お魚

神社にある池の鯉。
オレンジ色の鯉に目がいく。黒い鯉が五、六匹の中にオレンジ色の鯉。それがふっと目立つ。
『おそれないで』と聞こえる。
『目立つことをおそれないで。先を行く者はいつも誰にも理解されない。でもそれでいいの』
私の目から涙が出ている。
『水の底から見る空はとても美しいの。
あなたもそれを見られる場所に今、立っているの。
水は流れてゆく。何をしても何を考えてもいい。ただたゆたって。身を任せて』

私は「幸せですか?」と尋ねる。
『幸せよ。ここには愛があるから』と仲間の鯉たちを指した感じ。
『愛があることが一番大事なの。
あなたは心の綺麗な人だから、いろんなものがあなたとお話をしたがっている。だから心を開いて彼らの言葉を聞いて』
私は、ありがとう、また来ますねと言って帰る。


ペットショップの魚と。
ゆったり泳いでる、黒い魚。

意味について話してくれる。
『あなたが魚を食べる意味は何ですか?』
意味。
お腹が空くから。生きるため。お店に売ってるから。
『意味などあってないようなものです、全て。
私のヒレがこういう形なのも、私の柄がこうなのも、人間が意味を付けることはできる。でもそれは意味のないこと。
私は泳いでいる。ただそれだけです。
意味よりも、今私が全身で泳いでいること、ただそれだけなのです』

意味、目的とか考えず、ただ愛を感じること。
愛は実践してこそ意味があると聞いたことがある。若松英輔さんのエッセイだったか。
愛を感じたらそれを与えること。
愛したいから愛すること。
愛を感じることの尊さ。
愛を与える勇気があることの尊さを思う。

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