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20220314

晴れ。面談二件のあと川沿いを散策する。春の陽気。幼稚園児や小学生たちが川沿いの狭い土手で遊んでいた。ふだん碇泊している護岸工事用の船が、そのとき白浪を立ててゆっくり水辺を渡る姿をはじめて目の当たりにした。夕方は綾瀬の大松で春日さんと飲む。いつものように東綾瀬公園の鬱蒼とした公園を歩いていると、今日は亀有まで歩いてみようか、と誘われて付いてゆく。パークサイド東綾瀬の整然たるマンション群を抜けると何処も暗闇に住宅だけが並び浮かんでいる。出口の見えない悪夢を彷徨っているみたいだった。コンビニの光さえない。高木神社、北三谷神社に立ち寄る。亀有に着くと、五年前と較べて商店街のアーケードがない、目印の公園も消えてマンションが建っている、と春日さんが呆然と呟く。彼に従って未踏の路を歩いているとふいに見知った景色に接続されて、そこが亀有駅付近だと得心した。春日さんと別れ、帰宅したあと少しのあいだ川沿いで喫煙した。昼間の賑わいはない。夥しい光も消えた。暗闇に沈んだ道を行ったり来たりしていると、この世界は微睡のさなかの夢まぼろしだという気がしてくる、何を目指すのでもない迷宮。いつまでも沈んでいたい幸福な時間。

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