蔓草心中

淡々と時を刻む古木を
錆びついたフェンスを
主人を失った洋館を
触れるものすべてを

恐ろしいほどのしなやかさで
覆い隠していく いきもの

光を縫う芽先の あけすけな欲望
細い茎の中をうねる生気に 逆流の余地はない
くされた落ち葉の下から伸びて空まで
空を掻くまで求め続ける 狂おしさ

もしかしたら此処も 
いつかは覆われてしまうのかもね
と言うあなたの目は 少しも笑っていない

指を絡める

わたしたちは なまぬるく 生き延びる

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