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『海のはじまり』8話感想〜隠されてたっていうのも被害者

海のはじまりももう8話です、ほんと時がたつのが早い。
ということはもう8週間も飽きもせずずっとなんで水季ちゃんはなんで弥生さんはってなんで夏くんはこれを演じた時の目黒くんの気持ちは、って考え続けてるわけで、自分の人生の悩み事でも8週間も考え続けたことないよ……。
それだけ“あなたがそうした理由を知りたい”と登場人物たちに思うって事で、それはすごい事であるなあと思うのです。

3話の感想でも書いたんですが、
なんかもう、この“どの立場で見るかで印象が変わる”ドラマって、あっちを想うとこっちがつらくなり、こっちを想うとあっちがつらくなり、八方ふさがりでーーーす!ギブアップでーす!ってなるんだけど!笑。
せめて誰か極悪人であってくれ……。(期待された基春さんも本当の極悪人ではなかった)
誰も恨めなくて、みんな正しくてつらい。
これ、登場人物たちもそうなのかな、と思い当たりまして。
水季ちゃんもそもそも夏くんのことを考えて(とても主観的にだけど)……、夏くんも弥生さんのことを思えばこそ……、弥生さんも夏くんを思って……という全員お互いを優しさと思いやりで縛りあっているというかすくみ合ってるというか。
それをドラマを観ることによって私たちも実体験させられてるんだとしたら、これってものすごいエンタメじゃないですか?
というわけで、今週も登場人物たちと同じように苦しみましょう。

これは考察でも正しい感想でもありません。
私が好き勝手に感想を書いている文章です。
気軽に読んでいただければ幸いです。

※本文中の鍵括弧内はすべてドラマ『海のはじまり』からの引用です。


今週の回想は大学時代の水季ちゃんと夏くん。
夏休みの図書館?で勉強してる2人。
机で向き合うんじゃなくて、窓際のベンチでノート書いてる水季ちゃんがめちゃくちゃ水季ちゃんらしくて知らない人なのに懐かしくすらある……。

そんな水季ちゃんにカメラ向けてシャッター押す夏くん。
今回のキーポイント、このカメラね、夏くんの実父基春さん登場へのウォーミングアップ。
「かわいい?」
「おもしろい」
「そこはかわいいでいいじゃん」
なんか想くんと紬ちゃんもこんな会話してましたね。

「水季おもしろいんだよ、全部違う顔して」
まじめに答える夏くん。
これ言われたら女の子は嬉しいよね。
「カメラってお父さんのだっけ」
「……うん」
この背中越しの夏くんの返事が、ずいぶん昔のことなのに、もう大人になったのに、新しい家族もできたのに、まだ全然実のお父さんのことわだかまってるんだなって伝わってくる。
視覚でも分からせてくるアングルとカットすごい。

「前の父親だから覚えてないけど」
「うん?」
「3歳の時親が離婚してて、それから会ってないから」
2人でたべっこ動物食べながら勉強してるのかわいいな……。
「ねえ、撮りたい」
海ちゃんも撮りたがったよねえ。
お父さんの話題になったからわざとふざけてあげる水季ちゃん。
どう撮るの?半押し、ってこれも海ちゃんと一緒。
聞いといて聞く気ないよねって楽しそうな夏くん。
こんなにかわいい楽しいだけの2人だったのにね。
古川琴音さんがオフショットで月岡家案内する時に
「うまくいけば私の義実家になるはずだった……」
って言ったのも分かる。うまくいきそうだもん。

場面は変わって。
そのお父さんのカメラで縁側でスイカ食べる海ちゃん撮ってる夏くん。
「種?ペッてしていいよ」
って海ちゃんに手差し出す夏くん。うわあ、パパすぎる。
でもティッシュ取りに行けばいいんじゃないかな。
あと南雲家の縁側、網戸ないの恐ろしいっていつも思ってたけどちゃんと蚊取り線香焚いてくれてて良かった。

結局種飲んじゃった海ちゃん、お腹から芽が出てくるよってからかう夏くん。かわいいね。
「そこ、床べたべたにしないでよ」
って嬉しそうに声かける朱音さん。
きっと夏くんに渡すお惣菜作ってタッパーに詰めてる。
すごい、なんかもう、名実ともにパパだし息子だ、夏くん。

洗濯したもの部屋まで届けてくれる朱音さん。
家事全部やってくれてるやん……!
そこで夏くんが朱音さんに
「あの、実の父親のことなんですけど」
って切り出してるけど、これって結局なんの話したの朱音さんに……。
会いに行ってきますってこと?
認知するからって報告してくるからってこと?
ど、どこまで誠実で真面目で真っすぐなの夏くん……。
そこまで基春さん夏くんの人生に関わってなさそうだったけど(言われても仕方ないっていうか)、そして朱音さんもそんな事言われても仕方ないとは思うけど、夏くん誰かに言って後戻りできないように背中押してもらいたかったのかな。
とにかくここで基春さんに会う事を決心した夏くん。

夏くんが南雲家の合宿から帰る日。
門の前で笑顔で手を振る海ちゃん。
海ちゃん淋しいね。
笑って振り返す夏くん。
でも前みたいには淋しくないね。夏くんと仲良くなれたもんね。
強く2人が一緒に暮らせばいいのにと思ってない私でも、このシーンはグッときた。


写真屋さんに立ち寄る夏くん。
(ああ、朱音さんのお惣菜大丈夫だろうか、保冷剤入ってるかなって気になる主婦のみなさーん!笑)
写真受け取ってフィルムも出して。
「ペースはや!なになんで?」って店長さんに言われて、店長さん前からずいぶん踏み込むなって思ったけど、この踏み込みが重要なのでした……。

1週間ぶり?に自分ちに帰ってきた夏くん。
1人になれてホッとしたけどきっと淋しくて。
さっき受け取った現像された写真見返して。
海ちゃんの写真愛おしそうに見返すじんわりくるシーン。
別れたあとって、愛おしさ募る。

そして夏くんのいつも1人の生活が始まって。
きっと今まで通りのアラームの音で起きて、めざましテレビでお天気チェックして(生方先生出勤前にテレビでお天気チェックするの好きだよね)
でも朱音さんのお惣菜を朝ごはんに食べるのが、もう、夏くんの人生は動き出してる証拠で。
(朝からご飯炊いてえらい!)
1人で歯磨きして。きっと海ちゃんと一緒に歯磨きしたこと思い出してる。


