人間は簡単に死ねないし、簡単に死んでしまう
数年前、貯め込んでいた抗不安薬を50錠以上
一気に飲んだことがある。
親友と一緒に。
「りぃちゃんがそう思うなら、いいよ」
「わたしも一緒に死ぬ」
そう言ってくれた親友と一緒に
大量の薬をお酒で流し込んだ。
フラフラになりながら手首も切った。
おしぼりが血塗れだったのを覚えてる。
それでも死ねなかったなぁ。
途中から記憶はないけど、
お互いちゃんと家に帰ったみたいだし。
躊躇いとかはなかったんだけどな。
それから親友と会う度、
お互いの傷を見せあって思い出話をする。
笑いながら。
たしかに、絶望はしていたのだけれど
悲観的に死を望んでいたわけではないから
わたしたちにとっては、今となっては笑い話。
周りからすれば迷惑な話だということも
承知しているけれど。
その頃は、普段からお酒で薬飲むのは当たり前で
処方された容量以上の数を飲む、というのも度々やっていて。
よく記憶飛ばしてた。
その時の記憶は未だにない。
その状態で友だちの家行ったりしてたらしいんだけど、
全く覚えてなくて、どこにその家があったのかも思い出せない。
簡単に死ねないものだなぁ、と
ふわっと考えたり。
その数年後、薬は飲んでない状態だったんだけど
救急車で搬送されたことがあった。
とある出来事があって、10月下旬の夜
寒空の下ショーパン、裸足にクロックスという格好で
3時間以上公園のベンチに座り続けていたら、
目の前から懐中電灯に照らされた。
お巡りさんだった。
名前を聞かれて、答えたら
「○○公園で少女発見」
って無線で話してて、え…なにこれ?ってなった。
どうやら捜索願いが出されていたようで…
家から徒歩1分の目の前の公園にいたんだけどな…
それからお巡りさんが
「身体冷えてるね、念の為救急車呼んだから病院行こう」
と言って、救急車が来るまで優しく話しかけてくれていた。
わたし的には全然大丈夫だと思ってたんだけど、
救急車乗ってから救急隊の人にいろいろ診てもらったら
「瞳孔が開いたままだね」ということで
低体温症になりかけてたみたい。
不思議なことに、そこからの記憶は曖昧で、
誰か知り合いが一緒に救急車乗ってくれていたような
誰も乗っていなかったような…
病院ついてから服を脱がされ、
わたしの腕を見た看護師のみなさんが
「あぁ〜これは…」というような反応をしていたのは覚えてる。
当時アームカットをしていたので、
その痕を見て「大量に薬飲んで自殺しようとしたのでは?」
と思われたみたい。それは仕方ない。
それからMRIとかいろんな検査された気がするけど、
記憶が曖昧すぎてほとんど覚えてない。
次の記憶は病室で、
尿道に入れられたカテーテルが痛くて
違和感すごくて「外してもらえますか?」って頼んだ。
先生が来て、いろいろ話して
わたしが「明日帰れますか?」と聞いたら
「ご両親がいらっしゃるので、
お話して検査結果がよければ大丈夫ですよ」とのこと。
えっ
親来るの?
お父さんも!!?
いろいろ衝撃すぎたけど、
でもわたしはなんとしてでも明日帰らなきゃ
って必死に思ってた。
なぜなら、明後日は友だちとコスプレ合わせがあったから。
その日もコスプレするキャラのウィッグを整えてる途中だった。
翌日、当時横浜に住んでた両親が
立川の病院までわざわざ来てくれて、
その姿を見た時には、自分の行いをひどく後悔した。
ごめんなさい、ごめんなさい
って、何度も心の中で謝った。
もちろん直接感謝と謝罪の言葉も述べたのだけど…
それから無事退院できることになって、
両親と一緒に病院を出て
わたしは当時住んでいた国分寺のアパートへ、
両親は横浜の実家へと帰っていきました。
この話にはオチがありまして。
家に帰ると、窓ガラスが割られていました。
捜索願いを出された警察が、
鍵のかかった私の部屋に入ろうと割ったようで。
大家さんはスペアキー持ってなかったんですって…
しかも割られた窓が特殊な防犯用の窓ガラスで、
ガラス屋さんに依頼しても用意するのに時間がかかる
と言われてしまい…
末には引っ越す予定だったのだけど、
それから1週間弱、隙間風に吹かれながら過ごしました…
それにしても、警察の人も部屋に入ったとき
「ぎょっ」としたんじゃないかな…
コスプレ用の130cmのロングウィッグが、
頭部だけのマネキンに被せてあって、
それが机の上に置いてあったのだから…
生首に見えなくもない。みずいろウィッグだったけど。
コスプレイベントは無事参加できました。笑
この時は、本当にいろんな人に迷惑をかけてしまったので、
周りに迷惑をかけるようなことは、もう絶対にしない。
と心に誓いました。
そしてその数年後。
父が、心筋梗塞で他界した。
人間って、簡単に死ねないようで
簡単に死んでしまう。
血管が一本詰まっただけで、死んじゃうの。
人間って、本当にすごい。
誰だって、今日死んでしまうかもしれない。
だから、わたしは毎日が命日だと思って生きている。
ODもリスカもアムカももうしない。
ODやリスカやアムカをすることを否定するわけではなくて。
わたしもそれらをすることで救われてきたから。
もう、じゅうぶん助けられたから。
後悔のないように、生きていきたい。