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『カムカムエヴリバディ』のるいは私だ。

『カムカムエヴリバディ』のるいは私だ。

いよいよ、(頭に)春が来たなという感じだろうか。いや、私はるいだ。

正気で言っている。

母は金沢からスウェーデン人を連れてきて、消えた

『1999年の夏休み』から変わらぬ透明感を見せる深津絵里さんに自分を重ね合わせる15分間…というわけではない。私が重ね合わせているのは深津さん演じる『るい』の境遇だ。

私の母は、生まれ故郷である金沢からスウェーデン人を連れてきて、母とは別居中だった私の父が購入したマンションで暮らしていた。そして、気づいたら父が買い与えたマンションも売り払われ、先祖代々住んでいた金沢のイケモリの家もとっくに売り払われ、今はどこにいるかわからない。

今、あなたの心の中の声が聞こえました。

「創作なら、もっといい嘘つけよ」

「へたくそなライターだな」

これが、嘘だったらどんなに良かったか…。

父と母が2019年に協議離婚した。

小4の時の家族写真。

ある日、「みよこ(仮名)と離婚したから」と父から電話がかかって来た。そして、「協議離婚で、間に弁護士が入っているけれど、みよこの住所がみたことがない住所だったから、あいつ家、売ってるかも」

えーっと、一人っ子なんですけれど私。

まあ自分が住んでいないマンション、しかも母が恋人と暮らしていたとされるマンション。いや、べつにいらないけどさ。相続の段になったら「いらない」って言ってやる! って思っていたのですが。言う機会も与えられないとは。

父に「金沢の家はどうなってるのだろう」と聞いたら、「あいつが残してるわけないじゃん」と一言。人生ゲームじゃないんだから、そんなに簡単に家なくならないから!

でも、嫌な予感って、みなさんしたことがありますか?

私はこの時、背中がゾクっとしました。悪寒です。悪いことが起きる前の悪寒。

私は、不動産会社に勤めていたことがある友人に相談し、不動産登記の取り方を教えて貰って、母・みよこさんが住んでいたはずの関東のマンションと、金沢にあるイケモリ家の不動産登記を確認。

ないでーす。

父と離婚するよりも前に、マンションも実家も売られていた。

母はどこへ?

40年以上前の金沢駅。曾祖母、母、祖母、私。

母さん、あなた何度も私に「あなたは一人っ子やさかいに、金沢の家はあんたのもんなんや」って言っていましたよね。

母さん、金沢の家は金沢駅から徒歩10分ほどの場所にあって、『めいてつエムザ』によく連れて行ってくれて、「めいてつエムザは庭や」って言っていましたよね。

まあ、父が一番、正解だった。母が資産を残すわけない。『カムカムエヴリバディ』で言えば、母は算太でもある(でも算太は最後、お金残していましたね…)。

そうです、最初の文に戻ります。

『カムカムエヴリバディ』のるいは私だ。

母は今、どこにいるかわからない。いや、正確にいうと父から聞いた県名だけ知っている。

安子のようにアメリカ人と一緒にアメリカに渡ったというわけではない。母は金沢で知り合ったスウェーデン人を連れてきて、気づいたら一緒に住んでいて、今はどこにいるかわからない。

なんとなく、私の境遇はるいと似ている(似ていないという異論は認める)。私には、娘がいるのだ。

明るくてかわいくてプロレスが好きな娘だ。

『カムカムエヴリバディ』で、母に対して「I hate you」と言ったるい。

父から叱られたひなたが家を出て一人で河原に行った時に、るいが「お母ちゃん、参上!」と言って、ひなたを慰めるシーンに号泣した。

私も、るいのように母に対して悔しさや寂しい気持ちを100パーセントぶつけて「I hate you」と言いたかった。

でも言うこともなく、母は出て行った。

自分が親になって娘だけは手放したくないと思った。

母には母の事情があったのだと今なら思う。(家を相続できていたら、娘の教育費にしたかったという欲はちょっとあるけれど)

そんなことよりも、私には娘がいる。

『カムカムエヴリバディ』を観ると、川栄李奈さん演じるひなたの明るくてまっすぐな性格に勇気づけられる。

悲しいことの連鎖は私で終わらせると思いながら、『カムカムエヴリバディ』観ている。

ありがとうございます。著書を出版できるよう、資料購入などに使わせて頂きます。