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離婚とか家庭を壊すとか

「彼は離婚しないよ」

最初の頃、占いの先生にそう言われた時、やっぱり私はつらかった。
だから一瞬黙り込んだ。

それを感じ取ったであろう先生は
「父親との関わりとか、家系的なことで、そういう意味でね」
と教えてくれた。

それは、彼の生い立ちとか今置かれている立場とかを考えた時、とても腑に落ちる言葉ではあったのだけれど、でも、私の中に一番にあったのは、つらい気持ち、だった。

彼にお父さんを続けてほしい、彼の家庭を壊したくない、とか思ってたはずだったけど、でも、やっぱり、つらかった。


「奥さんにバレたらどうしよう、って罪悪感持ってる。この人、家庭を壊す気ないから」

そう言われた時も、私は心臓を鷲掴みにされるような痛みを覚えた。

壊す壊さない、という言い方は適切かどうか分からないけれど、自分からぶちまけて、しっちゃかめっちゃかにして家族を投げ捨ててゆく、みたいなことを壊すというのであれば、やっぱり私も、家庭を壊す気はない、とも言えた。

それでもやっぱり、私は、つらかった。



夢の中で彼が、僕は家族を愛している、って言ったことがある。

まあ、そうだろうな、って私は聞いている。
特別、痛みは、ない。

でもそれは、今すぐ投げ出したりはできない、っていう意味も含めて、もしかしたらそれが一番大きいかもしれない。
だから、家族のほうが大事とかそういうことではなくて、君への思いは、それとは全然違うから。

そう、彼は、言った。

それは、私の中の、自分の家族に対する思いと、全く同じ、ような気さえした。



やっぱり夢の中で、彼は私に
僕のものになってほしい、って言ったことが、ある。

私は今だって誰のものでもないよ、って私は答えていた。

目の前に誰がいても、誰と一緒にいようが、私の心の中にはいつもあなたがいる、いつも心はあなたと共に生きている、そういうことでもあった。



私は私で、いつだって、愛ある存在として、ただ、あり続ける。

私は私を、愛で満たす。

それが周りへと溢れてゆく。

ただ、それだけの、こと。



家族だから愛する、と言うよりも、愛を注ぐ先が、私から溢れた愛が向かう先が、時には、家族という名の夫であり、子供であり、ということに過ぎないような、気もする。



誰に、どんなふうに、どれだけ愛を注ごうと、その愛の燃料となるのは、彼への思い、それだけだった。

彼を愛しているからこそ、彼を愛するように、周りを愛そう、と、そんなふうに思えるだけだった。

逆に言えば、彼というフィルターを通してしか、家族にすら愛を注げない、そんな人間が私であり、それは彼でもあるのかもしれなかった。









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