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大航海

冬の色と晩秋の色を繰り返して、やがて、私の住むまちは、だんだんと白く染まっていきます。

うっかり忘れないうちに、この一年を振り返ってみたいと思い、徒然なるままにエッセイを記します。

ゴリゴリには考えられない性分なので、気軽に記します。
よろしければ、気を楽にしてお付き合いください。

今年の初めは、昨年公募に出した作品がことごとく全滅して、抜け殻のような滑り出しとなりました。そもそも、得意なジャンルではなかったと、結果が出てから気が付きました。

お金を出して添削講座も受けてみたけれど、それはそれはもう、ボッコボコになりました。ほんと、ボッコボコのボッコボコです。

「傾向と対策って……自分は何のために書いているんだ?」

根本的な疑問が頭の中いっぱいに広がり、辛い時期でもありました。

職業作家でもなんでもないくせに、何を考えているんだと自問しました。でも、やはり、モチベーションの向かう先が決まらないのは、辛いものです。

そんな中、初めて企画をやってみようと思い立ちます。

【あなたのための短編小説、書きます。】

思いっきり、誰かに向けて小説を書きたかったのです。
真剣に書きたいので、募集はほんの少し。
ありがたいことに、3回募集をかけると、その都度定員まで応募が集まりました。

応募してくださった皆様には、感謝が絶えません。
この場をお借りして、お礼を申し上げます。本当にありがとうございました。

【あなたのための短編小説、書きます。】で書かせていただいた小説を、読んでいただき、喜んで頂いたことが、とにかく嬉しくて。2023年に得られた宝物になっています。

誰かのために一生懸命書くということ、それは、抜け殻だった年始の私への、一種のアンサーとなりました。

誰かのために、徹底して書く。
そのアンサーの先には、「一生縁が切れない、自分自身のために書く」という境地が、待ち受けていたのです。

書く自分とは別に、一歩外側にいる、読む自分を発見しました。
これまで自分が闇に放ってきた、無数の問いに対する答えになるように書くことを、心掛けるようになっていきます。

そんな中で迎えた、「春ピリカグランプリ2023」。
小説の中でならと、思いっきり叫びたいことを叫びました。

Marmalade賞を頂いた瞬間、通知が来て、手が震えました。
放心状態となり、そのままの状態でふらふらと入ったスターバックスで、お祝いのケーキを注文して、無表情で食べました。

あわよくば、自分も、自分以外の人も、楽しめるようなものを書きたい。
書きたいことを書けるように、もっと巧くなりたい。
シロクマ文芸部という最高の舞台で、武者修行の日々が始まりました。

すまいるスパイスのカフェペンギンにも呼んでいただきました。とても幸せな時間を過ごさせていただきました。

童話の挿絵を描いていただいたのも、嬉しかったなあ。

今年の公募は、いったん見送りました。
限りある人生、何に照準を合わせるかを、じっくりと吟味したかったからです。

吟味した結果、長編を書くことにしました。
嵐に見舞われても、遭難しかけても、この海を渡りたいと決めました。冒険をすることでしか得られない出会いや、宝物が見つかるかもしれませんもの。

書きたいことを書いて、書くことを楽しんで、読んでくださった方が喜んでくだされば、これ以上の幸せはありません。

この事を自分の芯にして、誰かに否定的なことを言われても、自信を無くしかけても、途中でやめずに、進んでいこうと思います。

泣いても笑っても人生一度きりなら、笑った方がいいではありませんか。
小牧部長、もしよろしければ、私のこのレポートを、ご査収ください。

<終>

#シロクマ文芸部



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