夏くん出社です!
わー!久しぶりにちゃんと髪セットしてワイシャツ着てる夏くんだー!
朝イチから腕まくりしてるんだ……へえええ。
男前先輩もお久しぶりです!
「夏休みは家族でどこか行くんですか?」
「とりあえず双方の実家かな」
「娘さんが行きたがるんですか?」
「いや、それもあるけど親の方がうるさいんだよ、孫見せろ会わせろって」
ここで夏くん、自分の実家や南雲家じゃなくて基春さんも孫見たいって思うかも、って思ったのかな……。
そんで絶対に、弥生さんの実家はイメージできてない。

これ、男前先輩に聞くの上手な設定だよね、女の人に聞くとその人の家の事を詮索してるみたいになるもんな。
夏くんの質問ってほんとに、他意のない素朴な疑問だから笑。


会社の廊下で電話してる夏くん。
(いやスーツの後ろ姿シュッとしすぎてませんか……はわわ)
呼び出し音ね、緊張するよね。
「あの、急にすみません、母から連絡先を……」
「夏?」
ここで優しい劇伴がかかって、夏くんが緊張した顔から息子……というより会社にいるのにスーツなのに一気に小さい子供のお顔になるの神がかってる。夏くんのわだかまりと期待と安心感とでも緊張が一気に伝わる。目黒蓮さん良いお芝居です。
ゆき子さんから連絡いってたのかもしれないけど、声だけで(母からって言ってるけど)夏くんって分かってくれて良かったね。
そしてゆき子さん、さあどっかで元気にしてんじゃない?って態度だったけど、ちゃんと連絡先も知ってたし、夏くんにも教えてあげたんだな。

場面は変わって、南雲家で宿題してる海ちゃん。
愛おしそうにとなりで見てるじいじ。
「なに?」
「見てただけ」
「写真撮っていいよ」
「え?宿題してるとこ?」
「夏くん撮るよ、おもしろいんだって海撮るの」
水季ちゃんも海ちゃんも、夏くんがシャッターを切る動機は、おもしろい、なんだな。(そして弥生さんは違いそうなのが胸が痛い)

会社帰りの夏くんと弥生さん。
一緒にスーパー行ってる。
「今日俺作るから」
この時!夏くんが持ってるカゴの端っこを!一緒に持ってると言えないくらいに掴んでる弥生さん!なんかすごくないですか!!!
この仕草、うわああ、この人すっかり忘れてたけど魔性の女だったんだ……ってなった……。
手繋ぐよりあざといっていうか。絶対恋敵になりたくないタイプ笑。
今頃こういう本性こんなちょっとの仕草で出てくるのすごいな。
そして夏くん帰ってくるなりベッタリだよね、そりゃそうよね。

「やったー、何作ってくれるの?ね、コロッケ作ってみ、びっくりするよ、めんどくさくて」
海ちゃん絡みの話でこういう軽口叩いてくれるのホッとする。
こうなんか、丁寧に扱わなくてはいけませんってなってるのしんどい。
しかしですよ。

「うーん、栄養とかバランスとかそういうのちゃんとしてるのが良くって」
あーーーー弥生さん察した。
「……子供の好きなものがいいよね」
「でも好き嫌いほとんどないんだよ、えらいよね」
「水季さんがちゃんと食べさせてたんだろうね」
「ね」
いやーーーーーーー!!!!!もうもうもう!!!!
なんていうか、この弥生さんのスンってなる気持ち、自分に作ってくれると思ってたら海ちゃんのためだったからとかじゃなくて(もちろんそれもあるけど)
夏くんがどんどん1人で海ちゃんと暮らすイメージしてる事に疎外感なんだよね!あーもう分かる。痛い。
あ、海ちゃんにご飯作る時、自分で1人で作るイメージなんだ私はそこにいないんだ、って弥生さん思うよこれは。

※このスーパーのシーン、世間で物議を醸しだしてるみたいなので追記。
ここで弥生さん母親になる気ないじゃん!って解釈するのは、特に弥生擁護派でもない私ですが、ちょっと穿ちすぎだと思う。
そもそも夏くんが「今日俺が作る」って言うから「やったー、何作ってくれるの?」って会話になってる訳だし。
もしかしたら夏くんお得意のグリーンカレーとかかもしれないじゃん!笑
そこで「あ、ごめん、海ちゃんに何作ってあげたらいいと思う?」って相談するなら海ちゃんの事も一緒に考えようって伝わるけど、
それに返事しないでもう夏くんの脳内は(海ちゃんに何作ってあげようかな、ワクワク)になってて。
そんでその子供向けの料理食べるの弥生さんだっていう……。
弥生さん可哀想とか、夏くんひどいって事を描きたいわけじゃなくて、この2人の圧倒的な『ズレ』を描きたいシーンなんだなと思いました。
追記終わり※


夏くんずっと、弥生さんのこと否定しないけど肯定もしないっていうか、いつまでたっても『ふたりごと』にしてくれない。
自分の子供だから、自分の問題だからって思うのは分かるけど、だったら弥生さんとご飯食べる時に何の相談もなしに海ちゃんのために作るシュミレーションしないでって思うし、そこに何も思ってなくて気遣わないのいくらなんでも鈍感すぎる。
弥生さんに無理強いしない何も強要したくないのは分かるけど、本音を話さないのにどうするか全部弥生さんに決めさせる猶予だけ与えて、自分はどんどん海ちゃんとの生活に前向きになっていくの、そこ切り離してるの残酷すぎる。
この2人、ほんとになんで一緒にいるんだろ。

弥生さんも『夏くんが好き一緒にいると幸せ!』『だから夏くんの人生を尊重するし助けたい応援したい力になりたい!』『子供産んだことないから分からないけどがんばる!』ならスッキリするんだけど、
『お母さんになりたい』『好きな人の子供って可愛いし』『実は会うの我慢したりして』って、自己愛も混ざってるから見てる方も複雑な気持ちになってしまう……。

思わず足取りが重くなって夏くんと物理的に距離ができる弥生さん。
ここ、心の距離を物理の距離で見せてくるの唸った演出。
それに気づいた夏くん、
「弥生さん?」
って呼んだら微笑んでついてきてくれるし。
ううう。
夏くんってこのまま弥生さんとは仲良く付き合ってる状態で自分は海ちゃんと暮らす暮らせるって本気で思ってるのかな。


場面は変わって。
朱音さんにちゃんと編み込みしてもらってかわいいお花つけてもらってる海ちゃん。
「かわいい?」
「ふふふ、デートに行くみたいだねえ」
相変わらずデレデレな翔平さん良いです。
「なんで海連れていくのかしら」
ほんとにねえ。
「心細いんじゃない?」
ここでこう言ってあげられる翔平さんほんと素敵。
年配の男性がこういう事言ってくれるの好き。
「自分の子供が一番縋れるから」
お、ゆき子さん理論だ。ここでリフレインしてきた。

