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生まれてから、心

果てのない悲しみの丘に
どうにもならない人生だと
唾を吐いて眠るのには無理があった。

生まれてきた意味なんてないのだと
言ってくれる優しさに触れないまま
育った怪物が蠢いている。

その怪物の周りにも花は咲いているのに
彼は気付かないのだ、
美しさを美しさと
教わらないまま育った者の結末は不穏だ。

知らないものを知らないものと自覚するのは難しいから
怪物に話しかける。
怪物が目を向ける。
悲しみと絶望の混じった優しい目がこちらを捉える。
ここから何かが始まる気がした。

あぁそういえば、ここは青空が広がる野原だった。
悲しみの丘も、悪い場所じゃないのだ。

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