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【改革しよう!】大学生、全く分別しない問題① 現状を知ろう編

字数:5,338字
推定読了時間:約14分


許せないことがある。

大学に入学してから、ずっと。

それは、大学にあるゴミ箱のゴミが、全く分別されていないことだ。

許せない。本当に許せない。

改革します。


現状を知ろう!

分別を知らない人たち

私の所属する二松學舍大学の悲惨な現状をお伝えするには、写真を見せるのが早いだろう。

1号館地下2階のゴミ箱

これ、なんと「燃えるゴミ」のゴミ箱である。
ビニール袋が我が物顔で居座るこの隣には、
もちろん、「燃えないゴミ」も設置されている。

なぜ隣に捨てずにわざわざ燃えるゴミの方に捨てる?
これを捨てた犯人は日本語が読めない猿か、もしくは分別という概念を知らない猿のどちらかだろう。しかもそうした類人猿は、この大学に一匹ではないらしい。

原因は設備?

当然、分別をしないのは学生が悪い。
しかし、大学の設備も不十分で、利用者の分別を妨げている側面も、確かにあるのだ。

1号館地下1階のラウンジ。
写真左側、自販機の前にゴミ箱が設置されている
ラウンジのゴミ箱
「燃えないゴミ」が、無い……?!

写真は地下1階のラウンジで、学内で最も賑わうスペースの一つだ。
お昼になれば皆ここに集まり、各々昼食を食べる。
そしてその付近に設置されているゴミ箱だが……、
え、これって……、まさか「燃えないゴミ」が無い?!

学内で一番多く人が集まるこのラウンジでは、当然多くの人がご飯を食べる。コンビニのおにぎりやお弁当、パン、お菓子、学内で販売されているお弁当、などなど。
そうした食事の後には、当然ゴミが発生する。もちろん、「燃えないゴミ」も。
しかし、一番近くにあるゴミ箱には「燃えるゴミ」しかないので、学生たちは「燃えるゴミ」に全てを捨てる。
ビニール袋、お弁当の容器、割り箸の袋、お菓子の袋、そしてなぜか、ペットボトルも……。

訴えた!

私は早速学生支援課に行って、訴えた!

「一番人が集まるラウンジに、燃えないゴミが無いのはおかしい!」
「すぐに設置してほしい!」

その時対応してくれたのは私の好きな職員のHさんだったため、安心である。
彼はなるほど、確かにそうだ、と納得してくれた。
来月くらいには置いてくれるかな、置いてくれるといいな、
Hさんはいい人でも、うちの大学の職員は基本的に融通が利かないので……。

清掃員さんの仕事

学生どもが分別しないことの何が許せないって、清掃員さんの仕事が増えることである。
私はある時、清掃員さんのある作業を目撃した。

清掃員のOさん。いい感じのおっちゃんだった

この写真の清掃員さんは、今何をしているところか分かるだろうか?
そう、「燃えるゴミ」のゴミ箱から、「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」に分別し直しているのである。
学生が分別せずに捨てたせいで、清掃員さんがわざわざそれを分別し直すという、本当に無駄な作業が生まれているのだ。

許せないですねぇ、許せない。

もちろん私はちゃんと分別して捨てているが、みんなが全く分別しないせいで、分別するのがすごく虚しい。だって、私が割り箸を捨てた「燃えるゴミ」の中には、既に大量のビニールが捨てられているのだから……。

清掃員さんに話を聞こう!

分別し直すという死ぬほど不本意な時間を過ごしている清掃員さんを発見した私は、すぐに声をかけた。
名前をOさんと言って、とても気さくなおっちゃんだった。
以前は鉄道会社で働いていたらしいが、コロナ禍で仕事が減ったので転職したのだという。

私は丁度空きコマの時間で暇があったので、彼に声をかけて、仕事の見学をさせてもらいながら話を伺うことにした。

ゴミ箱に入れればいいと思ってる

これも、「燃えるゴミ」

なんでみんな分別しないんですかねぇ、と私が愚痴をこぼすと、
Oさんは「とりあえずゴミ箱に入れればいいと思ってるんでしょうねえ」と苦笑していた。

確かに、二松學舍大学でゴミがポイ捨てされているのは見たことがない。
ポイ捨てせずにゴミ箱に捨てているというのは、まあいいことなのかもしれない。無論当たり前のことなのだが。
(しかしうちの大学は敷地があまりにも狭いので、他の大学と違ってポイ捨てできるスペースもそんなにない。)

講師や職員の方が……

「清掃の仕事をしている中で、どこのゴミ箱が一番分別されていない印象にありますか?」
という私の質問に、Oさんは、9階や10階(主に講師や職員が使っている階)と答えた。

