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物価高!火災保険の保険金額は大丈夫?

私はバブル入社組で、現役で損害保険を扱っていた30年間はデフレでした。私の入社時の初任給と私の子供の初任給の額は、ほぼ同じでした。デフレとはお金の価値が下がらない、物の値段が上がらない状態を指します。

しかし、ここ3年、急激な円安やウクライナ戦争の影響で物の値段が上昇しています。まさに物価高!インフレの時代が到来したのです。

先日、外資系損害保険会社で行われた火災保険の勉強会に参加してきました。内容は、自然災害が多発しているので火災保険の料率が値上がりするというものです。

そして気になったのが、火災保険の保険金額の算出基準が変わった事です。
新価実損払いの火災保険の保険金額は今、同じ建物を建てるならいくらかを保険金額にする契約で、その保険金額の算出方法は「新築費単価法」「年次別指数法」の2つがあります。それぞれの算出基準が大きく上昇したのです。

「新築費単価法」
新築費単価×延べ床面積=現在の建物新価評価額(保険金額)
で計算されます。
新築費単価は建物の構造や所在地、建物に使用されている材料等で定められて1㎡当たりの標準単価を言います。

「年次別指数法」
新築時の建築値段×年次指数=現在の建物新価評価額(保険金額)
で計算されます。

「年次指数法」でその変化を見ると外資系保険会社の2016年の木造建物の
年次指数は現行は1.00、変更後は1.21です。
2016年に5,000万円で新築した建物の評価は、
今までなら 5,000万円×1.00=5,000万円
これからは 5,000万円×1.21=6,050万円
1,050万円も評価があがります。

正しい評価額で保険金額を設定しないと事故支払い時に「比例てん補」がかかり、もらえる保険金が減らされてしまいます。

一般の人は、保険はお守りと考えて、例えば2,000万円の建物に1,000万円の保険金額の火災保険に加入した場合、1,000万円保険が掛かっているから建物が全焼した時に1,000万円保険金を受取る事が出来ると思われますが、実は、500万円しか受取れません。これが「比例てん補」です。

2,000万円の建物には2,000万円の保険金額で火災保険を契約しなくてはいけないのです。正しい保険金額で火災保険を契約しないと事故が発生した時に役に立たない火災保険になってしまいます。

先程も言いましたが、私が現役の30年間はデフレで物価は上がらなかったので、保険金額の評価は気にしなくても問題は発生しませんが、これからはインフレの時代「比例てん補」にかかってしまう火災保険契約が大量になされて、事故の時に「比例てん補」がかかり大問題になるのではないかと危惧しています。

火災保険の満期更改時に貴方の担当の損害保険募集人が保険金額の増額の話をしないで、「前年同条件で継続契約をしますか?」と言ってきたら、それは「Mr.前年同条件」です。担当の損害保険募集人を変えることをお勧めします。


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