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夫の家系のこと

あれは何という名前なのか。
お墓の横にあるやつ。
その家系の、いついつに誰が亡くなったか、が戒名と共に彫られているやつ。

とにかく、夫の実家のお墓参りの時に、ふとそれを見た私は、そこに彫られている戒名のひとつから目が離せなくなった。

夫からみたら、どういう親族にあたるかは分からないけれどとにかくご先祖さまで、戒名に「童女」とあることから、幼くして亡くなったと分かる。

そして、なぜ私が目が離せなくなったかと言えば、その戒名に使われている一文字が、娘の名前にもなっている漢字で、それは、夫が、この漢字にしよう、と強く推したものだったから。

ああ、こういうことだったのか、って何となく、分かった、瞬間だった。

もう10年以上も前のことで、娘も小さかった頃の話だ。



そうして、今、ここ最近なのだけれど、多分、このご先祖さまである女の子が、私の近くに、よく、来てる。

私は、うん、うん、って彼女の話を聴く。

そうだったの、つらかったね、って。

でも、もう大丈夫だよ、あなたの気持ちは分かったよ、だから安心してね、って。


そうすると、帰ってく。


私は彼女のいろんな想いを聴く。

そこには、夫の家系のあれこれも含まれている。

夫も知らないであろうあれこれ。

私は、彼女から、聴く。

そして、伝える。

つらかったね、って。

でも、ちゃんと、あなたの気持ち、分かったよ。

私が、これから、ちゃんとやってくから、安心してね、って。

誰も、わるくなかったよ、って。


私が、離婚して、夫の実家のお墓参りに、常に行くようなことが、なくなったとしても、でも、ちゃんと、あなたのことを、夫のご先祖さまであるあなたのことを、祈るよ、って約束する。


私は、夫の家系をも、救う。

兄嫁や義母や義妹からは、多分、いまいましいくらいに思われてただろう私だけれど、でも、見えないところで、私は、夫の家系を、これからも、救っていく。



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