9階や10階?? いやいや、我らが二松學舍大学の先生方がそんな、分別しない訳……、ない、よな?
一応、念のため、先生たちの潔白を証明するために私は9階と10階へ向かった。
研究室が並ぶその階に行くのは、少し緊張してしまう。しかし緊張しながらも、私はゴミ箱の中を覗いた……。
すると、(清掃が入ってから間もないせいもあるだろうが、)意外とゴミ箱内は綺麗で、他のゴミ箱と比べて悪目立ちするような部分はない。
よかった、と安心した私は、またまた一応、他の研究室が設置されている7階に向かった。
すると7階のそのゴミ箱には……

段ボールが放置されて、ゴミ箱の投入口を塞いでいる

あり得ない。
大きな段ボール
が、畳まれてすらいないまま、ゴミ箱の上に放置されていた。それも、「燃えないゴミ」の投入口を塞ぐかたちで。
最悪である。何を考えているのか分からない。
段ボールに貼られた宛先シールには、しっかりと二松學舍大学所属のG准教授の名前が書かれている。

大学を代表する教育者が、何たる醜態。こんな大人に指導されているとは……。

高校生は分別してる

Oさんが仰っていたことで印象的だったものの一つは、
「隣の高校ではちゃんと分別してくれているんですよ」
隣にある附属高校にも行ったことがあるというOさん。
そこでは、ちゃんと分別しているらしい。

附属高校生は分別しているのに、大学生は分別もできない。
高校生にも劣る大学生さん……。

Oさんは手際よく作業しながら、私の質問に答えてくれた。
私が憤っている隣で、仕方ない、と優しく苦笑いしている彼は、とてもかっこよかった。
Oさん、ありがとう!

慣れた様子で作業するOさん

附属高校に行ってみよう!

清掃員のOさんによると、隣の附属高校の生徒は分別しているらしい。
本当に? と思った私は、実際に見てみることにした。

附属出身の友人に案内されて

附属高校に、来た

高校生でも卒業生でもない私が附属高校に忍び込んでゴミ箱を漁るのは流石に不審者すぎるので、附属高校出身の友人に案内してもらって、校内のゴミ箱を巡ることにした。

一度高校の教師に会ってしまったが、「君たちは俺が顔知ってるからいいけど、入るときはちゃんと許可取れよー」と注意されて事なきを得た。
私はマジで1ミリも面識ないのだが、知っている顔の隣にいたら知らない顔も知っている顔に見えるらしい。適当な教師にほっとしながら、ゴミ箱漁り、もとい調査を進める。

完璧ではないが分別されてる

左が燃えるゴミ、右が燃えないゴミ

完璧とまでは言わないまでも、大学で見た悲惨な光景と比べたら大分マシだ。というより、めちゃくちゃマシだ。

多少おにぎりの包装などが燃えるゴミの方に入ってはいるが、ちゃんと分別しようという意識は感じられる。

ペットボトル用(左)とキャップ回収器(右)
ほとんどのペットボトルは、ちゃんとキャップが外されている

高校内にはペットボトルキャップの回収器も設置されていて、こちらも完璧ではないが、大半のペットボトルはしっかりとキャップと分けて捨てられている。

そもそもゴミ箱を使わない?

附属高校内をざっと一周してみて気付いたことは、そもそも、あまりゴミ箱にゴミが捨てられていないということ。

案内してくれた附属出身の友人に聞くと、お菓子などの持ち込みが原則禁止されているため、あまりゴミが発生しないという。
ゴミがあっても、教室内のゴミ箱に捨てたり各自持ち帰ったり、共用のゴミ箱にゴミを捨てる機会が少ないらしい。

何も考えずゴミを持ち込んで、何も考えず大学のゴミ箱に捨てまくる学生たちは、大学という環境が生んだ悲しきモンキーたちだったのかもしれない……

ちょこっと改革しよう!

附属高校を巡った後、大学に帰ってきた私は、改めて1号館内のゴミ箱をチェックすることにした。
二松學舍大学のメイン棟となっている九段キャンパス1号館は、地下3階から13階まである。そして、ゴミ箱は全部で24か所。あまり使われていない階を除けば、平均して1階につき約2か所ずつの計算だ。
学生が主に使う2階や4階には、それぞれ教室が3つずつほどしかないため、あまり広いとは言えない。なので1階につきゴミ箱が約2か所もあれば十分であるはずだ。

私は1か所ずつ全てのゴミ箱を回り、現状をチェックしつつ少しだけ改革を進めることにした。

蓋のせいで捨てられない?

