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(18)セミの羽化で思った"生きる"こと。

先日、虫好きの夫が公園から羽化直前のセミの幼虫を連れて帰ってきて、家族で羽化を見守ることにした。私と娘は初めての体験だったのだけど、いやー感動した!

我が家の観葉植物に置いてあげると幼虫は登り始め、羽化ポイントを探しにウロウロしていた。こちらがソワソワしながら。15分ぐらいかけてやっとポジションを決めてじっとて、しばらくして羽化が始まった。

背中が割れてゆっくり体を捻り出し、ようやく前足(と言うんだろうか?)が出てきた。そこから前足で殻を押したりジタバタしたりしながら体を反らして宙吊り状態に。宙吊り状態のまましばらく動かない。
「大丈夫か?」「失敗?」「頑張れー!」と声をかけて熱が入り始める私たち。
しばらくすると腹筋(があるのかはわからんが)を使って状態を起こして枝をもち、またジタバタしなが出ようと頑張っている。
一生懸命頑張るセミくん。(後にメスだと分かった)
夫曰く。お尻を出すのが最大の難関らしい。
「頑張れ!!」「もう少しだ!」と声をかけ、更に熱を込めて応援する私たち。
私たちのマインドももうセミにだけ集中している。
お尻が出なければ羽化失敗。勢い余って落ちても羽化失敗。残酷なぐらいシンプルだ。。なんて冒険だよ。。

キャベツのような羽が出て、それから踏ん張って踏ん張って、ついにお尻も出た!
きゃーー思わずみんな拍手!涙ぐんだ夫と握手を交わす(笑)
娘が「メロンみたい」と言ったその体は確かに本当に綺麗なメロン色。

はぁ・・山場は超えた。ひとまずホッ。あとは朝まで体をして羽化の完了。
おめでとう、セミくん。晴れて成虫だよ。
7〜8年地中の中にいてやっと出てきての羽化、一世一代の大イベント成功。
ただ、ここから約一週間しか生きれないのがセミの一生。
でもそんなことなんて知らないかのように今日もセミたちはワンワン鳴いている。

そんな考えながら羽化を見ていると、ただただ本能のままに一生懸命成虫になろうとジタバタしたり休憩したり、迷ったり、最後の力を振り絞ったり。
7〜8年が長いとか、1週間が短いとかそんな簡単な話じゃないなと思った。

それよりも長く生きれる人間だから偉いのか?というと全然違う。
一瞬一瞬を生きてるのはどちらかといえばセミくんだ。

羽化を翌日、たまたま見た動画で話題に出ていた芭蕉の俳句がグッときた。

やがて死ぬ 景色は見えず セミの声

もうすぐ死ぬのだという悲壮感を全く感じさせず、自らの生命を生ききるセミのとにかく一生懸命な姿を感じる、と解釈される俳句。

私も自分の場所で、いつ終わるかわからない人生を、永遠に生きるかのようにその瞬間瞬間をジタバタしていこうと思った。
うまく生きようとか、誰に何か思われるかなとかなんてどうでもいい。
思うように瞬間瞬間を夢中で冒険するように生きたい。

セミの羽化を見たからか、その夜の夢は赤ちゃんが生まれた夢だった(単純w)


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