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〈同盟〉ってなんだ。

『霧の日にはラノンが視える』シリーズには〈同盟〉というのがしばしば登場します。ほぼ〈同盟〉が舞台になっていると言ってもいいくらいです。いったい何なの? と思いますよね。この項ではラノンシリーズの〈同盟〉についてお話しします。

「霧の日にはラノンが視える」は妖精世界ラノンからロンドンに追放された妖精たちの物語です。

かつてラノンからロンドンに追放された妖精たちは互いに殺し合っていました。この世界には魔法の触媒である〈妖素〉がなく、魔法を遣うためにはラノンから来た者の体内にある妖素を奪うしかなかったからです。ラノンでは水や大気に大量の妖素が含まれ、生物の体内に蓄積しています。当然妖精たちにも。

この殺し合いを止め、妖素を平等に配分することを目指したのが〈同盟〉でした。〈同盟〉は『灰のルール』で成り立っています。簡単に言うと、仲間を殺したら組織に殺されるというルール。誰も殺さずにいれば死んだ仲間の遺灰の分配を受けられる。単純明快です。

〈同盟〉は50年か60年前にロンドンで設立されました。正式名称は〈在外ラノン人同盟〉。
死亡したメンバーの遺灰を分配するため最初に設立されたのが〈葬儀社〉。しかし、遺灰の半量が〈同盟〉運営用に取り置かれるため、分配量について不満が燻ることに。常に火種になっています。

〈同盟〉には働く妖精と働かない妖精がいます。働かない妖精たちの方が「妖精らしい」妖精です。プーカ、レッドキャップ、ホブゴブリンなど。働かない妖精たちは本部談話室で日がな一日お茶とゴシップに明け暮れています。多くは異形があり、外に出られません。

働く妖精たちは人間と見分けがつかないダナ、アンヌーン、タルイス・テーグなど。彼らの中には帰れない故郷を忘れるため仕事中毒になる者もいます。彼らは同盟傘下の葬儀社、美容室、パブ、ナイトクラブ、生花店などで働いています。会員専用の「グッドピープル・カフェ」のマスターは働くブラウニー。

〈同盟〉は妖精たちの組織であり、設立から長いあいだ人間は入れませんでした。しかし新ラノン1話で提唱された「賛助会員」制度により会員の家族である人間は入会できることになりました。入会した人間は「妖精の膏薬」を瞼に塗ることで〈惑わし〉の壁を通って本部に入れるようになります。

〈同盟〉の設立者は強い力を持った魔術者でした。その後を継いだのが第二代盟主ランダル。〈遠目・遠耳〉という他には遣える者のいない魔法を使います。第三代盟主に就任したジャックはラノンを支配するダナ王の庶出の王子で、存在を危険視されて追放されました。

〈同盟〉の組織は種族ごとの編成でそれぞれのチーフがいます。アンヌーン族のチーフはアーロン、タルイス・テーグのチーフはトロロープ。ダナは盟主が兼任なのでチーフは置かれていません。一人か二人しかいない種族は「その他少数種族」ということになり、チーフはブルーマンのレノックスです。

〈同盟〉についての説明はこれくらい……かな?
同盟についてのご質問がありましたらコメント欄でお答えしますね。