恋愛主義 &5


そそくさと帰る準備を始める私

怜はなにか言いたそうに
しているが見ないフリした。



「じゃあね」


振り向かないように
振り向いたら泣きそうだから。


怜の住んでるアパートを眺め
「バイバイ」と心の中で
呟いた。

そしたらドアから怜が出てきて
「ちょっと待って」
と走ってくる。


「お前さ俺のこと好きだったりした?」


それを言われた瞬間
涙が溢れてきた。

「うるさい……」

その言葉しか返せなかった。

怜は私のおでこにキスをし
下を向きながら話し始めた。

「俺さお前といるとすげぇ楽でさ
隣でいつも笑ってくれてるじゃん
どんなくだらねぇことしてても否定
せずに馬鹿じゃないとか言ってさ
居心地すげぇよかった。
寝た女ってさすぐ彼女面するやつ多いし」

一生懸命に気持ちを伝えてくれる怜
は初めてで涙が止まらなかった。
だけど可愛くない私は泣きじゃくる
とかではなくただ涙を流すだけ。

「琴音って変わってんな思ってたけど
わがまま言えないだけの頑固女ってのが
わかってきてたまにヤキモチ妬いてだろ?
あれバレてんぞ?笑 あれは可愛かった」


「でも俺もお前も特定作れないじゃん?
なんでだろうな?俺あの女の子と好きじゃねーぞ
だけど頼られると断れないし突き放せない
それはお前も同じだろ?頼られることに
自分の存在の意味を求めてる」

「本当はこのままズルズル今の関係のまま
一緒にいれるけど俺さお前にはさ
幸せになって欲しいんよ。ちゃんと家庭を
持って子供作ってさ。俺の分身が
しわあせになるとこ見せてよ
ごめんな色々めちゃくちゃなこと言って
ちゃんと本音出せるやつ見つけてよ」

無茶苦茶だけど
無茶苦茶じゃない。
怜が言いたいことは死ぬほどわかる。

「お前今日で会うの最後にするつもりだろ?
だから言いたいこと言ってやったわ」

なんでわかるんだろう。
いや同じだから分かるのか。



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