“カフカ断片集”と“ディズニーの順番待ち”は似ている。
「カフカ断片集」を読んでいる。
フランツ=カフカは私が最も好きな小説家だ。不条理で不可解な物語が淡々と、美しい言葉で進んでいく。究極の悲観主義者である彼を何処かで気にかけ、遂には愛してしまう自分がいる。
この本は断片集だ。短編集では無い。小説のなりそこ無いが集まり、蚊柱の様に群をなしている。それがどうしようも無く可笑しい。
ディズニーランドで順番待ちをしている時、何処からか流れてくる映像が好きだ。
物語の断片のみを観せられ、これから体験する世界へ思いを馳せる。この本にはそんな魅力がある。
繰り返しになるが、この本に載っているのは小説では無い。しかし、其処には確かに物語がある。彼が手記やノートに残した未完成な小説のカケラであり、アイディアの残滓だ。
そこから彼を読みとき、妄想混じりに彼へ思いを馳せる。彼が残した思考の一部分から、彼の全体を想像する。パズルの1ピース1ピースを拾う様に、彼の断片集を読んでいる。
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