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私はここにいる… I'm here - その2

地味に落ち込んだ話。

共通の友人に同行する形で、初めてご一緒した方がいました。

日本でしばらく生活していたその方は、この度イギリスへ引っ越されてきたとのことで、日本やイギリス生活のごく一般的な話題を中心に、皆で和やかにお話していました。

その中のいちトピックとして、最近観たイギリスのドラマや映画は~と私から話を切り出したのですが、その方、あまりイギリスのドラマは楽しめない、とおっしゃったのです。なぜなら、同性愛のキャラクターがあまりにもたくさん出てきて、「ちょっと...これ以上は観たくない」という気持ちになってしまったそうです。とあるドラマでも、異性愛の恋愛ドラマだと思って観ていたら、途中から女性同士のキャラクターがいい感じになる展開になってしまい、観る気が失せてしまったと。

それを聞いて、そういう風に感じてしまう人がいるのか…と目からウロコな気分になったのです。その場では、「(あなたは異性愛者なのでしょうから)やっぱり、あまり共感できないですかね…」とか適当に流して別の話題に切り替えました。クィア系の映画について勉強していたなんて自己紹介代わりに言わなくて良かったなぁ~。なんて呑気に思っていました。

そしてその言葉を放った一秒後に、そういうことを初対面の人に言えてしまう事実に改めて落ち込み、それを「軽く」受け流してしまった自分に、がっかりしました。


その場の雰囲気を壊さないがために。

だた、それだけのために。


もしその後、私のパートナー、実は女性なんです、とか言ったら、めちゃくちゃ気まずいでしょう(笑)。実際は、私が男性と結婚しているという前情報はご存知だったので、「言ってもいい」という気持ちがご本人の中にあったのでしょう。それでも   ー 現在のでなくても、過去に女性のパートナーがいたと私が告げたら、どうすんねん~。

そういう事が、きっと頭の隅に思い浮かばないほど、「同性愛」/「異性愛でない形のロマンス」はあの方にとって身近ではない、「異質なもの」として捉えられているんだなぁ。その方にとっては、圧倒的にマイノリティとして、「見たくない」存在として片付けられている。それを思うと、胸が痛みました。

誰が、どちらが悪い、とかではない。

後になってこのやり取りを振り返れば振り返るほど、

私が「気まずくならないように」、言わないことにしたことにそれほどの意味が、価値が、あったのか。

言わななかったことで、その方が知っている「異性愛者」の数を増やし、「マイノリティ」の存在を知る機会を打ち消してしまったんじゃないか。

言わなかったことで、結局いま後悔してる。

仮に自分が思っていることを率直に言ったことで、その場を気まずくさせたことを、私は後悔しただろうか?

そんなことがぐるぐると、頭の中を行き来しているのでした。

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