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フィルターの先にあったもの

音楽が好き。昔から色んな楽曲を聞いてはライブに行くということを繰り返してきた。
そんな音楽を聴く手段の一つとして、ラジオはかなり重宝している。
Radio Ga Gaというわけではないが、自分の知らない音楽に出会わせてくれるからだ。
そうやっていつもの様にラジオを流しながら過ごしていたある日、衝撃的な曲に遭遇した。

「……洋楽? いや、日本語? めちゃくちゃおしゃれでかっこいい!」

何気なく聞いていたラジオから流れてきた、とんでもなくおしゃれで、そしてメロディアスな曲。
それまで作業していた手が思わず止まった。ながら聞きをやめてしっかりと耳に集中をさせる。

美しく艶っぽい歌声。
重なるような美麗なハーモニー。

あまりにも素晴らしい楽曲に、曲が流れ終わっても頭がぼうっとしてしまうほどの余韻。そうやってしばし呆けてからようやく我に返ると、すぐさまネットで楽曲情報を探した。

『Ain't Seen Nothing Yet』

KAT-TUNのニューアルバムのリード曲らしい。

「え。KAT-TUN?  KAT-TUNってあのKAT-TUN? 本当に??」

最初の印象は驚きしかなかった。

KAT-TUNといえば、パブリックイメージがオラオラでヤンチャなグループ。ジャニーズに詳しくない私でも知ってる曲は、ギリギリで生きているあの曲。長年のファンの方には大変申し訳ないのだが、本当にそんな浅い知識だった。

だが、これほど素晴らしい楽曲を歌っているという事実にイメージはがらり
と覆された。
そして、私が持っていたジャニーズというフィルターさえも壊す楽曲だった。

ある種の偏見として持っていたジャニーズフィルター。
それを正々堂々と真正面から蹴り破られたような、そんな激しい衝撃を受けた。
それほどまでに完成度が高く、美しい楽曲に感動が止まらなかった。
そして同時にこう思った。

「生で歌っているのを観たい」

そこからライブ情報を調べると、ニューアルバムをひっさげたツアーがあるらしいことがわかった。ひとまずそのアルバムは予約し、その時点で取れそうな静岡の一般を急いで確保した。
正直なところ、ジャニーズのライブに初めての参戦、しかも一般で一人というのはなかなかに不安があったが、それでも観たい欲が不安を上回った。

ようやく発売されたアルバムはフラゲで入手し、楽しみにしていたリード曲の『Ain't Seen Nothing Yet』のフルを初めて聞いてもう一度感動し、他の楽曲も噛みしめる様に一曲一曲大切に聞いた。
ニューアルバム『Honey』は本当に良く出来た完成度の高いアルバムで、いわゆる捨て曲が一曲もないのが凄まじい。
この完成度の高い楽曲をライブで観れるんだと思うと、ますます静岡が楽しみになった。

そうやってほぼ毎日『Honey』を聞きこんで迎えた静岡ライブ。
初めてのジャニーズに初めてのKAT-TUN。

楽しみにしていた静岡ライブは、言葉にできないくらい素晴らしいものだった。

そしてその日の夜に迷うことなくFCに申し込みをした。
更には、一度のライブでは満足できず、追加発売があった代々木一般を急いで取り、代々木参戦に至っている。

ここまでの流れでだいたい1か月ほど。怒涛の勢いに我ながら苦笑しかない。
だが、良いものは良いのだから仕方がない。
そうさせるだけの力が彼らKAT-TUNには十二分にあったのだ。

そして自分の中で勝手に作っていたジャニーズというフィルター。
それを激しく壊してくれたのもKAT-TUNだ。
自分で越えることのできなかった先に連れて行ってくれた。

フィルターの先にあったもの。
それは、本当に素晴らしいものだった。

MV

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