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80年代昼ドラお家騒動「ハウス・オブ・グッチ」

 イケイケ(死語)80年代ルックに身を包んで、男性主権のグッチ経営にガンガン乗り込んでいくガガ様。グッチ家長男なのに優柔不断な旦那を言葉巧みに操る様は面白かったが、結局最終的な決定権はいつでも男にあり、凶行に至る過程は計画的な悪女というより、愛に破れた哀しきイタリア女の復讐という辺りがとても「昼ドラ」っぽかった。

 リドリー・スコット監督は去年も「最後の決闘裁判」という傑作を撮り、御年84歳とは思えない精力的な活動に驚くが、ジャレッド・レトとアル・パチーノの劇中の半ばコントみたいなやり取りを見ていると、グッチ協力なのにほとんどグッチに喧嘩を売っているような、皮肉めいた物語を作る監督のファイト・スタイルに痺れてしまう。劇場を後にした時に、若い男の子達が「これでグッチ買おうとはならんだろ。」と言っていたのを聞いた後、一緒に見ていた友人も同じことを言っていて笑った。

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