「認知したいって」
「うん、だろうね、いいんじゃない」
「うん、いいの、いいんだけど」
「おもしろくないんだ?」
この、なんだかんだ結局自分の奥さん中心に考えてくれるところも好き。
なんで水季ちゃんこのお父さんがいてあんなに頑なに家出たのかなあ涙。
「羨ましいって思っただけ、今から親子始められるなんて」
人はいつ父になるのか、の命題に答えが出た瞬間。
夏くんと海ちゃんの親子が始まります。
ああ、なんか、何も解決してないのに始まってしまったよ、って気持ちと、
夏くん海ちゃんおめでとうっていうより、南雲家もこの後出てくる月岡家も結局夏くん1人の問題だと思ってるんだなってすごい淋しくもなる。

海ちゃんと喫茶店で。夏くんめっちゃ緊張してる。
いかにも不穏な空気をまとって基春さんが入ってきましたよ……!

「あ、いた」
って夏くんに近づいて。
緊張でフリーズしてる夏くん。
「え?違った?夏じゃない人?夏じゃないですか?」
一発で夏くん分かったのすごいし(きっと子連れって知らないだろうに)やっぱり実のお父さんだって登場3秒で見せつけてくる田中哲司氏の説得力すごい。
「です」
そうです、じゃなく、夏です、でもなく。夏くんがんばれ……!
「なんだあってんじゃん、知らない人みたいな顔すんなよ」
すごい、基春さん、声のでかさと馴れ馴れしさとデリカシーのなさトップギア。
「すみません」
って夏くん海ちゃんの向いから横に座り直すんだけど、えええいきなり知らないおじさんと向かい合うことになった海ちゃん可哀想じゃない?って思ったけどこれはあれだね、後で椅子蹴るためだね笑。
あと向かい合うの緊張するもんね、夏くん。

「……笑、なにこの子笑」
ひーーーいやらしさもトップギアです。一流俳優さんってすごい。
「言える?」
「こんにちは、南雲海です」
ここ、夏くん海ちゃんに言わせるんや、フォローしてあげてよ、と思った。

「どうも~、溝江です笑……で、だれ?」
「娘です」
「あ、そう、ゆき子あいつそういうのは連絡くれたっていいのにな」
ゆき子さんがどこまで夏くんの話してるんだろうと思ったけど。
「なに、いつ結婚したの?」
「してません」
「ああ、離婚した?」
「してません」
「事実婚ってやつか?」
基春さんのデリカシーのなさに怯んでしまうけど笑、でもこれ全然普通のこと聞いてるんよな。
あと、夏くんにちゃんと興味持ってる。

「そうじゃなくて、この子の母親が……」
「あああやっぱりいいわ、いい、俺関係ないし、いいよそういう複雑な事情みたいなの、苦手なんだよ聞かされるの。で、なに?」
これ文字起こししてみると、ほんと至って普通のこと話してるんだよなあ、リアタイした時はもっとクソおやじ!ってなったの、役者さんの演技ってすごい(まだ言う)

「で、なに?」
そりゃそう。私もずっと夏くんなんで今さら3歳で別れた実のお父さんに会おうと思ったの、って思ってる。
「なにって……」
「あ、アイコひとつ!」
この話のさえぎり方とか声のでかさとか注文の雑さとかね!もうおじさんとしてイヤすぎる!笑
関西のおっちゃんはアイスコーヒーのこと、レイコーってまじのガチで言うけど、関東のおじさんはアイコって言うの?

「20うん年してから会いたいって、ただ会いたいってことないだろう」
「この子が、娘がいるって知ったのが最近で2か月くらい前で」
「へえ」
「それで自分も父親に会っておきたいって思うようになりました」
答えてるようで答えになってない夏くん……。
「うん、……うん?それだけ?」
分かる、そうなる。きっともっと別に聞きたいことある、夏くん。
「……はい」
「……笑、あっそう、あ、じゃあもう終わり?会えたけど笑」
「いくつか、聞きたいことあって」

「おおおう、どうぞどうぞ」
「写真、趣味だったんですか?」
「写真?」
ここ、一瞬で目つきと表情変わる基春さん。
「えっ?」
焦る夏くん。きっとお父さんと繋がれると思ったのに。
「趣味って言ったら釣り競馬時々麻雀くらいかな、パチンコは行かないんだよ」
「そうですか」
「やる?釣り競馬麻雀」
「やらないです」
「お前ほんとに俺の子?笑」
「あとは?何聞きたいの?あ、やめてね、愛してたかどうかとかそういう話なしね、産んでもないし、自分の子って保証ないだろ男なんて」
ここでもそういう話になっていくのか……。
「お前の子かどうかなんて分かんないよ」
これ、海ちゃんの前で言うのはものすごくどうかと思うけど、親としてこう思うのは不思議じゃないというか、そんなに変な事言ってないんだよね、基春さん。言い方がやらしいだけで。きっとこの状況、世間の人はみんなこう思う。夏くんの置かれてる状況の異様さが浮き彫りになる。
しかもこれ、誰もここまで夏くんに確かめてくれなかったんだよね。

思わず海ちゃんの手を握る夏くん。海ちゃんの存在に縋っちゃう。
「えー、なんだっけ名前」
「海!」
「海!変な名前笑、母親が変わってんだな笑」
ここで夏くんの何かが弾ける。
たまらずどこかに電話する夏くん。
このシーンも目黒蓮さん本当に本当にいいお芝居でした……涙!
この場の耐えがたい怒りと焦りと、逃げない覚悟、大和くんを頼る気持ち、全部伝わって震えた。
目黒くんって相手にお芝居引き上げてもらうの上手だと思うんだけど(アイドルってすごい)限界突破していく推しの演技を見せてもらえる無上の喜び……!!!!!
こんなの見せてもらえるんだったら、どんなにつらく苦しい展開でも耐えます!!!

