ショートショート　海のピ　山のポ

世界のカタカナ達が一斉にどこかへ逃げ出してしまったようです。
日本人は世界に散ったカタカナを探す羽目になってしまいました。

米にはアやメが洋菓子を頬張っており、和菓子の良さも力説しました。
仏国には着飾った服を着たパやリを口説き落として日本へと帰国させました。
豪州にはカやン、ガ、ルーなどが地域の生き物と触れ合っていて中々帰りたがりませんでした。

国だけではなく自然あふれる場所でもカタカナは好きに生きていました。

海には下心満載のピとチが女性と遊ぼうとしていました。
山には晴れの日にポとカが散歩をしていました。
川にはビやシ、ャが子供達と水遊びをしていました。

たくさんのカタカナ達が自分の好きに生きていました。

どうしてカタカナ達は日本各地から飛び立ってしまったのでしょう。
それは日本人がカタカナを軽視したことが理由だったようです。
怒ったカタカタ達は日本人を困らせたかったようです。
カタカナがなくなり、漢字とひらがなしか使えなくなった日本人はとても不便でだった。

日本人は心からカタカナ達に謝罪することにしました。
「ごめんなさい」
「ユルス」

カタカナ達も好きに生きるのも楽しかったけれど、やっぱり文字として生きることが自分達の幸せを感じれるようでした。

(518文字)

たはらかにさんの毎週ショートショートに参加しております。

お題　　海のピ
裏お題　山のポ

読んでいただきありがとうございました。