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梁川梨里(やながわ りり)
2015年7月27日 22:10
風は、気孔を空に向けるゆびさきを持つなめらかな所作でひかり、なのか、花、なのかひかりの花なのか分からないことは分からないままのほうがうつくしい見下ろすと木の振り分けられたつむじが見えた入り乱れた軌跡を細かく描写する揺れが、わたしに風の道筋を示す風のない地下へマントルまで届きそうなエスカレーターで下っていく風を感じて振り向くと人間の作った空調で窒息しないことを
2015年7月27日 22:22
届いてしまった音に震えた耳と笑った目の奥で蔑んだ黒目が刻印されて剥がせない割れた唇、ひびの入った踵あらゆる部位を熱すぎる湯に浮かべふやかして風呂に浮かんだ全き穢れを瞬く間に排水口が飲み込むと一枚剥けた色の薄いわたしに戻る(いつか消えてしまう しまい忘れたように)やっと夜を始められるばっさりと黒い夜着に着替えてこの瞬間のためだけに生きていると呟いてみたあ