「あ、もしもし」
ひいいい夏くんのこのトーンのこの眼差し!
心臓つぶれる。
「ああ、よくないよ、お話中に携帯使うの、子供がまねするよお!」
基春さんまだ得体知れないからなになに?ってなったけど、たぶんものすごくデリカシーがなくて、真面目なことが恥ずかしくてすぐ茶化してしまうんだろうな。
救世主!電話受けた大和くんが助けに来てくれた!わーん!大和くん!!!
「ここ」
この手のあげ方、兄弟って感じ!分かる!
「ごめん」
「お友達?」
「弟」
「ああ、再婚のアレの、連れ子」
「弟!!!!!」
夏くんもう誰も傷つけたくないよね。
なんで会いたかったの……。

「大和と待ってて、大丈夫だから、行ってて」
基春さんに律儀に手振って、大和くんと出て行く海ちゃん。

「ちっこい子供いてなんで再婚とかするかねー、あれ?2か月前に知ったって言った?なにそれまじ?それもう絶対お前の子じゃないぞ、女ってそうだろ?ずるいよなあ、産めるってずるいわあ」
きゃああああああ夏くん!お店の椅子は蹴っちゃだめーーーー!!!!
でもお父さんだから我慢できなくてぶち切れちゃうの、尊い。あの夏くんが。自分で決めるのが苦手で、なんでも相手に合わせる夏くんが。
海ちゃんにこれ以上クソ親父の言葉を聞かせたくなくて大和くん呼んだのかと思ったけど、自分がキレるのを堪える自信がなかったからなのかもな。

「失礼しましたー、すいません、あはは、大丈夫です」
暴力的な事されても、椅子直してくれる基春さん。
「お前今いくつ、まだ反抗期なの?笑」
夏くん、このお父さんには敵わない、敵わないよ。
たぶんそれって、血は争えないってやつだよ。
そしてきっと夏くん反抗期なかったタイプだ。

「大学生の時の彼女が」
ここでまだ説明しようと粘るのすごい、それでもまだお父さんに分かってもらいたい気持ちがすごい。
「別れた後に子供産んでました。それがあの子です」
「へえ」
はあもうこの一見気のなさそうで、でもちゃんと聞いてる返事が絶品すぎる。
「その人が病気で2か月前に亡くなりました。葬式で子供がいたって知りました」
「ほおおう」
「育ててないけど、俺の子です」
「……うん」
「だから育てられてないけど、親に会ってみたかっただけです」
「育ててなくても、血が繋がってる親は子供を想って離れてても愛し続けているに違いない、って期待しちゃったの?残念だったね、育ててない親なんてしょーもないって分かっちゃったね、可哀想に」
ここでバーン!って飛び出していく夏くん。
これさ、飛び出していけるのがもう、この人の事クソって思ってめっちゃ腹立ってるけど、でもやっぱり親って思ってる。
他人だったら絶対自分でお金払うか、テーブルにお金叩きつけてから出て行く描写いれると思う。
心のどこかで甘えてる。
そして基春さんも、しゃーねえなあって、お店の人にごめんねーとか言いながら夏くんと海ちゃんの分のお代払ってくれてる涙。

基春さんも言うように夏くんなんで今さら3歳から会ってない実の父親に会いたいって思ったんだろうって思ってたけど、
海ちゃんと過ごして初めて『自分の子』に接して、その可愛さかけがえなさを実感して、父親がなんで3歳の自分の事捨てられたんだろうそんな事できたんだろうって確かめたかったんだろうなって思った。


それに、夏くんって、前から何回か書いてるけど正論や誠意で人を殴るところがあると思ってて、それが夏くんの人としての真っすぐさなのも分かるけど、基春さんは夏くんのそんなところにうっすら嫌悪感抱いたんかなって思った。
自分の子かどうか分からないのに引き取って正義みたいな顔してる夏くんに、だからあえて、これたたみ掛けたんかなって思った。
きれいごとじゃないんだぞ、って。
そして誠意なのも分かるけど、世間的に正しくないと分かっていても想いが溢れて感情がうまくコントロールできなくなってる人だっているってことを分からせるために。自分みたいに。
最後出て行った夏くんじゃなく、1人座ってる基春さんの後ろ姿でカットが終わってるのも印象的。


大和くんと歩いてる海ちゃん。
「夏くんのパパなんだって」
「うん」
「大和のパパと全然ちがかった」
夏くんにはパパが2人いることちゃんと理解してる海ちゃんおりこうさん。
「みんな違うんだよ、パパってあだ名みたいなもんでさ、みんな違う人なんだよ」
大和くん優しい。

そこに夏くん走ってくる。
「大和!」
「もういいの?大丈夫?」
「うん、ありがと」
海ちゃんに
「ごめんね」
「怖い」
「怖かったね、ごめん」
ほんとだよ!
「怖い顔してる、怒ってる?」
そんな事より、夏くんの事が心配な海ちゃん。
「怒ってないよ」
夏くんに抱きつく海ちゃん。どっちももう、縋る相手になってる。


海ちゃんの写真見てる……店長!?ねえ、店長!笑。
基春さんお店に入ってくる。そっか、ここ繋がってたんだ。
「えー!」
「ひさしぶりー」
「月岡くんかと思った、目線の高さで」
(ここ、目黒くんも田中さんも背が高くて生まれたセリフでって後で村瀬Pが自慢げに言いそうすぎる笑)
「月岡くん?」
「夏くん!」
「あー今そっか、そんな名字か」
このお店どこにあるんだろ。そして基春さん今どこに住んでるんだろう。
なんかもしかしてすごい近く……?
「時々来てくれますよ、フィルム出しに」
「さっき会ってきたんだよ」
「ええ?」
店長どこまで知ってるんだ。
「会いたいって言われちゃって」
「へええ~」
基春さんが行きつけだったから夏くんも今通ってるって訳じゃないよね?夏くん覚えてないって言ってたもんね?
誰かここ解説してださい。

公園に呼び出されてる弥生さん。
ああ、弥生さん。フッ軽で素晴らしい。都合よすぎる涙。
でさ、あの場面でもし何かあったらレスキューしてねって頼まれたの大和くんなんだよな、って改めて。
もちろん大和くんがいてくれて良かったと思うし、いざとなったら男の子の方がって思うけど、
弥生さん今日の事は知ってたんだろうか……。
それはさすがに聞いてるか。
身内の話だからって大和くんが選ばれてたらつらいなあ、これ。

「弥生さん!すいません、呼んじゃって」
「ぜんぜん、大丈夫だけど」
「海ちゃんと2人にするの、アレな気がして」
気が利くね、大和くん。
「月岡くん、なんか、怒ってる……?」
弥生さん呼ぶよって事は夏くんに了承得たんだろうか、大和くん。
ああもうどっちも腫れものに触るみたいになっちゃう。