二松學舍大学のゴミ箱は、ゴミ箱本体の形状は統一されているのに、
結構蓋の形がバラバラだ。
ここでは分かりやすく、
①四角型(四角く広く開かれている。中を簡単に見ることができる)
②回転型(真ん中が固定されており、蓋を回転させることでゴミを捨てられる。中は見えづらい)
③穴型(ペットボトル・カン・ビン専用の、丸い穴が開いている。少し中が見える)
の3種類に分けて呼ぼう。

10階ゴミ箱
不燃:四角型、ビン:回転型、ペット:穴型
6階南側ゴミ箱
不燃:回転型、ビン:穴型、ペット:穴型
6階北側ゴミ箱
不燃:回転型、ビン:四角型、ペット:四角型

上の写真のように、蓋の形が統一されていない。
唯一見えるルールといえば「穴型はビン・カン・ペットのみ」ということくらいで、別にペットボトルでも四角型だったり回転型だったりする。
この規則性のなさ、統一性のなさは何に起因しているのだろう?
予想するに、「何も考えず適当に配置している」という感じだろうか。

私はゴミの分別を妨げている原因の一つが、この蓋にあると考えている。

①四角型と②回転型を比較したい。
①四角型は広く開いているので、ゴミを捨てやすい
しかし、②回転型は真ん中で固定されて回転するという構造上、大きなゴミが入らないのである。

実際、学内で販売されている弁当や、コンビニ弁当の一部の容器では、②回転型の投入可能面積よりも大きいものが多くあった。
つまり、「燃えないゴミ」に入らないので、仕方なく「燃えるゴミ」に捨てる、という事態が発生しているのである。

また、回転型はゴミ箱の中が見えないという性質上、燃えるゴミを「燃えないゴミ」に捨てることの罪悪感が生まれにくいという問題も考えられるだろう。

私は構内を回りながら、地道に蓋を取り換えるなど、少しでも分別を促すようちょこっと改革をしていった。

5階南側ゴミ箱
蓋交換前、不燃:回転型、ビン:四角型
蓋交換後、不燃:四角型、ビン:回転型
ビン・カンには大きいゴミが入らない方がよい

謎のゴミ箱

地下2階。そこは地下1階ラウンジと同じく、最も多くの学生が集まるスペースの一つである。
そこには、謎のゴミ箱があった……。

謎のゴミ箱。何の表示も無いので、無論分別されていない

本当に謎のゴミ箱。燃えるゴミとも燃えないゴミとも、ビンともカンとも書いていない。そもそも本当にゴミ箱なのかすら怪しい。でも、きっとゴミ箱なんだろうな。

学生支援課のHさんに伺うと、元々は「燃えるゴミ」のつもりで置いていたらしい。
しかし、現状は「何でもゴミ」。
これでは、家具や動物や人間の手足が捨てられていても何の文句も言えまい。だって、書いてないんだもん。
もはや職員側も分別させるつもりがない。しかし、清掃員さんは依然、分別し続けている……。私はそれが、許せない。

表示が剥がれ、「何でもゴミ箱」化しているゴミ箱

これは冒頭でも紹介した悲惨なゴミ箱だ。

「燃えないゴミ」は表示が剥がれ、「燃えるゴミ」の表示は薄くなってひどく見づらい
ただでさえ「分別」の識字率が半分を切るこの大学で、更に表示が剥がれていては分別しない訳である。

配置を換えてみる

ここにも謎のゴミ箱があった。

地下2階ゴミ箱 表示が、無い……?!

右側2つ、表示が無い。

ま、まさかね……と思いながら裏返してみると……、

裏側に書いてありました

……。
燃えるゴミとペットボトルの表示が裏側を向いていた。
蓋も逆になってるし……。

そして私が更に気が付いたことは、ゴミ箱の配置である。

【ビン・カン・ペットボトル】
【燃えるゴミ・燃えないゴミ】
という仲間分けを無意識にしている我々。
上の写真の配置ではその固定観念から外れたものになっているため、ゴミの入れ間違いを助長するだろう。

配置を直し、蓋も交換した

利用者の無意識に沿うかたちで配置することで、分別を促すことができるのではないか。

まとめ

今回は、「大学生、全く分別しない問題」について現状を確認していきました。

話を聞いてくれた学生支援課のHさん、
見学をさせていただきながら色々な話を聞かせてくれた清掃員のOさん、
部外者の私を附属高校へ案内してくれた友人のSくん、
そして私が今回の内容に関心を持ったきっかけを作ってくれた、分別のぶの字も知らずに何も考えずゴミを捨てる本学学生の皆さん、
どうもありがとうございました!

活動はまだ終わりませんが、ひとまず今回はこの辺で。

それでは次回、
【改革しよう!】遂に、日本を変える編
でお会いしましょう。

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