見出し画像

エンドロールまで

今夜もひとりで 
古ぼけた椅子に座って
誰かがつくった
「僕」の居ない映画を観る
スクリーンの中の君たちは
永遠に美しく褪せない悲劇だ
溶け切った夜の隅 
飲み干せないこの淀み

大事なト書きを 
黒く塗りつぶして
迷って壊れて汚れてく 
求めて叫んでも 

エンドロールが消える
そのときまでは 動けやしない
もしもそれが幻だとしても


外は雨降りで 
そしてひどい土砂降りで
街ゆくひとたち 
声も出さず泣いてる
この席を立たない僕たちの
永遠に笑えない愚かな喜劇だ
弾かれて捨てられて 
粉々になる欠片

小道具は代わる
花からナイフへと
壊して傷つけ失くしてく
求めてあいしても

エンドロールの先を 映してほしい
誰も知らない
たとえそれが暗闇だとしても

エンドロールが消える
そのときまでは 信じていたい
今観てるものに
確かな「 おわり」があるということを

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?