ソッとベンチに座る弥生さん。
来てくれたの、とか、ありがとうとか、何も言わずに話始める夏くん。
「弥生さんの親の話、聞いてたのに」
こういうところ、ああこの2人いいなって思うんだよなあ。
(ここではこう思ったのになあ涙)
「うん」
「親ってだけで期待しないって、決めてたのに」
ああやっぱり夏くん、期待してたんだ、図星だったんだ。
「そういうもんだよ、私もたまに実家帰るたびに、今日からうまくやれるんじゃないかってちょっと期待する」
分かる、親ってそういうもん。弥生さん今までこんな思いしてたんだね、辛かったんだねってまでは、思いが及ばない夏くん。

「もう会わないの?」
返事しない夏くん。そっか、もう会わないつもりはないんだ。
「一回幻滅したくらいでね、諦めつかないんだよね」
2人ともまだ期待しちゃうのかー。
それはね、もう自分たちが2人で最強の『親』になるしかないんだよなあ、その人たちを反面教師にして。いつまでも子供じゃいられないし、親は絶対に変わらないから。
夏くんはパパにはなるけど、俺が守る家族を作る!って感じじゃないもんなあ……(これモヤモヤポイントでもある)

「弥生ちゃーん!」
「海ちゃーん!遊びきちゃった」
弥生さんいつも海ちゃんへの態度変わらないところ、ほんと偉い。
「逆上がり見てて!」
「えーできるの?見たい見たい」
これ、逆上がりっていうのが重大ポイントです!!!

「あ、ちょっと待って!おしゃれなのしてるね、遊ぶ時危ないから取ろっか」
海ちゃんの例のネックレス外してあげようとする弥生さん。
「やめて!!!」
食い気味に叫んだ夏くんの声の強さにびっくりしてフリーズしたまま振り向く弥生さん。

ここなあ、いやーほんと、つらい。
「あ……いやあ……」
言い淀む夏くん。
「ママ!」
「ん?」
ペンダント、弥生さんに見せる海ちゃん。
「遺灰を……」
ちょっとだけ説明する夏くん。
弥生さん、察して。
「かわいいからアクセサリーかと思っちゃった、ごめんね、勝手に触って」
「ううん、いいよ!」
「良かったね、ずっと一緒にいられるね、気をつけて」
海ちゃんが駆けていったあと。
「優しいね」
って弥生さん。

あああああああもう、心臓が潰れてしまう、このシーン。
まず、咄嗟に「やめて」って大声が出てしまった夏くんの言葉のチョイス……待って、とか、なんかほら他にいくらでもあるじゃない。
それに別に弥生さんが外してあげてもいいと思うんだ。
現に引っかかる方が危ないし、『逆上がり』って聞いてピンとくる弥生さんの方がめちゃくちゃ親心だと思う。女の人ならこれすぐに想像できると思う。
それに外して弥生さんが預かっててあげる方が失くさないと思うし。
大和くんのママのお守り骨壷だって、1分1秒離れちゃダメって事でもなかったと思うし。
それってもう『海ちゃんの水季に触れるな』って事じゃない?
なんなら『俺たちの水季に触るな』って事でさ……。

本当に夏くん、弥生さんがママになるってイメージできてないんだなって思ってしまった。
海ちゃんがママは水季ちゃんしかいないって思ってる以上に、夏くんが水季ちゃんしかいないって思っちゃってるんだろうな。
勝手に触ってごめんねってちゃんと謝る弥生さん涙出るよ。
ほんとにね、どんどん心の距離がね。
これでさ、夏くんに「弥生さんの自由にしていいから」って言われたって、どうしようもないよ。

ここには来たくないか……って南雲家で弥生さんの事思ってあげてた夏くんの気持ち、どっかいっちゃったのかな……。


場面変わって写真屋さん。
「はい、お待たせ」
受け取ろうと手出した夏くんに現像の写真渡さずにちょっと避ける店長。
これこのドラマの人たちたまにやるけど(朱音さんの同意書とか)これってほんと、あんまり人にやらないほうがいい仕草だと思うな笑。
「え?」
「釣りと競馬と麻雀、どれがいいかって」
「あの人来たんですか」
「昔連れてかれたんだよー、特に競馬、息子と行きたいんだけどまだ赤ちゃんだからって、月岡くんと会ったって日から、毎日来てるよ、夏来たかーって。電話すればって言ってんだけど」
「そうですか」
「ショックだった?理想と違って感動の再会にならなくて」
「いや、そういうんじゃ……でもなんか、話違ったから、あの人、カメラ別に趣味じゃないって」
「ちゃんと聞いてないでしょ、2人とも説明が下手なんだよな、そっくり!喋りやすいのは釣りっすね、って言ったら、じゃあ釣りして待ってるって、ここ」
店長、めちゃくちゃ重要ポジション……!そしてめちゃくちゃ踏み込んだ事まで知ってる……!理解が追い付かない!笑。
基春さんとは思ってたより昵懇の仲だったのね。
そりゃ夏くんの写真見るわ……笑。
でも写真屋さんってすごいいいポジション見つけたよね、フィルム預けたら絶対現像取りに来るもんね。

釣り堀にやって来る夏くん。
すごい、基春さん毎日ここで釣りして待ってたんだ。
声かけずに隣に座る夏くん。
「おう、ああ、竿借りてこい、あっち」
「いい」
いつだって相手に合わせる夏くん、ここでも基春さんには合わせない。自分を出せてる。

「なに、まだ聞きたいことあった?」
「ここにいるって聞いたから」
「お前昔っからそうだったわ、後ろくっついてくんの、あれおもしろかったな、トイレいくだけなのにくっついてきて笑、おもしろかったんだよ」
「なにが」
「子供。お前毎日違うんだよ、産まれてから三つまで、毎日違う顔してて、よその子は毎日同じ顔なのにお前毎日違うの」
ここまでずっとカット割せず引きの絵なのすごい、すごすぎる。
俳優への信頼度がすごい。

「目が合うだけで笑うし、気付いたら歩いてるし、おもしろい生き物がいるもんだなーって」
そのおもしろい産まれてから三つまでの海ちゃんを知らされなかった、教えてもらえなかった夏くん……。

「母が、全然育児に協力してくれなかったって」
「育児がおもしろいなんて言ってないよ、してないもんほとんど」
「なんだそれ」
おお、夏くんいいぞいいぞ。
それにしてもノンデリカシーおじさん、コミュニケーションはうまい。初対面なんであんなんだったんだろ。
基春さんなりに警戒してたのかな。

