ツボナージュが生まれた2

「ツボナージュが生まれた」の2回目です。
 
前頚部の次に、私が気になったのは腰です。
太古、人類が立ち上がって2足歩行になってから、現代まで人々は腰痛と付き合ってきました。
 
鍼灸、指圧の学校などで、腰痛を和らげるために有効だと教えてもらったのは、腰そのものを治療すること、もう一つは、委中という膝裏の中央のやや内側から少し下がったところにあるツボを刺激することです。
 
「腰の痛みは委中でとれ」という言葉があるほどだと教わりました。
 
しかし、現代人の腰痛はこれだけでは、なかなか治せませんでした。
そこで腰の下で支えている臀部を治療しなくては! と、私は考えました。
しかし、皆さんお尻の筋肉がカチカチ過ぎてなかなか上手く治療できませんでした。
 約30年前、今のようにパソコン作業で座りっぱなしという状態ではありませんでしたが、徹夜麻雀など、とにかく運動不足で座ってばかりいる方が多かったのです。
 
運動など筋肉の使い過ぎて凝った筋肉より、使わないで凝った筋肉の方が、どこか無機質な感じに硬くなり、取り付く島がない感じになります。
 この頃の方たちの臀部が正にそうでした。
 
臀部の治療といっても漠然としていますが、
私がとくに力を入れて治療していたのが仙骨という骨盤の中央にある手のひらより少し小さな骨です。
ここには八髎穴(はちりょうけつ)という、とても大切なツボが両側4個づつ合計8個あります。身体を健康に保つために大きな役割を果たしてくれるツボです。
この8個のツボを一生懸命に圧すのですが、なかなか思ったほどの効果を出せませんでした。
そこで、前頚のときに学んだ奥をイメージしてみました。
すると仙骨の裏側(内臓側)に分厚い冷えた凝りの塊があるのを感じることができました。
これは八髎穴を真上から圧すだけでは治すことはできないと実感しました。
そこでこの分厚い冷えた凝りを、仙骨の真横から、前回お話した体幹からの力で直接圧してみました。
すると、ほぼ全ての患者様が痛いが効く! と、おっしゃってくださいました。
もっともっと奥に届くよう指や上腕の神経を研ぎ澄ませながら治療していると「んっ! この凝り深いとは思っていたけど、思った以上に深い! もしかして? 腹部を貫いてる?」、そう気がつきました。
そこで思い切って腸骨という骨盤で1番大きく外側にある骨のお腹の上の方に2、3㎝ほどの出っ張っているところの下から鼠蹊部に向かうお腹の外側を揉んでみました。
 
すると、なんと軟骨のような凝りがお腹にもあったのです。
人によっては蛇腹のように何本も!
ここを丁寧に揉みながら、仙骨際もしっかり治療しました。
併せて委中も治療しました。
すると月2回の治療を3か月から半年ほど続けると、単に腰痛やギックリ腰が治るだけではなく、毎年、腰痛やギックリ腰になっていた方のほとんどが再発しなくなりました。
 
現代人の腰痛は腰や臀部だけではなく、腹部の治療も必要だったのです。
 
次回は足、股関節の治療について書きたいと思います。

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