夏と秋
夏と秋が交わる季節に、
私は夜、冒険に出かける。
真っ暗な夜空に白い月。
ほのかに私を照らす街灯と、
鈴虫の鳴き声。
夏の夜風に混じる、秋の匂い。
私の体をすり抜けると
体の中身が全てなくなって
何かが足りない、何かを忘れた気がして、
私は必死にそれを探すけれど
何を失くしたかは、まるで分からないのです。
どうしようもなく寂しくなって、
どうしようもなく悲しくなって、
私は、はらはらと涙を流すのです。
涙を流して、
その涙が、失くしていたものだったと気付くのは
ずっと先の話。
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