「毎日違うから残しとかないと勿体ない気がして写真でも撮るかなーって勧められたの買ったら現像しなきゃいけないやつで面倒くせぇし金かかるしで、デジカメで良かったんだよ、デジカメで」
夏くん産まれた時ってもうデジカメでしたか、そうですか。
思わずあのカメラ出す夏くん。
やっぱりカメラで繋がれるって信じてた。

「そうそう、それ、撮ってみるとな、素人でもいい感じになって」
促されて、カメラお父さんに渡す夏くん。
「会わないならもういらないから、お前に欲しいかって聞いたら笑ったからやったの、趣味で買ったのならやらねえよ、こんな高いの三つの子に」
趣味ではなかったってそういうことだった。
夏くん撮らないなら、お父さんにはもう必要ないカメラだったんだ。

今の夏くんのシャッター切ろうとして、結局押せない基春さん。
それは20年越しの行動で、三つの時の夏くんが映っていたそのファインダーにはすっかり大人になった夏くんがいて。
ああだめ、ここ泣いちゃう。
そして生方先生はこのシーンを描きたかったんだろうなって思う。

「ここはだめだ、魚が生意気だ!」
わざと乱暴に言って夏くんにカメラ押しつけて歩き出す基春さん。
「よくそんな急に父親なんてやる気になるな」
この、なんも衒いもない素のひと言が夏くんの堰止めされてた心を動かす。
「急じゃないです、一緒に過ごしていろいろ考えたんで」
そういう意味の急じゃないって夏くんも分かってるけど、なんとか理解させようとまた食い下がる。

「昔の女が勝手に産んでたなんて、俺だったら無理だな、立派立派」
あの後きっと基春さんも考えたよね、夏くんの置かれた状況。
「立派じゃないです」
「そんな責任感あるの、やっぱ俺の子と思えないわ」
前回より喋り方が素っぽいの、ほんと役者さんってすごい。
「ないです、無責任です」
いいぞ夏くん。
「謙遜するのも、俺の子っぽくないな」

「面倒くさいことになったって、思ったんです」
うん、いいぞいいぞ。
もう茶化したりせずに、ちゃんと聞いてくれてる基春さんの背中。
受け止めてくれてる実感。
「おろしたと思ってたから、生きてたって分かってホッとしたけど、でもただ自分の罪悪感から解放されただけで」
「面倒くさいよな」
これ背中越しなのにセリフの息合うのすごい。役者さん同士ってすごい。

「今もう3年くらい付き合ってる人いて、普通に結婚とか考えてたし」
「あっちゃ~」
今までこんな風に夏くんに共感してくれる人いなかった。
「ほんとにもう、全部タイミングっていうか最悪で」
「最悪だ!」
「知らなかったこと、責めてくる人もいるし」
「隠されてたっていうのも被害者だけどな」
わーーーーん!!!これやっと夏くんに言ってくれたのが実のお父さんっていうのが、もう。
ずっと基春さんの無責任な返事が的を得すぎてて、どれも全部ずっと夏くんが欲しかった言葉で、気持ちがあふれ出していつもあんなに慎重に言葉選ぶのに止まらなくなる夏くん、尊い。

「みんな悲しそうで俺より辛そうで、でもたぶん、みんなほんとに俺より辛いから」
「どうかね」
「しかも優しいから、言えない、こういうの言えない、怒ったりわがまま言ったり言えない、その人たちより悲しそうにできない、俺だって悲しいのに。
嫌いになって別れた訳じゃない人を、そのまま1回も会えずに死んで、子供の事も病気もなんも知らないまま死んで」
わーーーーーん!!!!ずーっとずーっと引っかかってた、夏くんはその事どう思ってるのって、水季ちゃんに隠されてたこと、信頼されなかったこと、あの日一方的に手ひどく振られたこと、死ぬって分かってても連絡もしてくれなかったこと。
こんなに傷ついてて我慢してたんだ。泣く。夏くんがやっと言ってくれた事に泣く。泣いてる。

そして自分でいっぱいいっぱいで、すぐ隣に同じようになってる人がいるのに気づいてないのもここで分かる。

「ここだな」
一旦話を打ち切るように釣り場に腰下ろす基春さん。
「周りがみんな優しくて悲しい悲しい辛い辛いって奴ばっかなのはしんどいな。その優しいみなさんに支えられてしんどくなったら連絡しろよ」
うわあ、やっぱりお父さんの方が一枚上手。
みんながみんな優しくて正しいのは、しんどい。

「おもしろいと思えたなら、なんで一緒にいようとしなかったんですか」
夏くん、ここでやっとほんとに聞きたかったこと聞けた。
やっぱり、海ちゃんと過ごして初めて『自分の子』に接して、その可愛さかけがえなさを実感して、父親がなんで3歳の自分の事捨てられたんだろうって確かめたかったんだ。

「久しぶりにお前抱っこした時、重くなったなーって言ったんだよ、重くなった気がしたから。そしたらゆき子がわーわー泣き出して」
「なんで」
「なんとか検診とかで体重が増えてないって言われてそれが気がかりで不安で心配であーだこーだわーわー言いだして。
おもしろがるだけなら趣味、楽しみたい時に楽しむだけなら趣味、あなたは子供を釣りや競馬と同じだと思ってる……あはは、納得!興味しかなかったんだわ、責任もない心配もしないレンズ越しに見てただけ」
7話で趣味で子育てしてないんですけど、って言った水季ちゃんへのアンサーがここで来た。
大和くんのパパってみんな違う人って話もここで効いてくる。
はあ、生方先生の脳内どうなってるの……。
そして基春さんめっちゃ説明上手。

立ち上がって歩き出す基春さんについて歩き出す夏くん。
「トイレだよ、ついてくんなよ」
ああ、三つから変わってない夏くん。
立ち止まった夏くんに振り返って
「あ、お前、あれ偉かったわ」
「え?」
「子供の前で椅子蹴っ飛ばさなかったの、耐えたの偉いわ、ああいうのはおもしろがってるだけじゃできないよな、まあ子供いてもいなくてもお店の椅子蹴っちゃダメなんだけどな、子供じゃねえんだから」
これまさか基春さんが回収してくれるとは思わなかった!
そう、お店の椅子は蹴っちゃダメ!そして耐えたの偉い。
そんでちゃんと、俺とは違ってお前はちゃんと子育てできてるよって伝えてあげてる。泣いちゃう。

夏くん、納得したのかもう何も言わずに背を向けて歩き出す。
その背中に
「本音言いたくなったら連絡しろな」
って基春さん。
返事もせずに、頷きもせず表情変えずに歩いていく夏くん。
でもちゃんと、夏くんがやっと本音を言えたって事、分かってくれてる。
クソだけど、デリカシーないけど、でもやっぱりゆき子さんが一回は結婚した人だなって思った。
夏くん溜飲下がったかな。
そしていまだに親と拗れてる弥生さんがまた置いてきぼりになっちゃったな。

