マガジンのカバー画像

ふとした記録

32
アラフィフのおんなが書いている日々の記憶です。 ささいな日常の手触りを思い出すための記録です。
運営しているクリエイター

#映画

映画「日日是好日」をコロナ禍に見た

 映画「日日是好日」を見た。  超ざっくり言うと、特にやりたいことが見つからない大学生の女の子が、茶道を通じて成長していく物語だ。  茶道をたしなむ友人がこの映画を絶賛していて気になっていたのだが、上映期間に見ることは叶わなかった。ところが先日、会員になっている映画配信サービスで発見したのである。家に居ても映画を鑑賞できる、良い時代だ。  新型コロナウイルスによって映画館に行けなくなり、自宅で鑑賞する機会が増えた。対面の仕事はオンラインになり、友人たちともネットでやり取

ポスターで惹かれる映画

先日映画館に行ったら、格好良いポスターが並んでいたので思わず写真に撮った。 トップガンの空の見せ方、 007のカラーとフォントの使い方、 地獄の黙示録の、古いのに新しく格好良い感じ、 1917の数字のインパクト。 どれもすごいなー。 1917はこのポスターで気になって、予告編見たらすごく面白そうだったんで見たくなった。 デザイン大事…!

映画「ボーダー 二つの世界」観た。

境界線、という言葉に昔から惹かれている。正常と異常のあいだとか、 普通と特別のあいだとか。 犯罪のニュースを見て 「なんてひどいことをする人がいるんだろう」と感じる人と 「私も、何かのきっかけやタイミングによってはあちら側になってしまうかもしれない」と感じる人の 2パターンがあるのではないかと思う。 私は完全に後者で、「うっかり誰かを傷つけてしまったらどうしよう」と感じるタイプだ。 「大丈夫」と「うっかり」の境界線って、どこなんだろう? 長年答えの出ない想いを抱えつつ

みんなの居場所で在り続ける挑戦。映画「ニューヨーク公立図書館・エクス・リブリス」

本が好きだ。 本を読むのも好きだし、本が並んでいるのを見るのも好きだ。 本が好きになったのは、小さなころ親が図書館に連れて行ってくれたおかげかもしれない。 紙芝居絵本図鑑童話、伝記小説…と、成長とともに本があった。 今も資料を調べたり、気になる本を借りたり、PC専用席で仕事をするのによく利用する。 何が言いたいのかというと、 図書館にそれなりに通っている私ですら驚く図書館の活動、 それらを詳細に記録した映画が 「ニューヨーク公立図書館・エクス・リブリス」だった。 ”3

ちょっとした好奇心から、日常がもっと面白くなる。<劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん>

リアルに会える友達も好きだけれど、ネット上での関係性の方が居心地がいいときもある。 他人だから話せることもあるし、冷静に話を聞けたりもする。 実生活でも、ネットでも、コミュニティを持つことで救われることは多々ある。 居場所って、たくさんあって困ることはない。 私はネットワークゲーム(というよりゲーム全般)をやらないのだけれど、「息子であることを隠して、父親とゲームでコミュニケーションを取る」というストーリーに惹かれて「劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」を観

マインドフルネス的銭湯殺人事件? 殺し屋…なのに、なぜか「あるある!」と共感しちゃうハートウォーミングストーリー。映画<メランコリック>

あたりまえのことは、疑問を抱きにくい。 いい大学を卒業したら一流の企業に就職するし 銭湯は身体を洗って温める場所だし 人を殺す人はきっと怖い人だし ニコニコしている人にはきっと裏がある。 …という前提をいちいち覆して「本当にそうなの?」と問いかけてくるのが、映画「メランコリック」だ。 すっごく見たい!と思っていたところ、トークショーつき試写会に当たった。 バイトを始めた銭湯は、深夜に風呂場で人を殺していた…というストーリーの理由が 「人を殺した血を洗い流せるし、死体は

こんなに不幸で、こんなに寛容で、こんなに癒される映画を見たのは初めてかもしれない。「凪待ち」

寛容さ、についてよく考える。 懐の深さや、許すこと。 ちなみに、私は寛容さを持ち合わせていないと自覚している。 人を受け入れるってすごいことだ。 面倒だし、忍耐強くないといけない。 私は「愛がすべてだよ」と伝えた相手に殴られたとしたら、きっと舌の根も乾かぬうちに相手を憎んでしまう程度には忍耐がない。 だからだろうか、映画のキャッチコピーで「泣ける」とか「感動する」なんていう言葉がついていると身構える。 「本当に?」と疑ってしまうのだ。 上っ面の正義や感動だったら承知しな

