見出し画像

星の子 (#読書の秋2020)

芦田愛菜主演で映画化され、その宣伝活動でテレビにて何度か紹介されていた事をきっかけに本を手にとりました。

林ちひろは中学3年生。病弱だった娘を救いたい一心で、両親は「あやしい宗教」にのめり込み、その信仰が家族の形をゆがめていく。野間文芸新人賞を受賞し本屋大賞にもノミネートされた、芥川賞作家のもうひとつの代表作。

主人公のちひろの5歳の頃から中3までが書かれていて、ちひろが喜んだり、悲しんだり、日常の些細な事も、全て私の脳内でちひろは芦田愛菜に書き換えられるので、物語の中に入って行きやすく、あっという間に読了しました。


子供の為に、家族の健康の為に、自分が信じるもの。って誰にでもあるように思います。
私自身、食べる物などこだわりたい性格なので、ちひろの両親の気持ちも少しわかります。
それは、ちひろの家みたいに食事は玄米、排泄状況は家族間で共有って、私の実家でも普通にしている事だったので、一般的には違うのか…と感じたくらいです。


一般的な目線で見たらちひろは【 かわいそうな子 】なのかもしれませんが、ちひろ自身は、とある出来事があるまでは自分の家が他の家と大きく違うとは感じていません。

しかし、ちひろの姉まーちゃんは違います。宗教にのめり込む前の両親を知っているから。そして自由を求めて家を出てしまいます。


生まれ育つ環境って子供にとっては全てなんですよね。
普通は、とか常識的に…と言うのは、それぞれの環境が作り出す物なんだと改めて感じました。

そこで何が大切かって、親が正しい事、または正しいと言われる事を選択する事ではなくて、自分とは違う価値観も柔軟に受け入れる事なのでは無いかと私は考えました。
柔軟性のない考え方では、人間の成長は遅くなってしまうと言われています。
早ければ良いわけじゃないけれど、様々な経験をして、人の意見を受け入れて、自分は違うなと思えばそれをちゃんと話し合える。
それが健全なコミュニケーションを生むのでは無いでしょうか。

ちひろの両親の信じる【 あやしい宗教 】が敬遠されるのは、信者にこの柔軟性が無いからというのもあるでしょう。
しかしながら、ちひろが好きだった南先生の態度は許せません。教育者としてあるまじき態度です。ちひろの人格形成におうちの事情よりも、よっぽど影響しそうです。


最後は何とも言えない終わりでしたが、私達が見ているものは、自分が見たいものだけを見ているんでしょうね。


映画は少しストーリー展開が違う様なので、ぜひ映画でも鑑賞したいなと思っています。
最後まで読んでいただいて有難うございました。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?