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現実は盛り上がらないホラー映画

映画クレヨンしんちゃんの「伝説を呼ぶ踊れ!アミーゴ!」という作品をご存知だろうか。

自分そっくりのクローン人間が春日部に現れ、本物を消して成り代わっていく。風間くんのママが口が裂けた状態で七面鳥を貪る有名なトラウマシーンは、この映画の一コマだ。

「気の許せる人が、ある日を境に危害を加える存在に変わっていたら」というテーマはホラー作品で屢々目にする。この恐怖は、人間が集団生活を営む生き物だからこそ生じるストレスが根幹にある気がする。

ソ連で行われた密告の嵐や、アメリカでのアカ狩りは、人間が社会を形成しなければ起こらなかった現象だ。他者に対して疑心暗鬼になる状態こそが、人間が一番苦手とする状態なのかもしれない。

驚かされる一瞬の恐怖より、ずっと付き纏う不安の方に人間はストレスを感じそうだ。
緩急の「緩」の方が、より身近で生々しい恐怖がある。何なら、驚かされる事で緩の段階から解放してくれる瞬間を待っているのかもしれない。
現実では緩が永遠に続く。瞬間的な恐怖が無い代わりに、いつ危害が加えられるかわからない時間がダラダラと続いていく。

盛り上がらないホラーこそが現実なのだ

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