稿されていました。

その仲間はネットを使って活動するタイプではなく、実際に足を使って人間関係を直接構築するタイプでした。
なのでオンラインサロンではあまり存在が知られていなかったんですね。

ただ僕は尊敬する仲間が否定されていることもそうですが、「おいおい、ここは承認空間じゃないのかよ・・・しかもボラスタリーダー決めたのは鴨さんたちだろ?その鴨さんたちが決めたリーダーに対して不満を投稿するとかどういうこと?気持ち悪い」

と思い僕はすぐにオンラインサロンを抜けました。

「あの人は頑張ってるし【鴨さん】から認められてもいい」

「あの人は自分が知らないので【鴨さん】から認められるのは嫌だ」

僕が感じたオンラインサロンの印象は完全承認空間ではなく、
承認欲求空間でした。

そこに鴨さんは気づいたのか、完全承認空間のテーマだった鴨Tube研究所を「俺と一緒に社会変革して行こうぜ!」という思いがベースのTeam Kamogashira Japanに名前を変えました。

考えると前サロンは「誰かの挑戦を承認する」だったのが、変更後「鴨さんと自分が挑戦する」に変えていて、より鴨さんと関われるので前サロンの顧客ニーズに合っていると思いました。

ただ不満を投稿した方々に対して「いいね!そんなにボラスタリーダーやりたかったんだね!またチャンスはあるよ!」と言えなかった時点で僕自身、全然承認できていませんよね。

全然承認できてなかったエピソードとして、僕は以前「鴨さんの元で社員として働きてえ!」と思っていました。

ただ僕が当初知っていた社員はヒロキングさん、ショウさんの2名でその後セミナーで一緒に学んだ仲間が続々と鴨さんにスカウトされて行きました。

なので僕は「あれ?なんで俺じゃないんだろう・・・」と嫉妬していました。

ですが今思うとスカウトされていた仲間たちは僕以上に鴨さんのコンテンツやボラスタの権利などを購入していたんですね。

「いやいや結局金使ったら社員になれるのかよ!」と思ったかもしれませんが、鴨さんのコンテンツにお金を使うということは新入社員の方が社員研修を受けているもの。というようなイメージが僕の中でしっくりきました。

通常、社員研修は外部の会社などにお金を払って依頼をしますが、鴨さんはセミナー講師も行なっています。
僕は他にも高額セミナーを購入した経験がありますが、鴨さんのセミナーは他と比較するとトップクラスの完成度でした。
なので、ただ商品として提供しているだけではなく、お金をもらって将来的な自社の社員研修ができるんですね。

また鴨さんは「人事が大事!」とよく言っていますが、自分のような原則からブレた人間を社員として雇わないのはやはり素晴らしい選球眼だと思いました。

そこで気づいたんです。

最初に書いたエーリッヒ・フロムの本を読んだ時、「今、自分は成長したいから鴨さんのセミナーを受けているのではなく、鴨さんに褒められたいからセミナーを受けにいってるんだな。それは自分が幼少期に父親から褒められた経験が無かった。また、もっとこんな父親だったら・・・という歪んだ思いを鴨さんに映してしまっていたんだな。」と気づいたと同時に「これは危ないな・・・」と思った理由がありました。

それは「他人に完璧を求めていること」について。

何度も書いている通り、鴨さんはあなたの父親ではありません。

もし鴨さんがあなたの想定外の行動をしたら裏切られた気持ちになるかもしれませんが、それは勝手にあなたが作り出した幻想です。

鴨さんは理想の鴨頭嘉人に向かっているが、あなたの欲求を満たす理想の父親に向かっているわけではありません。

それはあなたも、そしてあなたの本当の親も同じです。

誰もが自分のフィルターを通して世界を見ています。

「理想の親になれなかった・・・」と嘆く人が居ますが、それは子どもの理想としている親ではなく「あなたの」理想としている親ではありませんか?

「あなたのためを思って言ってるのに・・・」と嘆く人が居ますが、それはその人のためを思って言ってるのではなく、実は自分のためじゃないですか?

人間は完全に不完全である。と言いますが、完璧な他人が居ないように、完璧な自分も居ません。
そんな不完全な自分を認められない方は、まずは元となる不完全な親を認めることが不完全な自分を認めることにつながるのではないでしょうか?

人生は遺伝と環境にかなり影響があります。
遺伝は生物だからであり、環境は人間が集団種族だからです。
だからこそ、子どもの幼少期は遺伝でも環境としても影響がある親次第で今後の人生が左右されます。

なので自分の親と確執があり、自分の親を認めることに拒否反応が出る方も居ると思います。

しかし理想の偽りの親を慕うと本当の親を否定することになります。

それは本当の親を否定するということは自分を否定することに繋がるからです。

今この文章をスクロールしている手は誰からもらいましたか?

今この文章を見ている目は誰からもらいましたか?

今この文章を理解している脳は誰からもらいましたか?

そう。あなたがどれほど嫌でも父と母からもらった体です。

直接ではなくても良いです。
「お父さん育ててくれてありがとう」「お母さん産んでくれてありがとう」と言葉にすることで自分の思いが変わり、思いが変われば行動が変わり、行動が変われば人生が変わります。

そして自分の親を認めることから、自分を認めることであなたの目を眩ませる承認欲求から抜け出しましょう。

僕はこれから誰かの賞罰を求めるのではなく、
自分の思いを大事にして行きます。

ありがとうございました。

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