見出し画像

人生のイベント 結婚、結婚式、妊娠、流産 〜流産篇③〜

読む専門だったnoteに書こうと思ったのは、人生が差し出した酸っぱいレモンでレモネードを作るためだ。これは、私の好きな海外ドラマのセリフから。

映画やドラマは人生に彩りを添える。自分の人生は映画やドラマじゃない。だけど、作品から勇気をもらって前を向くことができる。随所にリアルがあるからだろう。

私は8年付き合った彼と結婚し、一生に残る最高の式を挙げ、妊娠をし、流産をした。

稽留流産手術の当日。流産と言われてから2週間。
自然に出てくることなく術日を迎えた。夫は休みを取って一緒に来てくれた。そして、私を見送り迎えにくるねと言い、私はいってきますと言った。

記憶に残る限り初めての点滴。待機時間に色んなことを考えた。このつわりだけがこの子がいる証。でも、2週間も思いに耽る時間をもらった。この子はお腹から出してあげないと。きっとここが分岐点。大丈夫。ひとりぼっちの暗い空間で強くいないと考えすぎて飲み込まれる。

数時間待ってとうとうその時が来た。
人生初めての麻酔。この椅子でやるのか。目が覚めると終わっていた。看護師さんに叩き起こされベッドへ。私はそこで号泣した。感情はわからない。とにかく泣いた。

夫が迎えに来てくれて一緒に帰った。
私はお腹の鈍痛を感じながらつわりが治っていることに気がついた。

できることなら1週間仕事を休みたいが、そんなに休めない。3日休んで仕事に行かなければならない。仕事に行って忙しくする方が良いとアドバイスももらったが、仕事をする気にはなれない。数日は母が来て夕飯を作ってくれた。妹も来てくれた。

夫は変わらずあれこれやってくれる。
周りの優しさに助けられて何とか出社復帰した。立ち直るなんてことはない。たまに悲しくなって泣くこともある。我が子の写真をぼーっと眺めることもある。だけど、自分の感情の渦にのまれないのは、1人だけの悲しみじゃないからだろう。夫婦の家族の悲しみだった。エコー写真を見てすごく可愛いという母。気遣ってくれる義母。この子に名前をつけてくれた夫。この子に関わったみんなが、ちゃんと語り合っている。私にはとても大きく大事なことだった。

産んであげられなくてごめんね。だけど、きっと戻ってきてくれる。私たちを初めて親として認識させてくれた。私たちはこの経験から立ち直ったわけではない。

感情に蓋をして毎日働くことで、記憶が薄れることが嫌だった。だから、整理をしようと思って書き始めた。整理がついたかはわからない。
それでも書けてよかったと思う。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?