「コンバージョンの質」に対する期待に広告運用者はどこまで答えられるのか

先日新田さん@acssemble に「運用型広告に関するいくつかの質問」を直接2時間近く投げかけるというイベントに、登壇者の1人として参加しました。以下 note リンクに飛ぶと、当日の動画を視聴することができます。

1つ1つの質問に対して深みのある回答を頂き、色々なことを考えさせられたのですが、個人的には中でも特に「コンバージョンの質」についての話がとても興味深かったので、本日はそれについて深掘りしていきたいと思います。


「コンバージョンの質」をあげる方法

実際の運用現場で「コンバージョンの質」をクライアントから求められるケースは多いように思います。以下はその例です。

・広告経由の問い合わせが受注に繋がらない
・広告経由のホワイトペーパーDLが受注につながらない
・広告経由の資料請求が受注につながらない
・ウェビナー集客を広告でしたが受注につながらない

これらの事象に対して広告運用者に対して「コンバージョンの質をあげて欲しい」という声が上がることは気持ちとしてはよくわかります。

自分自身何度かそういったお声を頂いたこともあります。

実際の放送では57:06秒ごろから「コンバージョンの質」に関するテーマで話が進みました。あくまでもリスティング広告ベースでの話が多いのですが、新田さんからの回答としては以下のようなものが得られました。

・検索語句、広告の見せ方で質の高いコンバージョンを狙って取るのは無理
・質の良いコンバージョンを求めるとどこかで機会損失が生じる(例:電話してくるユーザーの質が高いのであれば「LINE 問い合わせ」などあれば全て削除し、スマホだけに広告配信するなど)
・(質の良いコンバージョンは一定確率で生じるので)コンバージョンの総数を最大化させるのが、質の良いコンバージョンを増やす最良の手段

自分もそのように思います。つまり広告運用者が単独で、広告の変更だけでコンバージョンの質を引き上げるのは実質不可能だと。

イベントで議題に上がった「コンバージョンの質」に関するお話はここまでなのですが、実際の現場では「お問い合わせが全く受注につながっていないケース」も多いのではないかと思います。その場合のどうすればいいのかという点について、個人的に考えていることをお話しできればと思います。

そもそも「コンバージョンの質が高いユーザー」とは

実際の現場では「質」、「コンバージョンの質が高いユーザー」が定義されていないケースも少なくありません。そもそも「コンバージョンの質が高いユーザー」とは何なのでしょうか。

仮に「受注につながるユーザー」レベルの定義だった場合、抽象性が高すぎるので細分化が必要です。

年齢、デバイス、性別、Webサイトへの問い合わせ時間帯、様々な指標で「受注につながるユーザー」を細分化し、その上でユーザーが実際に見ている広告、Webサイト、アプリを照らし合わせた上で、広告を見直していく必要性があります。

質を定義することができると、質の高いユーザーを追えるようになることに一歩近づきます。また上記取り組みを行い改善が見られない場合、以下のような可能性が考えられます。

・ユーザーデータ、前提が間違っている
・別の阻害要因がある

仮に「コンバージョンの質が高いユーザー」に対して集中的に広告配信することに成功したとしても、肝心の営業フェーズにボトルネックがあったりする場合、最終的なコンバージョン率は変わりません。

この点については「リード」という観点で以前に栗原さんが note を書かれているので、そちらの内容を参照していただければと思います。

最後に

これは新田さんが話されていたことですが、広告とは本来間口を広げるためのものです。

その間口を意図的に閉ざして「コンバージョンの質」が高いユーザーにのみ広告を配信する場合、何かしらの形で機会損失が発生します。つまり結果質が引き上がったと思えるような結果が出たとしても、非常に大きな機会損失が発生しているケースも少なくはない訳です

例えば LTV で見ると、1顧客あたり数千万円の売り上げに...というケースも BtoB では珍しくありません。「コンバージョンの質」を追うことにより絞り込みすぎてしまい、結果質の高いユーザーまで取りこぼしてしまう危険性があることは常に考慮すべきです。

またお問い合わせからの受注が全く発生していないケースの場合、「質」を定義し、それに合わせた広告配信を行うことで「コンバージョンの質が高いユーザー」の獲得を実現できる可能性は高まります。

しかしそれでも質が上がらない場合、前提条件が間違っているほか、別の阻害要因がある可能性が考えられます。様々な可能性を考慮し、ボトルネックの解消などといった改良のための取り組みが必要です。

広告運用者個人が「コンバージョンの質が高いユーザー」のみを追い求めるのは現実的ではなく、困難を極めます。しかし、正しい情報提供を周りが惜しまなければ、広告運用者が「期待」に答えられる確率はグッと高まります。そういった意味においては、広告運用者はコンバージョンの質に対する「期待」に答えられる部分もあるように思います。

まずは下記図のようにコンバージョンを分類して「質の高さ」について議論をしてみても良いかもしれません。「質」を求める背景だったりがクリアになることで、何か打開策が見いだせることもあるかもしれません。

Twitterはこちら



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?