豪華絢爛・濃厚ヴィジュアル~「ダイナー」

友人たちとよく、好きな作家や本の話をする。 平山夢明という作家をおススメされて知り、「ダイナー」を読んでその世界観に夢中になった。 相当エグい内容だとは聞いていたが想像以上で、冒頭を読み始めてすぐに「食後じゃなくて良かったー」と思ったほどだ。 ダイナーの舞台は、殺し屋専用の食堂。 イメージするだけで鳥肌が立ちそうな残酷な描写と、香りが脳まで届くような美食の描写が交互に訪れる、(原作は)「吐き気と食欲を同時にもよおす」という稀有な物語だ。 その、殺し屋たちの悲哀と、主人公

エンタメのてんこ盛り~「神と共に 第一章:罪と罰」

子供のころから、神話や民話が好きだった。 図書館に陳列された民話や神話・童話のシリーズを、端から読んだ覚えがある。 (ちなみに、好きな童話は「かえるの王様」。かえるを壁に投げつけると王子様になるというシュールな展開が最高) 私は「すべての人の心を動かすスイッチはエンターテイメントだ」という仮説を立てていて、なかでも神話はエンターテイメントに必要な要素がすべて詰まっていると言われているので、勉強のために神話学者ジョゼフ・キャンベルの神話論を読んだりした。 (難解な箇所は結局

”綺麗”と”綺麗ごと”のあいだをつなぐ~「町田くんの世界」

「綺麗」は濁りや穢れのないさま、 「綺麗ごと」は見せかけだけの体裁で実質が伴わないさま。  年を重ねるにつれ、綺麗なものも「綺麗ごと」に見えてくる。  特に選挙期間中である今は、実現が不可能そうな理想論を聞いては「そんなこと言っても現実はねえ」とツッコむ自分もいる。  かといって、理想を否定してばかりいても、何も良くなってはいかない。  「町田くんの世界」は、ちょっと斜に構えた子どもたちや、汚さに慣れてしまった大人たちが、町田くんという無心な男の子と出会うことにより少し

源を思い出す~「海獣の子供」

 初めて宇宙を感じたのはTVで砂マンダラを見たときで、あんなに壮大な絵柄が砂で出来ていて、あっというまに壊されて砂粒に戻ってしまうことに衝撃を受けた。  大人になってからは「ミクロコスモス(小宇宙)とマクロコスモス(大宇宙)」という思想に惹かれた。  人間のしくみと宇宙のしくみは同じで、お互いに繋がり合っているという考え。  例えば大宇宙が砂マンダラの絵柄なら、私はきっと一粒の砂である。  そして、私という砂の中に、また大宇宙が存在する。  映画「海獣の子供」は、予告編

人生を燃やし尽くしたい!「プロメア」

 ものを作るって、大変だ。  作業や手順自体は慣れれば良いことだが、もっとも大変で大切なのは「発想」の部分だ。  例えば、ショートケーキはケーキの定番だが、スポンジケーキとクリームと苺のベストバランスを発見した人はすごい。文庫本は、読みやすく持ち運びしやすい形を考案した人がすごい。サーティーワンアイスは、31種類(厳密には32種類)をメニューに各だけではなく店頭に並べて見せると思いついた人がすごい。  考えるだけは、できる。  考えたことを、考えたように(もしくはそれ以

半歩進む勇気をくれる「バースデーワンダーランド」

 予測しないタイミングで知り合いと一緒に電車に乗るのが苦手、なときがある。  一緒にご飯を食べるのも、おうちに遊びに行くのも楽しいし盛り上がるのに、ふと同じ電車に乗り合わせたときに「あ……」ってなる、宙に浮いた空白がなんとなく居心地が悪い。  フィットするときはいくらでも側にいられるのに、ぼんやりとした居心地の悪さを感じてしまうと、無性に一人になりたくなる。  だからといって人付き合いが嫌いなわけではなく、むしろ好きな方だと思う。社交的なのか孤独が好きなのか、他者との距離