月岡家に帰ってくる夏くん。
月岡家の玄関ドアかわいいなー。
(夏くん毎回ドアの鍵閉めてって思っちゃう)
お父さん(和哉さん)がリビングから出てきて、
「おかえり」
「うん」
「夏聞いて、おいしいビール見つけたから一緒に飲も」
ここでも大和くんのパパってみんな違う人って話が効く。
「笑、うん」
リビングに入ったらキッチンで餃子包んでるゆき子さん。
夏くん帰ってくるからまた張り切ってご飯作ってるの可愛いし、やっぱりこの人にも敵わないって思う。
「おかえり」
多分基春さんと会ったって知ってるけど何も聞かないゆき子さん大好き。

「これこれ!飲んだことある?」
「お父さんそれ、高いんだからねえ!」
いつもの和やかな月岡家になった時にキッチンで立ったまま
「あの、海ちゃんだけど」
って切り出す夏くん。
「うん」
特にハッとなったりしないで聞いてるゆき子さん。
家族っていいなって思わせる演出すごい。

「届だすことにした、親になろうと思う」
あああ、ここ、なんか私が焦ってしまった……。
「そう、はあい」
「りょうかーい」
2階から降りてきた大和くん。
「何が了解?」
「海ちゃんのパパになるんだって」
「へえ、おめでとう」
「うん、それだけ」
お父さんが差し出したビール飲んで、大和くんも俺もーって言い出して、わいわい楽しそうな月岡家。
うん、月岡家あったかくていいよ、全員無条件に夏くんの味方だし、受けれてるし、夏くんの優しさとか誠実さは確実にここで育まれてる。
でも、でもさ、その優しさを言い訳にして弥生さんに腹割って話してないのほんとうにつらい。
そしてこの輪の中心に、弥生さんに別れてもいいよって言ったゆき子さんがいるの、つらい。
別れてもいいの、いいんだけど、だからってまだ何も決めてない弥生さんいま仲間外れにしちゃっていいの?って思う……。

そしてこういう家庭を自分も作ろうって夏くんが思わないのが不思議。
水季ちゃんもだったけど、いつまでもここの子供のポジションのままがいいのかな。
自立してるの弥生さんだけじゃん。

夏くんと弥生さんが最後に会ったのって、あのネックレスの日でしょ?
(会ってるかもしれないけど、和解してるかもしれないけど)
夏くん、自分はちゃんと段階を踏んで、着実にどんどん大丈夫になるけど。
見てるこっちは不安を通りこして焦ってくる。

水季ちゃんの部屋で、夏くんと海ちゃん。
「おばあちゃんたちにはもう話して、いいよって言ってもらえてるんだけど」
「うん」
「海ちゃんのパパ、始めようと思う」
「パパだよ?」
「まあそうなんだけど、今は戸籍上は他人だからちゃんと届出して、周りからも親子って認めてもらおうと思ってる」
うん、ここまでは分かる。
「そうすると一緒に住めるの?」
「しなくても一緒に住むことはできるけど、うん、一緒に暮らしたいと思ってる、海ちゃんは?」
海ちゃん、夏くんの膝の上に乗って、
(あれ?このシーンって7話の予告になったのになかったシーンでは)
「仕事の日も一緒に住める?」
「うん」
「土曜日も?日曜日も?」
「うん」
待て待て待て待て待て待て、待ってほんとに!
そりゃ一緒に住むイメージをって合宿したけど、でも、あれだけで一緒に暮らそうってなってる夏くん、え?ほんとに?何でそう思えた?
認知しようってなるのは分かるけど、暮らすってほんとにどうするの……。
そしてここまで、ほんとに弥生さんほったらかし。えええええええええ。
弥生さんがお母さんになりたいって話は、おろした経験から来てたから、それを夏くんに話してチャラになったって事になってる?
認知するってこと?早くちゃんとしなよって弥生さんが言ったからもう説明しなくていいって事になってる?
ああ、焦る。
そして、そんな、なんの外堀もまだ埋まってないのに海ちゃんにそんな期待させていいのって思ってしまう……。
海ちゃんの意向を汲んであげたい、選ばせてあげたいのは分かるけど、けどさ。
やっぱり大人の責任ってあると思うよ。

「今後のことはまたゆっくり話しましょう、お仕事の都合もあるでしょうし」
って晴れ晴れしい感じの朱音さん。
ねえなんで夏くん2人でやっていけると思った?
え?えええ???夏くん南雲家に住むの?
だって合宿中は朱音さんが家事全部やってくれたから、海ちゃんとだけ向き合えたけど、2人で暮らすってなったらそうはいかないんだよ……。
栄養のあるもの~ってたまに料理するだけじゃないんだよ……。
やだここにきて全然話についていけなくなっちゃった。

「はい」
ねえねえ、転校やだって話は?ねえねえ!!!
「そうだ、来て」
大切そうに一通の封筒差し出す朱音さん。
「水季から」
「え?」
うわ、ちゃんと夏くんへって書いてある……!
はあはあ、ちょっと待ってね、情緒も思考も追いつかない!

「隠してたんじゃないのよ、親になるって決めたら渡してって言われてたの」
待って待って、ちょっと今週はback numberさん完ぺきじゃないです、早いです、ちょっと待って整理させて……!
ええっと、水季ちゃんは夏くんが親になると思ってたって事?
いやなるかどうかは本人が決めるだろうから、もし親になるって言ってきたら渡してねって言ってたって事は、朱音さんはこうなる事は分かってたって事だよね?
夏くんお葬式に来なかったら、名乗らなかったら、こういう展開にはなってなかったってこと……?
いや海ちゃんが訪ねるパターンもあるからどっちにしても夏くんが知る事にはなってたのか。

1話で朱音さんが初対面の夏くんに
「父親やる気ないですよね」
って言ったの結構びっくりしたんだけど、あの時朱音さん、夏くんに敵意剥き出しだったし(今思えばほんとに何も知らなかったの?っていう苛立ちだったんだろうけど)そんな相手に父親やってって大事な忘れ形見の孫渡す?娘と折り合い悪かったから?いらない子なの?って思ってたけど(だから随分朱音さんの事訝しんでしまったけど)この手紙があったからだったんだ。
生方先生、まじで伏線のスパンが長いっす……。
ううううう、それに水季ちゃん後だしジャンケンすぎる。
なんでそれを生前にひと言って思うけど、本当に、本当に本当に、本人が決めるって事にこだわっていたんだね、自分の死を賭けるほどに。

