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就職活動支援記録その12

今回は、「答えにくい質問」についてです。

「あなたは、NGOやNPOのような団体に行った方が良いのではないか?」

 面接をしている中で、このような質問に戸惑われた方はおられないでしょうか? 今回ご相談の就活生の方も最終面接でこの質問に答えられず、悔しい想いをされたそうです。
 と、いってもこの質問、別に圧迫面接でも、落とすための質問でもないと私は思います。(数年前ならまだしも、この売り手市場の中、落とすための質問をわざわざしている企業は、相当少ないと思います)
 この質問の意図ですが、就活生の志望動機と企業の事業がかけ離れすぎている時に、その間を埋めようとしての質問だと私は思います(あまり良い質問ではないと思いますが)。

 今回のご相談者の例でいうと、とある大手IT企業でこんな志望動機を作成されていました。

「私は、人々の生活をもっと持続的可能な世の中にしたいと考えており、御社を志望します。具体的には、世の中のフードロス問題の解決に取り組みたいと思います。フードロス問題は、特に先進国の中での社会課題ですが、このままでは地球規模で食料不足が問題になってしまうと考えております。
 その中で御社は、ITによるソリューションによって地方公共団体や他の大手企業にも様々な問題解決の手法を提案しており、私はそんな御社に貢献することで、社会を変えていきたいと考えています」

いかがでしょうか?
フードロス問題やりたいなら、それを扱っているNPOや政治家にでもなった方が早いのでは・・・。
と思ってしまう方もおられませんでしょうか?

 つまり、「IT企業に入りたい」→→「○○〇」→→「●●●」→→「フードロス問題を解決したい」の間に、いくつかのステップが飛んでおり、この方が実際にIT企業に入って具体的に何を目指したいのかが見えないために、冒頭のような質問が生まれてしまったのだと思います。

 これに対して以下のような志望動機ではいかがでしょうか。
「私は、様々なIT技術を自社で保有しており、地方公共団体をはじめと様々な企業を支援している点に魅力を感じました。
 そんな御社で経験を積むことで、私も様々なお客様に対し様々な問題解決をITの力で提案できる人財になりたいと考えております。
 そして、将来的には持続的可能な社会の発展に力を入れたいと考えており、例えば、スーパーにおけるスマートレジの導入や、食品物流におけるスマート在庫管理のようなシステムを通じて、フードロス問題の解決にも力を入れたいと考えております」

 正直、話の順番を入れ替えて、「スマートなんちゃら」というITっぽい用語を入れた、簡単な修正です。

 ですが、このような順序にすると、
「なぜフードロスを解決するためにIT企業なの?NPOにいけば?」という質問に対しても、
「いえいえ、フードロス問題といっても、様々なお客様が様々な問題を抱えており、それを1つずつ解決するには、柔軟なITの力やその提案力が必要だと思っているのです。そのため、御社のような企業で働き経験を積むことがもっとも近道になるのです」
と、切り返すことができるようになると思います。

 社会問題系の志望動機、「地方創生をしたい」「食料問題を解決したい」「格差をなくしたい」etc それ自体はとても素晴らしいことだと思うのですが、夢を語りすぎてそこに至るまでのステップの説明が不足しないようにブレイクダウンをしっかりと行っておくと良いと思います。

毎年、この手のご相談はあるので書いてみました。

ご参考ください。

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