花の名は Ⅱ

先日、道端で佇む彼岸花を見つけました。

燃える赤色の花も良いものですが、この白い彼岸花が私はとても好きです。ふっと灯ったぼんぼりのようです。

彼岸花の別名は「曼珠沙華」ですが、いろいろと調べてみると、他の呼び方がなんと……

1000以上あるとのこと!

葬式花、墓花、死人花、地獄花、幽霊花、火事花、捨て子花などといった不吉で怖いものから、灯籠花、天蓋花といった雅なものまで、とにかく様々な呼び名がありました。開花時に葉がなく、花と葉を同時に見られないことから、「葉見ず花見ず」という呼び方もあるそうです。

キツネノカンザシ、キツネノタイマツ、キツネノタバコ、キツネノロウソク、などといった「狐」にまつわる呼び名も多くありました。「狐」+「火を連想する言葉」の組み合わせも興味深いですね。ひとつひとつに昔話がありそうな、情緒のある呼び名です。

「オニババア」「カミサンバナ」「シュウトメバナ」という女性に関するものも見られました。女性の「烈しさ」のイメージから来ているのでしょうか。特に怒りの……。

「オチョウチンポンポコラ」「オチョーチンボンボラコ」「ウマチャゴチャゴチャ」というような、こっそり口に出して言ってみたい系のものもあり、興味は尽きません。

たくさんの呼び名がある、ということは、昔から人に近い存在である植物の証なのでしょうか。「毒があるから摘んではいけない」と幼いときから言われ、近寄りがたい花ではありましたが、それ故に強く惹かれる彼岸花。今、じっくりと観察してみると、すくっと伸びた茎と、緩やかにカーブした花弁、しなやかに伸びる雄しべと雌しべ。絶妙な比率で成り立つ美しさです。


こちらは数年前に出会った彼岸花。やっぱり秋はいい季節です。

    「束の間の逢瀬に浸る曼珠沙華」

※今回のnoteを書くにあたって主に下記のサイトを参考にさせていただきました。彼岸花に対する情熱を感じます。ありがとうございました。

http://www.kumamotokokufu-h.ed.jp/kumamoto/sizen/higan_name.html

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