帰りの電車で封開ける夏くん……。
えええええええ、そ、それ電車乗るまで開けずに我慢したのすごいし、でもだからって家まで我慢せずに電車の中っていう公衆の面前で開けるのすごい。
なんかもう最後10分で夏くんと全然気が合わない笑。

そしたら中に、二つ便箋があって。
その一つを見て、その足で弥生さんのオフィスまで届けに行く夏くん。
(相変わらずラフな格好で働いている弥生さん)下まで受け取りに来る。
「お疲れさま、どしたの?」
「急にごめん、早く渡した方がいいと思って、これ、水季から」
その便箋には
『夏くんの恋人へ』
って書いてあって。

「私、もらっていいの?」
ねえ、そうだよねえ、ここまで仲間外れにされたらそう言いたくなる。
それに夏くん、水季ちゃんの手紙オフィスまで持ってくるより前に弥生さんに言わなきゃいけないこと話し合わないといけないこと、現実的に擦り合わせること、いっぱいあるよね!?
水季ちゃんのお使いは速いんだ……。

「そういう宛名だから」
受け取る弥生さん。
「海ちゃんにも、親になるってこと話した」
あ、それは話してあったのね、それだけね?
「うん」
「またゆっくり話そう、俺たちがどうするかは」
ねえ、それって優しい言葉だけど、後回しってことだよね?
そりゃ弥生さんもそんな顔になる。
しかも弥生さん仕事中だし。ねえ。夏くん。
でもちゃんと微笑みを作って「うん」って言ってあげるんだなあ、弥生さん。
これはもう惚れた弱みとかではなく(初めのころは弥生さん夏くんを離したくないから本音言わずに微笑むのかなって思ってたけど)疑念とか、夏くんどう思ってるんだろうとか、そういうたぐいの愛想笑い。

これさ、夏くんあての封筒に封筒に入れず折っただけで入ってたじゃない?
あの学生の頃によくやった折りかたでさ。
一応イルカの割り印イラストはあったけど。
これ夏くんも読んでねって事だよね?
あと、あの日、弥生さんと夏くん見かけてから書いてるよね?
てことは相手はまっすぐ弥生さんって事だよね?
うええええと思ってたら後で津野くんが代弁してくれてめっちゃ笑った。

そう!津野くんですよ!
図書館まで会いに行った弥生さん。
津野くんのカウンターに本出すの笑っちゃう。
「1人ですか?」
「はい、少しお時間ありますか」
職場に、と、突撃しないで……笑。

津野くんお昼休憩。
コンビニのおにぎり!食べてそう〜!ゆっくり食べられなくなって気の毒〜!
「海ちゃんが番号知ってるって言いましたよね」
「私が津野さんの連絡先聞くのもなんか変かなって」
「直接来るのも変ですけどね」
迷惑って言わないで変って言う津野くん、なんだかんだ優しくて好き。

「はあ、確かに……」
がっくりする弥生さんに
「生きづらそうな性格ですね」
生方先生、弥生さんにその意識あるんだ……!ってびっくりしたセリフ。

「……はい」
「で?」
「水季さんが書いたお手紙をいただきました」
「恋人へってやつ」
「内容ご存じですか?」
「いや、さすがに中身は……怖いですねえ」
ねえ!そうだよね、怖いよね!これ怖いって感覚普通だよね?
津野くんほんと信頼できる、ありがとう津野くん津野くんありがとう。
弥生さんも意を決して突撃してくれてありがとう。

「何書かれてるんですかねえ笑」
いいねえ、津野くん他人事で!楽しんでて!好き!
「何書かれてると思いますか?」
やだー、弥生さんまだ読んでない?!
みんなよく手紙読まずに我慢できるな……。
私LINEも我慢できないぞ。

「読めばいいじゃないですか笑」
はあ、津野くん癒される。大好き。
「海ちゃんの母親になる人に宛てた内容なら、私が見ちゃうのも」
(ここ、津野くんでっかいため息ついたよね!好き!笑)
でもそれなら海のママになってくれる人へ、って書くよね?
夏くんの恋人へ、って書かないよね?

「月岡くん、優しいんです」
「いいじゃないですか」
「ものすごく悲しそうにするし」
「元カノ亡くしてますからね、多少は悲しいでしょう」
多少は、って言う津野くん好き笑。
「何も言えなくなるんです、多分、月岡くんもそうです、私が辛そうにするから、無駄に優しくするから、本音言えなくなってます」
そっか、無駄に優しくしてるって、本音言えなくなってるって弥生さん自分で分かってる、けどそれを夏くんには言えない。
ああ、なんてこった。

前回会った時は津野くん相手に「お母さんになりたいから」って強気だった弥生さん、このしばらくの間にこんなに弱気になっちゃって。
そりゃそうだよね、ここまでの夏くんの積み重ね考えたらそうなるし、津野くんにはこれを言える弥生さん素直でかわいいけどなあ。
津野くんこれ言われても困るよなって思ったけど、弥生さんこれ言える相手(しかも全部事情を知ってる)いて良かった、本当に。

そして自分の部屋で水季ちゃんの手紙に向き合う夏くん。
さすがに電車の中で中身まで読んでなかったのかな……?笑

もう最初から、1話からみんなが言ってるけど、全員腹割って対話してほしい。
相手を思いやる優しさと、本音を伝える優しさってどっちも必要だと思うんですよ。

あと夏くんの気持ちもちょっと推し量りかねるというか、水季ちゃんの手紙までは、ああもう海ちゃんと2人きりで暮らすイメージなんだ……って思ってたけど、水季ちゃんの手紙はあんなに慌ててオフィスまで持っていくって、うーん、弥生さんのこと離したくないとは思ってるのかなあ、とか。
何か想うところあるなら、これ読んで思いとどまってほしいって思った……?

海ちゃんの事でいっぱいいっぱいで弥生さんにまで気が回ってないのももちろんあるんだけど、でもネックレスの一件とか、ちょっとそれだけじゃない感じも出てきてソワソワする。

そして水季ちゃんの手紙。全部書いてあるのかなあ。ううう。
壮大な回収ですよ、これ。


で、たった30秒でのたうち回った9話の予告です。
ねえ、もうほんとに苦しいんだけど。
ここまで弥生さん巻き込んどいてそりゃないよ……。
でも見届けなくては。


夏くん、パパになるだけじゃなくて家族をね、作って欲しいなって思うよ。

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