カラス②

朝、冷たい雨が降っていた。
雨だけど昨日のカラスに会いたいな、と思った瞬間つながった感じ。

『雨でも来たのか』とカラス。
「まだ行ってないけど」
『かわいいとこあるじゃん』ニヤニヤしてる感じ。
「私はかわいいんだよ」
『母親とはどう?』
瞑想でも考えていたことだった。難しくても、母親のしてくれたことを広げて、そこだけ見ていくしかないと思った。
でも昨日電話で母の声を聞いた瞬間、条件反射のように私は冷たい声を出していた。
「そんなすぐには変わんないよ。40年以上もかかってできた気持ちなんだから」
『40年もあったんじゃねーか』
いくらでもチャンスはあっただろうと言われている気がした。
それはそうなのかもしれなかった。
カラスの寿命がどれくらいかは分からなかったけれど、きっと私はカラスから見たら途方もなく長い時間を贅沢にも与えられていて、でも長いから、短いからどうだということも関係ないのだろうなという気もした。
「やっぱり後から行く」と私は言った。昨日のように近くで話したいと思った。
『来たって来なくたって話すことはおんなじだ』と言われる。

彼と私のことを思う。
夢の中では二人とも本心をぶつけ合ってる気がしていた。お互い泣きながら話したり。
でも実際に会えば、二人ともお互いの立場とか周りのことを一番に考えちゃってその上での会話しかできない。
だから私は混乱する。

私とカラスは共通言語がこのチャネリングだけだから分かりやすい。
でも彼と私は、これもチャネリングなのか夢や心の中での会話と、もうひとつ、慣れ親しんだ言葉での会話があって、こっちのほうが当然見えやすくて、でもこっちは立場とか常識とか建前とかズルさとかいろんなものが張り付きやすいのも確かで、あれ、もしかしたら言葉って案外不自由なものかもしれないと初めて感じる。


カラスと話して一週間。
部屋の中でも朝日が上るのが見える窓際に来るとふっとカラスとつながる感じがする。

この日、母との電話でいつもより優しく話せた感じ。
電話の後、私はカラスに聞いてもらいたくなって、窓際に来て、カラスのいる公園のほうに向かって話しかける。
「やったよ」と私。
『できんじゃん』
「うん」
『あんたは愛せるんだよ。愛せるから愛されるんだ。大丈夫だよ。全部うまくいく』
私はふっと泣いている。

母のことでアドバイスをくれて、そうして私の成長を喜んでくれたカラス。
ありがとうの意味を込めて、愛してるよと伝えた。


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