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「ほめる」と「おだてる」の境目
「ほめる」と「おだてる」についてこんなエピソードがありましたので書きますね。
昨年はお休みをしましたが、私の教室では毎年夏のイベントとして「読書感想文を書こう!」ということをしています。
ずいぶん前の話になりますが、その教室の夏のイベントで書いたMちゃんの「読書感想文」が、コンクールで見事金賞をとったことがありました。
その年の秋の終わり、『賞状を頂いたから』ということでMちゃんは私に賞状を見せてくれました。
Mちゃん「先生、これ、賞状もらったの。見て下さい。」
私 「あら、ほんと。 立派な賞状。おめでとう。頑張ったもんね」
Mちゃん「うん。」
このほんのわずか数秒のやり取りをこっそり見ておられたお母さまが、こんなことをおっしゃったのです。
「先生!!たったそれだけですか?もっと大げさに「すごいね~」とか、『わ~すごいね』ってテンション高くほめてあげなくていいんですか?ていうか、他の子の前で披露しなくていいんですか?せっかく賞状を持ってきたのに・・・」
と。
面白いでしょ?
私は、その質問自体に驚いてしまって少々動揺し、「え? 入選とか、賞状とか、そこが目的だったわけじゃないんで」と、とっさに答えました。
毎夏、実施している夏の「読書感想文を書こう」イベントは、講師である私も、しっかり体調を整えて臨まないと乗り切れないほど大変ハードなイベントです。
Mちゃんは、3時間半以上もかかって一心不乱に読書感想文を書き上げました。7月下旬の暑い日中のさなか、何度も何度も書き直しをしました。
集中力も切れてくるし、お腹もすいてきます。
それでもMちゃんは 最後まで力を抜かずにやり遂げました。その作文が書きあがった時、私は心から感動し、その気持ちを素直に伝えました。「投げ出さず、あきらめず、力を抜かず最後まで書き上げてえらかったね。本当に素晴らしい姿でした」って。お迎えにいらしたお母さまも「M、よく頑張ったね。お母さんうれしい」って、ちょっとウルウルしながらおっしゃいました。
その時に、Mちゃんは自分の頑張りを十分認めて褒めてもらっていたから、賞状を見た私が別に「うわ~、すごいね、Mちゃんやったね。すごいすごい。」って大げさにほめなくても 、Mちゃんは「え?もっとほめてくれないの?」とは思わなかったはずです。
Mちゃんは、褒めてもらうため、友達に披露するために「賞状」を持ってきたのではなくて、おそらく「先生、ありがとうございました」の感謝の気持ちから持ってきてくれたのだと思うのです。
結果だけを見て結果だけをほめるのは、ともすれば「おだてる」に近いものになるのかもしれません。
過程を認めてほめるのは「おだてる」とは違います。その姿に心を動かされ、その感動を伝える行為が「ほめる」だと思います。
「おだてる」「ほめる」の境目はこちら側の意図や洞察の深さにあるのかもしれません。
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