眠る
おやすみって、優しい言葉。
全てから解放されて、でもまた戻っておいでと、
そう言われている気がするの。
私の体は分解されていって、
私の肌が、手が、目が、耳が、
全てが消えてから、「私」は、沢山の冒険をする。
一度には語りきれないような、そんな冒険譚を紡いでいく。
夜が明ける前にまた帰ってきたら、
私の体は再形成されて、何事もなかったかのように眠っているのです。
みんなが持ち寄った素晴らしい話は、
気付いた時にはもうほとんど忘れてしまっていて、
それでもほんの一欠片が頭の隅っこに引っかかっている。
その記憶だけを頼りに、
人々は、みな生きていく。
名前も知らないあの人も、実はあの時に会っていたのかもしれないね。
おはよう。私は今日も目を覚ました。
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